先日、友達とできたばかりの串揚げ屋に行った。
セルフサービスで食べ放題の串揚げ屋だったのだが、海老が甘海老だったこと、串の刺さりが甘く、揚げている途中で具材が油の中に落ちてしまうこと、ソースが妙に甘くて不味かったことという3甘には目をつむり、楽しい酒の会は終了した。
会計をしようとレジに向かうと、対応してくれた大学生くらいのバイトの女の子がなぜかレジを使わず、電卓で会計を済ませようとした。
女の子「生ビール500円が6杯...食べ放題メニューが1980円かける2の...」
少しもたつきながらも一生懸命仕事をする彼女の姿は俺たちの心を暖かくした。
女の子「あれ?おかしいな...?なんか端数が出るんですよ」
「?」
そう言って彼女は電卓をこちらにむけた。
「7516.8」
女の子「あ、あれ?すいません、もう一回計算しますね」
俺「あ、いや」
そう言う俺たちの言葉も聞かず、彼女は再び電卓を打つ。
女の子「あれれ?どうして?」
江戸川コナン顔負けの「あれれ」を口にした彼女の手元の電卓は「7516.8」と表示されていた。
友達「いや、レジそこにあるんだから、レジでやればいいんじゃないの」
女の子「いや、レジちょっと調子悪くて...すいません、やり直します」
友達「いやいや、消費税8パーセントだから端数は出るよ」
女の子「そうなんですかね」
俺「いや、そうなんですかねって」
女の子「じゃあ、余りはどうしたらいいですかね」
友達「いや、切り捨てか切り上げかは店によって違うから俺たちは知らないよ」
女の子「えっ」
2人「えっ」
女の子「...」
女の子「ん〜じゃあ7516円で大丈夫です♡」
友達「いやいや、確認しないの」
女の子「たぶん、切り捨て?なので大丈夫です♡」
俺「いや、いいならいいけどあんたが大丈夫かよ」
支払いを済ませる俺たち
女の子「すいません、お時間とらせて」
友達「いや、大丈夫だけど」
女の子「ありがとうございました♡またお願いします♡」
そして俺たちは店をあとにした。うしろを振り返ると、次の客に彼女は電卓で会計をしていた。きっとまた、端数が出ることだろう。
友達「あの店、すぐ潰れるな」
俺「ああ」
2人「まあ、かわいかったからいいけど」
2人の心にゆとりが生まれた瞬間。
あなたは間違ってませんでしたよ、小泉元首相...。