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ミクスチャーブログ

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朝ドラ『わろてんか』の高橋一生に「抱かれたい」と思った男

朝ドラ『わろてんか』に出ている高橋一生に「抱かれたい」と思った。

 

 

 

ーてんの夫の藤吉(松坂桃李)が死に、女社長として寄席チェーン・北村笑店を経営するてん(葵わかな)はある日、取締役として、てんをささえる高橋一生こと伊能に悩みを打ち明ける。

北村笑店がより会社として大きく成長するため、この先の経営方針を「より笑いを広める」か「新しい芸能を発掘する」という大事な時期に来ていた。

 

「はぁ…」

「…すまないな、決断を迫るようなことを言ってしまって」

「いいえ…この4年、藤吉はんと作ったこの北村笑店をウチなりに精一杯守ってきたつもりです…せやけどもし、伊能さんや風太(濱田岳)がいてはらへんかったら、どうなっていたか…女社長やとは持ち上げられているけど、まだまだお飾りや…」

 

コツ…コツ…

 

コツ…

 

スッ…

 

ソファに座る伊能…

 

 

 

「それは違う」

 

 

キッキィァァァァァッァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!

 

 

…このっ、この『間』!!!!!

 

この次のセリフを言うまでの間の取り方、「沈黙」を作りだすことで「普通のセリフ」にまで重みを持たせる…。

これこそが高橋一生という役者の演技の真骨頂やでえ……。

 

 

「藤吉くん亡き後、北村の屋台骨を支えてきたのは紛れもない、君だ。現社長の君『新しい何か』を生み出せば、君がお飾りなんかじゃないことが証明される」

「…何かを、生み出す…?」

「おてんさん自らの手で、新しいスターを発掘するんだ」

「ウチが…?あっ…いやぁ…ウチは藤吉はんや風太みたいなことは…」

「女興行師でしかできないことが、なにかあるんじゃないかなぁ」

「おんな、こうぎょうし…?」

 

黙って頷く伊能…

 

立ち上がって藤吉の写真をジッと見つめ…

 

てんのほうを振り返り…

 

 

 

片目、パチッ

 

 

スタスタスタ…

 

 

 

うううううううううイン?????????ク????????

ぬぬぬんんぬぬぬんんんうんふうんんんん。うあああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーっあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

死……。

 

 

 

や…やぁぁぁべぇやべえ。『あぶない刑事』の柴田恭兵ぶりに本気で男に「抱かれてぇ…」と思ったね。これね、この単発だけ見たらただ「伊能さんお茶目!」「一生さんカワイイ!」で済むシーンなんですけど、ここが最高に最高なのはここに至るまでのバックボーンにあるんですよ。

元々、伊能はてんの『許嫁』として、てんと知り合ったんですよ。当時から会社を経営し、敏腕社長として活躍していた伊能か、米問屋の1人息子でありながら夢ばかりを追いかける藤吉、どちらを選ぶかでてんは揺れていました。結局、てんが選んだのは藤吉。しかし、伊能はそんなてんを陰で支え続けたんですよ。

で、紆余曲折あり、伊能はてんと藤吉の仲を認め、藤吉とは「心友」と呼べるほどにまでなったんです。

あるとき、自分の死期が近いと悟った藤吉は伊能に「てんのことどう思ってるんや」と問い詰めるんですけど、

 

「てんのことどう思うてる?」

 

 

 

「なぁんだ急に」

 

 

こっっっっっ!!!このっっ、、、、、、、ままままままま「間」………!!!!

 

「栞くんは誰とも結婚してへん」

 

「…残念なことに、未だおてんさん以上に魅力的な女性に出会ってないからな」

 

 

 

ァァァァァッァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!おててててっ、ててててんさん以上にみりょくてきな!!??

 

 

「でも、おてんさんと出会ったおかげで、君とも出会えたんだ…。おてんさんと君の絆が今の僕にとってかけがえのないものなんだ。藤吉くん、おてんさんと君は僕の同志なんだ…」

 

 

はあぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜んんん

 

 

俺ね、わろてんかに限らずドラマとか映画観ててもね、第一印象最悪で口悪くて最初はいがみ合ってたくせになんか急に惹かれ合って最終的にヒロインと結ばれる一番手じゃなくて、ずっとずっと好きで優しくてカッコ良くて一度はヒロインが振り向いてくれるのに最後の最後で自分から身を引くような二番手を応援しちゃうんですよ。

例えば、イケメン♂パラダイスの中津(生田斗真)…花より男子の花沢類(小栗旬)……。

 

伊能もそう。伊能は優しいから身を引いちゃうんですよ。背中押しちゃうんですよ。でもまだ絶対好きなんですよ。藤吉が死んで4年経つのに、まだ独身なんですよ、二人が結婚してからたぶん一回も彼女とかいないんですよ。死んだんだからもっとガツガツてんを口説けばいいのに、しないんですよ。今日だって、抱きしめたい、今すぐてんを抱きしめて頭ポンポンとかしたい、したいはずなのに、しないんですよ。抱きしめないんですよ。そういう男じゃないんですよ伊能は。誰よりも、もしかしたら藤吉よりもてんのことを想ってるかもしれない、でも陰で支えるって決めたから支えるんですよ。

 

っていうのがあっての「ウインク」なんすよ。

 

こんな男います?いないでしょ?そんな男を高橋一生が演じるんだぜ?どうよ?抱かれてぇだろ?そりゃ抱かれてぇよ。てんが抱かれねぇのなら俺が抱かれる。

 

俺、高橋一生史上最高のキャラクターは『医龍』の外山先生だって未だに思ってたんですけど、今回めでたく更新しました。一生(いっしょう)ついていきます一生(いっせい)

