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木村拓哉の顔を被ったおっさん『A LIFE〜愛しき人〜』1話感想

木村拓哉主演ドラマ『A LIFE〜愛しき人〜』1話の感想。

去年1年間、本当に色々なことがあって世間が抱いている「木村拓哉」という人物のイメージが人によっては上がったり下がったりしていると思うのだけど、木村拓哉そのものはまったくブレることはなかった。いつもクールで格好良く、そして時に熱い真っ直ぐな男。良くも悪くも。

よく木村拓哉の演技を評する声として「なにをやっても同じ」という意見を耳にするんだけど、それは一方では正解、しかしもう一方では間違いだと思ってる。木村拓哉という男は誰よりも木村拓哉という役を演じてる。美容師をしていても、検事をしていても、F1ドライバーをしていても、パイロットをしていても、侍をしていても、総理大臣をしていても、ロボットになっても、確かにどれも木村拓哉は木村拓哉なんだが、どれも違う、木村拓哉という入れ物の中に別の木村拓哉が入っている。そう、木村拓哉とはいくつもの違う木村拓哉の顔を持つ役者、アシュラマンなんです。

例えるならそれは「木村拓哉が役に入り込むのではなくて役のほうからいつの間にか木村拓哉に歩み寄っている」という状況。モノマネ芸人に真似されすぎると本人の挙動がモノマネに寄るみたいな感じだ。ただそれは「SMAP木村拓哉」だからこそ成り立っていた部分でもあって。でも今回、SMAPの看板を外し改めて木村拓哉が木村拓哉たるゆえんを世間にアピールしなければならない、このある意味で逆境のなか木村拓哉がどう乗り越え、どんなドラマを作っていくのか、俺はとても楽しみな気持ちでこの第1話に臨んだ。

 

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まず、木村拓哉演じる外科医・沖田一光が最初に画面に映った最初の飛行機内でのシーンに違和感を覚えた。「んん…?」なにかが違う。場面は変わっておしゃれなBGMにあてられ颯爽と病院へ向かうシーン。「木村拓哉だ…」さっきのは感覚は気のせいだったのか。

ストーリーが進むにつれ、その感覚は絶えず繰り返された。沖田一光、木村拓哉、沖田一光、木村拓哉…2つの顔が目まぐるしく入れ替わる。そして大事な手術のシーンを観終えた時、なにかがストンと腑に落ちた。

「沖田拓哉?」

そう、混在していた2つの人格は統合し、まったく新しい「沖田拓哉」という存在を作り出していた。一見すると一部の隙も見当たらないほど格好良くも、どこか脆く、人間的な弱さも感じさせる40オーバーのおっさん。自分への陰口を耳にしてギロリと相手を睨んだり、野菜ジュースを飲みすぎて腹を下す、なんて茶目っ気たっぷりの一面もある。好きな人も病院の地位も手に入れた幼馴染を恨めしそうな目で見つめたりもする。なのに見た目はトップスター・木村拓哉。明らかに今までの木村拓哉の演技とは違う存在。ここにまったく新しい木村拓哉が誕生した。

 

それだけじゃない、ストーリー、キャストなどドラマを彩る他の要素もそんな新生・木村拓哉を支えるような一因となってる。

第1話では病院長を救うためのオペが二度があって、その一度目はまさかの「失敗」に終わる。ここでこの主人公・沖田が決して完全無欠のスーパードクターではない、ということがわかる。

 

元彼女で病院長の娘・壇上深冬(竹内結子)や、深冬の夫で副院長、そして沖田の幼馴染でもある壇上壮大(浅野忠信)との関係性も面白い。

特に壮大は沖田に対して嫉妬心バリバリの表情を見せる。竹内結子を当時付き合っていた沖田から引き剥がすために彼をシアトルに追いやり、沖田のいない隙を狙って結婚、院長の手術のため仕方なく引き戻すも沖田が手術を成功させると嫉妬のあまり壁を殴って叫び出す始末。そのくせ秘書である榊原(菜々緒)と不倫関係にあるなど、かなりみみっちい役だ。でもそれが逆にどうしようもないほどの人間臭さを感じさせ、ドラマを盛り上げるカンフル剤になってる。竹内結子という妻がいながら影で菜々緒と不倫?大きめのトラックに轢かれろ。

それ以上にオペナース・柴田(木村文乃)、彼女がもう最高。めちゃくちゃかわいい。井川(松山ケンイチ)はじめ、他のドクターにはキツく当たり散らすのに沖田にだけは尊敬の眼差しで彼を見つめ、時に「女の顔」になる。そのギャップに別の意味でやられる。

そして極めつけは主題歌。なんとB'zが担当してる。B'zが木村拓哉のドラマ主題歌を手がけるのはビューティフルライフの「今夜月の見える丘に」以来。「木村拓哉×B'z」、名ドラマの予感しかしない。『A LIFE〜愛しき人〜』をこの先も観続けるかどうか、松本に相談するまでもない。