読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

かんそう

かんそうブログ。20代後半男。札幌

広告

漫画『クズの本懐』感想

漫画 / アニメ

Kindleで『クズの本懐』という漫画を5巻まで読みました。内容はドロドロの恋愛劇なのですが、読み進めていくうちに登場人物が多く誰が誰のことを好きか、どんな想いを持っているのかよくわからなくなってくるのでとりあえず関係性を矢印で現しました。名前は全て「高校生」「大学生」「教師」とします。

f:id:ikdhkr:20151112130246p:plain

作者は横槍メンゴという漫画家で、この作者の他作品で記憶に新しいのがヤンジャンかなんかでやってた女子高生が一定時間急にエロくなる漫画があって、最初読んだときは「うわこいつ何考えてんだヤベえこれで抜けると思ってんなら男舐めんな」とか思っちゃったんですが、性描写をある程度抑えつつ登場人物の心理描写に特化させるとここまで上手い漫画を描けるのかと感銘を受けました。

まず、この『クズの本懐』の特徴は、止めることの出来ない時の流れ、そして自我と無意識のはざまで揺れる男女の関係を描いた作品だということです。

主人公の高校生(女)と高校生(男)はお互い他に好きな人がいるという状況の中で、唯一その想いを知っている二人は「秘密の共有相手」として交際をスタートすることを決意します。彼女達が想いを寄せる人は決して自分に振り向くことはない、そうわかっていながらもこの想いを止めることは出来ません。それを慰めるかのように彼女達は触れ合っていくのです。そしていつしか「心以外は私のもの」そんな感情さえ生まれてくるようになる。

これは裕福な家庭にも関わらず夫との関係が上手くいかないことや子育ての悩みから、スリルを求めてスーパーの万引きに手を染めてしまう主婦の気持ちとよく似ている気がします。彼らは秘密の共有をする自分たちに酔っているのです。その証拠に彼らは「心以外は私のもの」と言っておきながら他の男女とも次々と関係を持ち始めます。そして遂には一番正直にいたかったはず相手なのに互いに嘘を重ねていってしまいます。

ただ彼女達は嘘つきでどいつもこいつもクズですが、それと同時に欲望に正直で純粋なのです。心の鍵だけは決して開けずに体は誰よりも正直に、気持ち良いことを求めていきます。それは相手を傷つけようとか、単なる浮気という言葉では決して表すことのできないものです。そして汚いものを描きながらも登場人物達を美しいと感じてしまう力がこの漫画にはあります。登場人物誰もが決して正しいことをしているわけではないのに、それを読んでいる僕達は否定することも出来ない。それは僕達の中に彼ら・彼女らのような感情が少なからずあるからではないでしょうか。

そんな数多くのクズが登場する『クズの本懐』の中で最もクズかつ純粋なキャラクターといえば間違いなく「教師(女)」で「異性に異性として見られるのは息をするよりも簡単」というちびまる子もといさくらももこと同じ能力を所有しているこの教師(女)はその強烈な自己愛ゆえに他者を愛するという感情を知らず自分に向けられる異性からの好意のみで自我を保っているのですが、この女が厄介なのは「全て自覚している」ということ。そしてそれを受け入れた上で「搾取する側」に回っているということです。誰よりも幸せであり不幸である彼女はこの『クズの本懐』を語る上では無くてはならない存在で、そんなイージーラブ、イージーカム、イージーゴーな彼女が最終的にどんな道を選ぶのか、どうなっていくのか、この終わることのないクズスパイラルから一人抜け出し幸せを勝ち取るのか、それとも地獄に落ちるのか。そんな教師(女)の動向も『クズの本懐』を楽しむためのポイントのひとつです。

物語全体としては、どう転んでもハッピーエンドにはなり得ないと思うんですよね。高校生(女)のハッピーエンドは教師(男)が教師(女)の本性に気付いて自分に振り向いてくれることだけど、読んでいてわかるように教師(男)は高校生(女)のことをまず妹みたいな存在としか思ってないのは明白で、高校生(女)が教師(女)のように完全に覚醒して搾取する側に回ってしまえば異性として見られる可能性はあるのかもしれないけど、そうなったら恐らく教師(男)だけでは満足はできないし。かと言って高校生(男)のことを心から好きになるとも思えません。物語序盤は二人が徐々にお互いを好きになっていくんじゃないかっていう作者のミスリードにまんまと引っかかったし、レズ高校生エンドはまずありえないし、大学生(男)とどこまでいくかもわからん。個人的には、ちょいちょい登場して思わせぶりに俯瞰で見てます的なスタンスを取ってるモブキャラに見せかけた眼鏡(男)がいるんですけど、そいつがまた物語をややこしく引っ掻き回すんじゃないかと予想してます。

そんな昼ドラよりもドロドロと、少女漫画よりも純粋な『クズの本懐』、実写化の際は、教師(女)役=石原さとみ!失恋ショコラティエとキャラモロ被りだけど石原さとみで! 

クズの本懐 1巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

クズの本懐 1巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)

 
関連記事