 

 

anan (アンアン)2018/01/31[選択の技術(テクニック)]

anan (アンアン)2018/01/31[選択の技術(テクニック)]

 

 

 

祖母(80)が仮想通貨ビットコインの話しだしたので全力でデタラメ言って止めた

 

「最近は、なんとかコインっていう、使ってるお金を電気の世界のお金に変えると良いみたいだねぇ。アンタもやってるのかい?」

 

「は……?は?」

 

耳を疑った。先日、祖母の家に顔を出しに行ったら開口一番、祖母の口から信じられない言葉が飛び出した。なにをトチ狂ったかと思った。

 

なんでも、先日『NEWS ZERO』で「仮想通貨・ビットコイン特集」なるものが放送されていて、祖母もそれをたまたま観たらしい。(祖母は嵐の櫻井君が大好き)

 

 

これはヤバい、と思った。完全に『靴磨きの少年』案件。

『靴磨きの少年』

 ケネディ大統領の父親ジョセフ・P・ケネディが、靴磨きを少年にしてもらっていたとき、「おじさん、今ここの株を買ったらゼッタイ儲かるよ」と言われたことに「靴磨きの少年までもが株式相場が絶対上がると思っているのは正常ではない」と危機を感じ、自分の株を全て売り払うとその後すぐに大暴落が起きた。

株から一番縁のない人間が手を出そうとしたら終わりだという話。

 

俺自身はビットコインもとより仮想通貨に手を出してないし、興味もないのだけど、この『靴磨きの少年』の話に倣うと、情報ピラミッドの下も下、地面突き抜けて地獄に片足突っ込んでる祖母がビットコインの話をしだしたんなら、もはや完全に終了。

しかも、この間ビットコインで儲けたとかいう友達に会ったら、目ぇバッキバキにさせながら「いかにこれからの時代は仮想通貨がアツいか」を延々と語られてウンザリしてたので尚更だった。(その前は「スー」とかいう胡散臭いネズミ講SNSに手出してた)

 

そもそも、インターネットのことを「電気の世界」なんて呼び方をする超絶アナログ人間の祖母にインターネット上の仮想通貨なんて取り扱えるわけがなく、もし変な奴が介入してきて言いように騙されるのだけはマズイ。そんなものに祖母がずっと貯めていた金を使わせたくもない、絶対阻止する。

 

ウチの祖母は一度こうと決めたら自分の考えを曲げないガンコなところがあるので、これ以上祖母に仮想通貨・ビットコインの良い印象を持たすわけにはいかない。というわけで、全力でデタラメ並べて祖母の頭の中から「ビットコイン」「仮想通貨」の単語を完全に消すことにしました。

 

 

「いや…でもね、ばあちゃん、よく聞いて。おばあちゃんの言う電気の世界のお金、ビットコインとか仮想通貨って、聞こえはいいけど、あれの胴元って知ってる?『新興宗教』だよ…」

「えっ!そうなのかい?」

 

祖母は大の宗教嫌いで、玄関先に来た宗教勧誘のババアをリアルに「塩まいて」追い払ったこともあった。(なんで対処法は宗教的なんだよ)

 

 

「…あんまり知られてないんだけどね。だから、もし自分のお金をビットコインに変えて儲かっても、そのお金はそこの教団管轄のお店でしか使えないんだよ」

「えっ」

「使える店が少ないっていうのはそういう理由なんだ。それで、そのビットコインで1億円の利益を得たって人を『億り人』って言ってるんだけど、そうなっちゃうと全員その宗教の幹部にさせられるんだって。だから『おくりびと』本当の意味ってつまり、『完全にあっち側の人間になった』なんだって…」

「げ、そりゃ気持ち悪いねぇ」

「…だから別にばあちゃんお金に困ってるわけじゃないし、ビットコインはやらないほうがいいよ」

「そうだったのかい。わかったよ」

「あと、仮想通貨の話あんまり他の人に言わないでね。テレビに出てた人、目がキマってたでしょ?ああなっちゃうからさ」

「はぁ〜〜〜。こわいねえ、良かったよアンタに聞いて」

 

「(ホッ…)なんもさ!そんなことより、ばあちゃん……」

 

 

 

電気、ファッ…。

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

「誕生日…おめでとう!」

 

 

「えっえっ!?」

 

 

「今年で80歳だよね?いつもありがとう!これからも元気で長生きしてください!」

 

 

「ちょっと、なんだい……!びっくりしたじゃないかぁ〜〜〜〜〜。うわぁ……ありがとうねぇ……」

 

 

…。

 

 

このあと、家族みんなで寿司とケンタッキー食いながら『VS嵐』の再放送観て帰りました。

 

 

 

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ポルノグラフィティ最高傑作『カメレオン・レンズ』感想(5,000字)


www.youtube.com

 

アミューズの株買い占める。

紛れもなく最高傑作、この曲を生み出すためにポルノグラフィティが20年活動してきたと言ってもいい。「ポルノグラフィティは最新こそが最高」が証明されてしまった。『PANORAMA PORNO』辺りから明らかに意識して増えてた「日本語詞と英語詞を混ぜる」「電子音」「打ち込みサウンド」「EDM調」そういう試みがカメレオン・レンズでついに完成した。…さんざんこのブログでも「頼むからシングルで出せ」と書いてきた新藤晴一作詞作曲のいわゆる「闇・ポルノグラフィティ」の楽曲…『ルーズ』『ANGRY BIRD』『煙』『AGAIN』『ミステーロ』『Part time love affair』『MICRO WAVE』系譜がついに表舞台に出た。

