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かんそう

かんそうブログ。20代後半男。札幌

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マヨネーズと結婚したい

日記

マヨネーズと結婚がしたい。小さい時から俺はマヨネーズが大好きだった。俺はいつもマヨネーズを必要としていたし、マヨネーズも俺を必要としてくれていたと思う。何にでもかけ、かけられる仲だった。

 

でも俺は過ちを犯した。ある日、夜の店で見かけた彼女に心を奪われてしまった。俺は思わず声をかけた。「何してるんですか?」彼女はこう答えた。「誰かに食べられるのを待ってるの...」と。彼女の名前は「タルタルソース」と言うらしい。

それからというもの、俺はタルタルソースの虜になった。マヨネーズのことを忘れ、何にでもタルタルソースをかけた。エビフライ、唐揚げ、コロッケ、フライ、サラダ、納豆、カツ、カレーエトセトラエトセトラ...。

 

知らず知らずのうちに俺はマヨネーズを傷つけていた。どんどんマヨネーズへの気持ちはハーフ、ライト、ゼロノンコレステロールになっていった。そうしてマヨネーズとは会わない日々が続いた。「お前なんかいらねーよ!」言葉では言わないまでも、マヨネーズに対してそういう態度をとっていたんだ。

 

マヨネーズから離れ何ヶ月か過ぎた頃、自宅のポストに一通の手紙が届いていた。「もしかして...」と思い宛名を見るとマヨネーズからだった。

 

「お久しぶりです、マヨネーズです。お元気ですか?あなたに伝えておかなければならないことがあるの。会ってくれませんか?」

 

あれからというもの、俺はタルタルソースの重たいところに耐えられなくなり自分から別れを告げていた。会いたい、今すぐマヨネーズに会いたい。マヨネーズ、マヨネーズ...。そんな気持ちに駆られて俺はマヨネーズの元へ向かった。

 

待ち合わせの場所に着くとマヨネーズはそこにいた。「...久しぶりだね」マヨネーズはそう微笑んだ。その優しい笑顔はあの時と同じだった。

 

「聞いてくれマヨネーズ、俺はもうタルタルソースとはずいぶんと会っていなんだ。俺にとって本当に大切なものがなにか気づいたんだ、素直な気持ち、ピュアセレクトに。俺にはマヨネーズが必要なんだ。マヨネーズ、俺とまた...」マヨネーズに自分の想い全てを伝えたいがあまり口早になる俺の言葉を遮るようにしてマヨネーズが口を開いた。

 

「知っていたわ。だってずっとそばで見てきたもの」

 

「え?何言って...」

 

「タルタルソース、あれは私なの。いえ、正確にはあれ「も」私なの」

 

突然のマヨネーズの告白に俺はただ戸惑うばかりだった。

 

「私にはもうひとつの顔があるの。ひとつは昼の顔マヨネーズ。そしてもうひとつが夜の顔タルタルソース。どっちも私よ。ふふ、あなたったら全然気がつかないんですもの」

 

マヨネーズは、いつも俺のそばに居てくれていた。でも俺はそれがあたりまえになっていて本当に大事なものを見落としていたんだ。俺はそっと瞳を閉じた。目を閉じれば億千の星、一番光るお前がいる。大親友の彼女の連れおいしいパスタ作ったお前。...そして俺はもう一度マヨネーズに告げる。

 

「マヨネーズ、もし...もし良かったら俺とずっと一緒にいてくれないか。幸せになろう」少し涙ぐんで静かに頷くマヨネーズ。

 

いまやっと気がついた。

 

俺にとってマヨネーズは天使...いや...キューピーだったんだ。