本楽曲、ゴリゴリの不倫ドラマ『ホリデイラブ』の主題歌なのですが、仮に「不倫」「浮気」だとか「不貞行為」みたいなことによって『カメレオン・レンズ』が誕生したんであれば、世の夫婦、カップル、もっとしろ。むしろ俺がその生贄になりたい。曲に抱かれたい。曲と不倫したい。

これが曲だ、これが歌詞だ 、これが歌だ、これが音楽だ、これがポルノグラフィティだといわんばかりに、その音が詞が声が、そのすべてが俺を震わせて、狂わせて、泣かせる。「歌詞に共感して泣く」とかじゃなくて「曲が凄すぎて泣く」なんてことがあるか?あった。

この言葉大嫌いだがあえて言いたい「神曲」と。とりあえず、早く『関ジャ厶』で「ポルノグラフィティ特集」やれ。行くから。蔦谷好位置ぶん殴って俺が座るから。そして警備員に首根っこ掴まれながら「カメレオン・レンズ万歳!カメレオン・レンズ万歳!」っつって叫んで刑務所入りたい。

  

では今から好きなポイント「100」挙げます。

 

 

・イントロ

最近のポルノの曲のイントロの高揚感は頭おかしいが『カメレオン・レンズ』もご多分に漏れず、お漏らしする。「トゥントゥントゥントゥントゥントゥン…トゥントゥントゥントゥントゥントゥン…」の打ち込み音だけでもヤバいのになんらかの音「ヌァヌァヌァヌァ…」で「ぉぉン??…なんだなんだなんだなんだ…」とこっちの劣情を煽るだけ煽っておいてからの岡野昭仁の「あ」は耳シンナー。

 

・新藤晴一の歌詞のゾクゾク感

新藤晴一の書く歌詞というのは「次に何を言ってくれるんだろう」というゾクゾク感が凄い。「次はこういうことを書いてるんだろうな」というこちらの予想は絶対に当たらない。いつも想像の遥か斜め上を行ってくれる。だからこそワンフレーズワンフレーズを噛みしめるように聴くことができる。しかも何がすごいかというと、噛む人間の舌によって味が変わる。

そして今作『カメレオン・レンズ』の歌詞、「ポルノグラフィティの歌詞に『色』『空』『月』『薔薇』『ワイン』『鳥』『羽』『夜』が出れば名曲」というのは誰もが知るところですが、奥さん、全部入ってる。「歌詞役満」完成でございます。全てのフレーズがキラーワード。

「Aメロ…うわ…良い…Bメロ…あっ…ああ…良い……サビィ……ヒィィィィ……良い…………」と一曲で一生分のため息。酸素足りなくなって無事死亡。

 

・曲の長さ

ポルノグラフィティのすごさというのは、その声も歌詞もメロディもアレンジもそうなんですが、俺が挙げたいバカデカポイントとして「曲の長さが絶妙」というのがあります。ポルノグラフィティの曲を通して聴いたとき、特にシングルにおいては長すぎず、短すぎず、「もう一回聴きたい!」と思わせる本当に丁度いい塩梅の曲時間で収められいて、今回の『カメレオン・レンズ』もそう、いや、いつにも増してそのこだわりが垣間見える。

例えば大サビの部分、普通なら二回繰り返したいところを一回でスパッと終わっていてそこが曲全体の「余韻」をより強いものにしている。まさに

「名曲」と呼ばれる曲の9割は曲時間3分〜5分である

という絶対真理を完璧に体現した曲。

 

・2番の入り・間

『カメレオン・レンズ』に限らず、ポルノの曲は「2番の入り」が全ミュージシャン中最強。よく多用するのが2番Aメロ終わりで一瞬音が止むアレ、、、

真紅の薔薇もワインも…(ンケッンケッンケッ…)

色をなくし泣いてるのぉ…(ンケッンケッンケッ…)

ァッ………………

ッッチャカッ…ッッチ…パパァァァン………

 

…ここで俺の耳は溶けてなくなる。本当にありがとうございました。

 

・日本語と英語詞のバランス

冒頭でも書いたように、最近のポルノグラフィティの、特に晴一詞の傾向のひとつでもある「日本語詞と英語詞」の組み合わせ、曲によっては無理にはめ込んでいるように感じることも正直あったのですが『カメレオン・レンズ』の英語詞のブチ込み方は非の打ち所がない。これがあることによってより日本語詞のキラーフレーズが引き立つようになっていて全身の毛が抜ける。

カメレオン・レンズでの昭仁の完璧すぎるほど完璧な英語の発音を聴いてると、今までの英語詞は岡野昭仁をこのレベルまで到達させるためにやってたのか、とすら思えてくる。「君の明日はぁーーーーーーーーー!」からの「ホワットカラァッ……」色気で失神。

 

・岡野昭仁の声の「抜け」と「吐息」

岡野昭仁の声の魅力と言えば「パキッと出る高音」は言わずもがなですが、最大の武器はその高音との落差、低い音程のAメロやBメロでの語尾を伸ばさないときの「声の抜け」と「吐息」にあると思ってます。英語詞の部分でも書いた「君の明日はぁーーーーーーーーー!」からの「ホワットカラァッ……」を筆頭に『カメレオン・レンズ』での「声の抜け」は吐息だけで人が死ぬ完全犯罪。

例:「などぉ…」「しないぃぃ…」「たりぃ…」「みたいにぃぃ…」「ユゥスィィィ…」「あかはぁ」「ホワットカラァッ……」「てはっ…」「もぉぉん……」「泣いてるのぉ……」「世界はぁ…」「なのにぃ…」「ステンドグラスぅ…」「フォエバァッ…」「なぁぜ……」「いたみがぁ…」

 

 

・アレンジのヤバさ

『カメレオン・レンズ』の編曲は篤志さんなんですけど、過去曲で言うと『ANGRY BIRD』『Montage』なんかが記憶に新しく、ポルノグラフィティ特有のギターロックに上手い具合にEDMの要素を取り入れてくれて曲のテンポ自体は決して速いわけじゃないのに踊れる、身体が勝手に動くアレンジをするのが超絶巧。

「岡野昭仁の声と新藤晴一のギターさえ鳴っていれば、ポルノグラフィティになる」という圧倒的個性を逆手にとった大胆なアレンジ。例えば、これがドラムに正式なメンバーがいたらこの音作りはできない、これが他のバンドにはないポルノグラフィティが「二人組だからこそ」できる最強のアドバンテージポイント。

そして細かいアレンジがいちいち「おっ…お前ぇ……この感じポルノに入れてくれてありがとうございます……」となる。Aメロの「などぉ…」「しないぃ…」「たりぃ…」「にぃ…」のエコーとか、サビ前の「コァァァァッッッ…」とかね、もう、CD食べたい。

 

 

・間奏部分の『愛の言霊』

間奏部分とアウトロの「デェーーーーーデェーーーーデェーーーーデェーーーーーデェーーーーーデェーーーーー、デェーーーーーデェーーーーデェーーーーデェーーーーーデェーーーーーデェーーーーー」のサザンオールスターズ『愛の言霊~Spiritual Message~』のオマージュ感。どんなご褒美……?

 

 

・Skoop On Somebody・TAKEさんの激ヤバコーラス

これほどポルノがアミューズで良かったと思ったことはない。なんちゅう贅沢な使い方してるんだよ。ラスサビの「アーーーーーーーーーーーーーーッ」「ブラキュァホワァァィ!」「ヌゥヌゥッ…ヌゥヌゥゥゥッッ…」とかもうスピーカーの前で土下寝しました。

とりあえず『sha la la』箱買いします。

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・裏声「なぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

昭仁のここぞというときの「裏声」が大好きなんですが、元々岡野昭仁というボーカリストは裏声があまり得意なほうではなかったんだと思う。地声の高さゆえにそれ以上の高音を出そうと裏声を使うと掠れてしまったり、途切れてしまう、ということがあって「お前それOKなのかよ」みたいな裏声使ってる曲もあって。言い換えればそれは「セクシー」と言えるんですけど、「完璧」かというとそうじゃないよなぁとも思ってたんですね。

それでも、逃げずに「裏声」を使っていって、こう言うのもおこがましいんですけど、なんかどんどん上手くなってて、初期の曲の裏声と最近の曲の裏声を比べてもノビや艶がまるで段違い、もはや必殺の裏声。そして満を持しての今作、

「なぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

はいっ……危険薬声に指定しろ国。

 

 

・歌ってるように聴こえる新藤晴一のギター

言いすぎかもしれませんが、この世に現存する全ギタリストを一列に並べて順に適当なフレーズ弾かせてって、目隠しで両手両足縛られた状態で銃口向けられて「新藤晴一はどれだ、当てなきゃ殺す」って脅されても一発で答えられる自信があるほど、彼の奏でるギターのリフには名前が書いてある。

あくまで感覚的な話になるんですけど、一番大きいのは「一音一音がしっかり鳴ってる」ってとこだと思ってて、バラードだろうがポップスだろうがロックだろうが、そこにギターの存在感が出るのは新藤晴一だからこそだと思います。そして明るい曲なら明るい音色、暗い曲なら暗い音色とちゃんとリフに感情を乗せるのがメチャクチャ上手い。まさにギターで歌うリアルギター侍。

 

・岡野昭仁の歌詞に対する声の字余り、字足らず的なタメ感

『カメレオン・レンズ』で「今までとは違う…」と思ったのが、メロディに対する歌詞とか声の当て方で、「ネオメロドラマティック」なんかだとメロディに歌詞とか声がバチッとブレずに当てられてるんですけど、今回やたらタメて歌ってるんですよね。例えばわかりやすいところで言えばサビの「お互いを知らないまま」、ここ「おぉたがいを」「うぅつくしい」って若干タメて歌ってるんですよ。こういう歌い方今まであんまりしてなかったような気がする。逆にCメロの字余り感なんかもミスチルなんかがここぞというときにやりがちな歌詞、声の当て方で、どっちもより曲に感情が乗ってるというか……時代が時代なら18禁コーナー行きだったんじゃないですか。

 

・岡野昭仁の「あ行」

先ほども少し触れましたが、今作『カメレオン・レンズ』において岡野昭仁の口から発せられる「あ行」の破壊力はシン・ゴジラのビームの692278963562547566億倍です。

例:冒頭Aメロ「ありのまま」の「あ」、1番Bメロ「林檎の赤は」の「あ」、「君の愛は」の「あ」、サビ「お互いを」の「お」、2番Bメロ「君の明日は」の「あ」、2番サビ「あれは僕が」の「あ」、「美しい羽」の「う」、Cメロ「痛みが」の「い」

 

 

・具体的なことはほぼ言ってないのになぜか情景が浮かぶ新藤晴一の歌詞

『カメレオン・レンズ』の歌詞はほぼ比喩表現に終始していて具体的なことはほぼ行ってないんですよ。にも関わらず「僕」と「君」の情景が「なぜか」浮かんでくるのが凄いを通り越して恐ろしい。「わからないのにわかる」という異常な感覚になります。

サビ「2つの月」「双子の月」とか、わかりあえない二人を描きたいなら、ふつうの作詞家ならそこ「太陽と月」とか書きたいところでしょ。100人いたら98人はそう書くはずなのに、なに?「双子の月」って?元はひとつだったってことなのかな、ごめん、やっぱわかんねぇ。なんだよ2つの月って、月はひとつだろ。

ラスサビの「月食の夜 待ち続ける」とかさ、決して互いを知ることがない並んでいたその2つの月?が完全に重なり合う(わかり合える)ことを望んでる?ってことなのかな?なるほど。わかんねぇ。

は???ステンドグラスがなんだって?カラスが?僕が?君の空に?放した?青い鳥?自分にとって幸せだと思っていたことは実は相手にとっては不幸だった?みたいな?はぁぁぁんんん、ふーむふむふむ、わかんねぇ。

そうやって言いたいならそうやって書けばいいんですよ。でも言わない、書かない。あえて回りくどい比喩表現で勝負する超絶面倒くせぇ男・新藤晴一。愛してる。

そして、内容もさることながら凄まじいのがこのワケわからん詞を「歌詞として成立してること」で、良い詞に触れたいなら詩集でも読んでりゃいいんですよ。それをキチンと曲として音楽としてメロディに乗せてるというところが新藤晴一がギタリストでありミュージャンであるというところのゆえんです。

Cメロ「痛みこそが唯一の分かり合えるもの」と一気にストレートな言葉で確信をついてきてマジで即射案件。「Cメロに一番伝えたいことを込める」と以前誰かが言いましたが、まさにそれ。ここに終結するからこそ、比喩表現が活きてくるという、鬼かよ歌詞を書く鬼かよ。

なんなんだよ。『MICRO WAVE』『夜間飛行』とか、関ジャニの『応答セヨ』、中島愛の『サブマリーン』でも思ったんですけど、新藤晴一先生、作詞家としてなんかまたひとつ上のステージ行った気がするんですが。どこまで行くんですか先生。次の元号「晴一」でいい。

 

 

・まとめ

焼肉とかカレーがいくら大好きでも365日食ってたらそりゃ「飽き」がくるじゃないですか。なのに『カメレオン・レンズ』、今んとこ昨日の夜から150回くらい聴いてるんですけど、まるで飽きる様子もなけりゃ、再生のたび初めて聴いたかのように動悸が止まらねぇ。「人の心臓の鼓動の回数は決まってる」とか言いますけど、もうだいぶ寿命縮んでる。僕はこのままカメレオン・レンズ聴きすぎて鼓膜爆発して死んでも本望です。ありがとうございました。

 

 

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2018年ブレイク女性ボーカルアーティスト10選

2018年ブレイクする女性ボーカルアーティストを顔で選びました。

『ブレイク』の定義なんですけど、さんざん悩んで「俺の家出した親父(59)が知らなそうなアーティスト」という基準で選びました。ちなみにポルカドットスティングレイとDAOKOは知ってた。なんでだよ。

 

 

顔で選ぶ2018年ブレイク女性ボーカルアーティスト10選

緑黄色社会


緑黄色社会 / Bitter

もう常々言ってるんですけど、元・乃木坂46の橋本奈々未と女優の波瑠を足して2で割ったらちょうど割り切れてできたのが緑黄色社会のボーカル・長屋晴子ちゃんです。真顔は橋本奈々未なのに笑うと波瑠になるという恐ろしい女。

そしてビックリしたのがこの人、「この顔からはこの声だろ」ってイメージのドンピシャの声してるんですよ。透明感があるのにどこか落ち着いた雰囲気もあって、めちゃくちゃ美味い塩ラーメンみたいな声と顔。たぶん近所にあったら毎日通います。

 

 

Salley


Salley - 「kodama」ミュージックビデオ(Short ver.)

ボーカル・うららの見た目の妖精感すごいのに、アイドル好き・少年漫画好き・ドラクエ好きってギャップが「マジで言ってんのか」と。しかも中途半端な「好き」じゃなく、例えば『ダイの大冒険』ひとつ語らせてもゴメちゃんの話しながらボロボロ泣き出すとか、熱量がもう居酒屋のオッサンのそれ。

音楽としても、どの曲聴いても歌詞もメロディもJ-POPど真ん中、王道スタンダードのギターROCKって感じなのに、うららの声でもってどことなくエキゾチック感が出てちゃんとSalleyの色が出るのが良い。特に「て」「に」「を」「は」の発音が超キレイで惚れる。

 

 

Awesome City Club


Awesome City Club – 今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる (Music Video)

ボーカル・PORINちゃんの色気ヤベェんですけど、たまにニカッと笑う顔を見せてそのギャップにいつも殺される。そして声も絶妙にかわいいと綺麗の絶妙なミックス感を出してくるのでダブルで死亡、残機×1。

そして恐るべきは、PORINちゃんがバンドのフロントマンとして圧倒的な存在感を放ってるのは間違い無いんですけど、実はツインボーカルのもう一人、atagiさんがAWESOMEの真の本体と言っても過言じゃありません。メロディに対しての音のとり方の上手さがハンパじゃなくていっつもむしろ『atagiさん待ち』みたいになって彼の声聴くたびに「うわっ…うっま…」とため息出て残機が終わります。

 

chelmico

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女性二人組のラップユニットでMC MAMIKO(鈴木真海子)とMC RACHE(渡賀レイチェル)、言い方がアレですが、見た目のお洒落さに音楽が全然負けてないのがすごい。チル感のあるスローテンポの曲ばっかりかと思ったらゴリゴリにビート感のある曲もあって振り幅が凄い。なのにどれもchelmicoの色になってる。

映画『モテキ』の長澤まさみがこの世で一番好きなんですけど、長澤まさみ本人ですらもうあの時の長澤まさみじゃないのに、鈴木真海子はずっとあのときの長澤まさみなんですよ。本人ですら自分が長澤まさみであることを若干ネタにしてるくらいに圧倒的な長澤まさみ。ずっとそのままでいてください。

 

 

SHE IS SUMMER


SHE IS SUMMER -とびきりのおしゃれして別れ話を

元・ふぇのたすのMICOのソロプロジェクト。

メロディも歌詞も声も外見そのまんまの期待通りの音楽やってくれててとんでもない安心感がある。このかわいさはたぶん自分のこと「かわいい」って自覚してるタイプのかわいさで、絶対好き嫌い分かれるタイプだとは思うんですけど、このまま突っ走ってってほしいです。自覚的なかわいさ最高。

 

the peggies

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3人組ガールズバンド。みんなかわいいんですけど、特にボーカル・北澤ゆうほの顔の角度だったり、表情のキメ方だったりの「どういう風にすれば自分が一番かわいく見えるか」って巧さは「本出せ」レベル。そのあざとさ、かわいさに楽曲が負けてないのが凄いです。

 

 

きのこ帝国


きのこ帝国 - クロノスタシス(MV) 

ずっとブレずにボーカル・佐藤千亜妃の透明感のある声を引き立つようなメロディの曲を作ってる「寝る前耳元で演ってほしいバンド」ランキングで圧倒的な第1位、きのこ帝国。

この「わかりやすさ」とか「普遍性」は言い換えれば「飽きやすい」ってことにもなってくると思うんですけど、地元のタクシー運転手が足繁く通うボロい定食屋と同じで「そこにしかない変わらない味」を求めてる人ってのは絶対いるのでほんとずっと続けてってほしいなぁと思います。

 

 

Lucie,Too


Lucie,Too - Lucky (Official Music Video)

音楽的にはそこまで新鮮味があるものじゃないんですけど、MV見てもらってもわかるように本人達がめちゃめちゃ楽しそうに演ってて「『音を楽しむ…』それが一番なんや…」とライブハウスの一番後ろで腕組みながら涙流して聴いてる知らんオッサン、みたいな気持ちになる。

あと、とにかくみんな手がキレイでニベアのCMソングとかやりゃあいいな、と思う。

 

 

コアラモード

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おそらく今日本で一番オーバーオールが似合う女・コアラモードあんにゅ。 

あんにゅの大人子供みたいなルックスのイメージ通りのポップで跳ねるようなかわいい曲もあれば『未来』だとか『大旋風』みたいなクールな楽曲もこなせるかなり器用なグループ。特に『大旋風』は、ずっと「妹」のように接してた真隣に住んでる幼馴染みに久しぶりに会ったらえらく女っぽくなっててドキドキした、みたいな感覚で動悸がヤバいです。

「多様性」を打ち出してる女性ボーカルグループってそこまで多くないと思うので、これからももっと色んなことやってほしいなーと思った。

 

 

スピラ・スピカ(スノーマン)

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MVでもわかるように紅一点ボーカル・幹葉のキラースマイルから繰り出されるナチュラルサークルクラッシャー感が良い具合に音楽に昇華されてて、聴いてて色んな意味でドキドキしてくるバンドです。オフの感じとライブ中で全然顔違う。

「最近どうなってんだろ?」とホームページ覗いたらスノーマンからスピラ・スピカに改名して一人減ってた。おい幹葉。

 

hakubi


Hakubi - 夢の続き 【MV】

どんなに血眼になって探しても顔がちゃんと写ってる画像の一枚も映像の一秒もない徹底ぶり。『すごいよ!!マサルさん』のマサルの母ちゃん?ボーカル・片桐の力強いのにどこか廃退的で切なさも感じさせる唯一無二の声。聴いてると胸のあたりが「グッ!!!」っとなる。

そして片桐の声だけじゃなく、単純にバンドとして、音楽としてめちゃくちゃ良い。一音一音しっかりと鳴らしてる。調べたらまだ十九、二十歳で末恐ろしい。

 

まとめ

どうでしたか。これ読んだら親父、連絡ください。

墓を見に行ったらYAZAWAが死んでた

先日、父方のじいさんが死んで、最近ようやくバタバタが落ち着いたんで、墓どうするか決めに親族みんなで霊園に行った。

それで、ちょっとビックリしたんですけど最近の霊園ってほんとスゴくて。そこの霊園、室内に納骨堂があるんですけど、もうほとんど神殿なんですよ。めちゃめちゃキレイで、天井超高くて、24時間ずっと泉湧いてて、辺り一面花畑で、なんかライオンの石像とか建ってて。ほぼダーマ。たぶん祈ったら転職できる。

しかも、霊園の内観だけじゃなく故人ひとりひとりの墓のデザインがとにかくヤバくて、よくある一般的なイメージのシンプルな墓石じゃなくて、なんかかわいらしいキャラクターのイラスト彫られてたりとか、自分の名前よりもデカい文字で『情熱』とか彫ってたり(湘南美容外科クリニックかよ)、ステンドグラス埋め込まれてたり、石の上にクリスタルオーブみたいなの乗ってたり、音楽やってたからってピアノの形になってたり、オフコースの『さよなら』の歌詞「さよなら さよなら さよなら もうすぐ外は白い冬」って彫られてたり、失礼な話ですけど、見てるとちょっと笑えてきて。

 

 

極めつけは、真っ黒な大理石にどデカい星のマークとスタンドマイクみたいなイラストが彫られてあって、星の上を見ると『YAZAWA』の文字。

 

「や…矢沢……?」

「あっ。いえ、この方は生前、矢沢永吉さんの大ファンの方で。こちらに本名が。(墓の側面を指さす)どうしても自分の墓にはYAZAWAを入れたいという本人たっての希望でこういったデザインになりましたね…」

「もうほとんどYAZAWAの墓じゃないですかこれ」

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…自分の名前よりもデカく、好きなミュージシャンの名前を彫る。そんなファンに、俺もなりたい(なりたくない)

そんなリビングデッドYAZAWAのインパクトと霊園スタッフの「お参りに来られた方はみなさん終わったあとに他の方の墓も見ていきますね(笑)」の発言にやられてだんだん家族みんな頭バグってきて、もう「いかに目立つ墓作るか」みたいなテンションになってきて。

 

「じいさんは細川たかしが好きだったからいっそ墓石に『北酒場』って彫ろうか…?」

「いっそ墓自体を細川たかしの姿に削ってもらって…」

「いや、どうせならレイザーラモンRGの姿にしよう、それで「あるある言いたい」って入れよう」

「いや、もうそれ誰の墓だよ」

「親戚以外も来るんだから…」

「ばあさんのこと引くほど好きだったから『ばあさんLOVE』って入れる?」

「いやだよ、あたしゃ。恥ずかしい、あたしが入るときどうすんだい」

「そのときは『じいさんLOVE』って追加で……」

「もうあえて『建てない』って選択肢も……」

 

 

 

墓場から死んだじいさんの「いや、わしの墓!」と言う声が聞こえてきそうです。スマン、じいさん。

※最終的にわりとシンプルなのに落ち着きました

 

 

ポルノグラフィティ新藤晴一、「女をダシに」した歌詞書いたら最強説

「女をダシに」と言うとめちゃくちゃ聞こえ悪いんですが、「女性」をテーマに歌詞を書くときのポルノグラフィティ新藤晴一は本当にすごいんですよ。

新藤晴一の女性視点の歌詞で書かれた曲を聴くとき、俺は男でありながら主人公の女に共感する。心は完全に女になる。いるはずもない「彼」「あなた」を想って人知れず枕を濡らす。

 

・寂しいと素直に言えず貝になりたい女

・自分の本当の想いをストレートに言えず冗談めかして言ってしまうニヤついた女

・星を眺めては手に入らないと窓を閉める起きるのが遅い女

・「私好みじゃないパフューム」と強がる女

・一秒と千年の違いがわからない空中ブランコに乗った女

などなど…

 

これら、どの曲にも共通して言えることが登場する女性はみな「強くて弱い女」だということ。みな強くて美しい女性だという印象を受けるが自分から相手に対してストレートに想いを伝えられずにいる。

例えるなら「大学卒業後すぐに実家を出て上京し一人暮らしをしているバリキャリOL」

男顔負けに仕事もこなし、家事も料理もきちんとこなす。毎朝早くても、化粧をバッチリにキメ、都会というジャングルを必死に生きている、そんな強い女。本当に勝手なイメージだが、背が高く、髪はロングヘア。高校まで女子校。歳の近い弟と二人兄弟。牡羊座。B型。

だが、彼女たちは『恋愛』となると殊更しおらしくなる。「好き」「愛してる」「そばにいて」「行かないで」そのたった数文字、たった一言が言えず、それは泡となり消える。そんな彼女たちの心の内を千の言葉で代弁する。それが新藤晴一という男。

なのに、言葉数の多さに反比例して具体的な描写は驚くほど少ない。そして「話が飛ぶ」。例えば(こんな曲はないですが)自分の朝食ったメシの話をしてたかと思いきや、いきなり宇宙の理の話をする。にもかかわらず曲の輪郭が全然破綻しない。ヤバい。

だから新藤晴一の歌詞を見るといつも「わかる〜!」じゃなく「(なんかよくわからんけど)わ……わかる……」とため息が出る。

 

「男」が女視点の歌詞を書き、それを「男」である岡野昭仁が歌うからこそ俺は曲の女になるのかもしれない、これが「女」が女視点で書いた歌詞ならそうはいかない。大塚愛の『さくらんぼ』では、YUIの『CHE.R.RY』では俺は女になれない。「足りない 足りない! 足りない!!」とエピソードトークの多さで絆を強調する女には、なれない。

あくまで男の書いた「フィクション」「幻想」「夢」だからこそ、俺は貝になりたい女に、空中ブランコに乗った女になる。

だからか、新藤晴一が書く女性視点の歌詞には「生々しさ」みたいなものがない。女の情念を歌にしてもやはりどこか清々しく、儚げで、そして美しい。ただ、こんな女、たぶんいない。

 

そして、げに恐るべきは「貝になりたい女」ことポルノグラフィティ最大にして最強の曲・サウダージの歌詞、これ「男の女々しさを女の言葉で書いた」曲だということ。リスナーは完全に掌でクルクル転がされてる。アホみたいな面しながらあのキレイな手の上で踊ってらぁ。

そりゃあ共感するだろうよ…そりゃあ枕濡らすだろうよ…。だって新藤晴一が書いていたのは、どこぞの女じゃなく、紛れもねぇ「「俺」」だっただもん…………。はぁ……………好き………。

 

…では最後に、仮に俺がポルノグラフィティの曲に一作だけ女性目線で歌詞を書いたとしたらどうなるか………、

待ち続けるの 彼からのライン

どうして?こんなに好きなのに?

「いますぐに会いたいよ」思わず送るの。

既読までの時間が苦しい 苦しい 苦しいよ wow wow 

これが限界だよ。含みも情緒も糞もねぇ。ただのミクシィの日記。 ゲオでバイトしてる店員。天秤座。1杯目からカシオレ。趣味「人間観察」。

 

だが……これがもし「男の女々しさを女の言葉で書いた」としたらどうだ…?なんということでしょう………完全に通報案件。ゲロで枕濡らす。ありがとうございました。

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『愛が呼ぶほうへ』の新藤晴一のヤバい歌詞とそれ以上にヤバい岡野昭仁の歌について

せーの!

岡田くん!

あおいちゃん!

結婚!おめでとう!

 

そんな、岡田准一くん主演ドラマ『末っ子長男姉三人』の主題歌にもなったポルノグラフィティの『愛が呼ぶほうへ』をご存知でしょうか。

一般的に「ポルノグラフィティ」といえば、アポロやミュージック・アワーのようなデジタルロックや、サウダージやアゲハ蝶のようなラテン調の曲を思い浮かべる人が多いですが、この『愛が呼ぶほうへ』を抜きにしてポルノグラフィティを語ることはできません。

人が人へ想いを伝えるラブソングはたくさんありますが、『愛が呼ぶほうへ』はそれらに比べるとだいぶ毛色が違ってきます。まごうことなき世にもおっそろしいバラードナンバーなのです。

 

『愛が呼ぶほうへ』という曲を簡単に説明するとこうです。

 

 

スペシャルドラマ「愛が呼ぶほうへ」

…やぁ。

突然現れてすまない。ビックリしたよね。

雨。僕は雨。そう、空から水が降る、あの雨だよ。

そして僕は風でもあるんだ。そう、あのビューと吹く、風。

意味がわからない、って顔してるね。ふふっ、そうだよね。

 

じゃあ、改めまして。僕の名前は愛だよ。そう、愛。愛だよ。

はじめまして、じゃないよ。僕らは何回も会っている、君は知らないかもしれないけどね。

僕はずっと君を見ていたんだ。あれ?信じてないかい?

 

そうだ、面白い話をしよう。

 

君がまだ幼かった頃、男の子にフラれたことがあったろう?そのとき一緒に泣いてくれた友だちを覚えているかい?そう、カオリちゃんだね。カオリちゃんの隣に僕はいたんだ。そう、ずっと、いたんだ。隣で微笑んでいたよ。

でも、カオリちゃんも、僕だよ。

それと、君が上京するときにお父さんが見送りに来ただろう?君は気づかなかったかもしれないけど、あのときお父さんは泣いていたんだ。背中でね。背中で泣くのが男さ。そして、それを受け止めたのが僕さ。

そう、君のお父さんも、僕なんだ。

 

もう言わなくてもわかるね?僕の名前は愛。

そして悲しみ。そう悲しみ。悲しいと涙が出るよね?あれは、僕だよ。

そして喜びでもあるんだ。嬉しかったり、楽しかったりすると笑うだろう?あれも、僕だよ。

 

空に向かって伸びる花。

海を越えようとする旅人。

みんな、僕に導かれているんだよ。

でも、空も、花も、海も、旅人も、僕だよ。

 

最後にもう一回だけ言うよ、僕の名前は愛。愛さ。

そして、君も愛なんだ。

うん、そうだね。君の名前はミユキちゃんだね。でも、君も愛だよ。

いままで君が歩んできた人生、それは僕だよ、これから君が歩む人生、それも僕だよ。

君がいまこうやって僕と話しているこの瞬間、これも僕だよ。

僕は君であり、君は僕なんだ。

そう、僕は君にとってのすべてなんだよ。

遠くから、そして近くから、君のことを見ているんだよ。

 

わかった?

 

わかった…?

 

わかったならどこかに電話するの、やめてくれないかな…?

 

以上。

さて、ここからが本題。この曲をサラリと歌ってしまうボーカル岡野昭仁という男。彼の声の持ち味というものを挙げるとすれば「パキッと伸びる高音」「ハキハキとした滑舌の良さ」がありますが、例えばバラード、そう今回の『愛が呼ぶほうへ』のような曲において特筆したいのが「一曲のなかでカメレオンのように変わる歌い方」です。

 

その最たる例がコチラ。

1番サビ

「僕を〜知っているだろぅ〜かぁ…いつもそばに〜」

続いて2番サビ

「君は〜知ってるだろぅ〜かぁ〜悲しみも〜」

 

そしてラストサビ

「僕を〜知っているだろぅ〜か〜あいつもそばに〜」

 

お分かりでしょうか。1番サビ「かぁ…いつも」2番サビ「かぁ〜悲しみも」ラストサビ「か〜あいつも」この微妙な変化を。

なぜあえてそんなことをするのか。このことに気づいてから私は狂ったように愛が呼ぶほうへを聴き続け、やがて一つの結論に達しました。

 

「僕は愛だよ。そして君も愛だよ」

 

そう、もうおわかりですね。『愛が呼ぶほうへ』は雨の、風の、友の、父の、悲しみの、喜びの、空の、花の、犬の、猫の、虫の、人の、僕の、そして君の曲。

そう、愛は一つであり、二つであり、三つであり、全て。

一番の「愛」と二番の「愛」とラストの「愛」、すべては違う「愛」だということを本当に、本当に小さな、ブレスの、タメの変化によって表現しているのです。

  

この歌詞を書く新藤晴一も新藤晴一なら、それを受けてこの歌い方をする岡野昭仁も岡野昭仁でしょう。そう、これが「ポルノグラフィティ」。いいえ、ポルノグラフィティも愛です、そして僕で、そして君です。どうぞよろしく。

 

愛が呼ぶほうへ

愛が呼ぶほうへ