よくパソコンで動画を鑑賞するのだが一昔前までよく目にしていた「This video has been deleted.」の文字をしばらく見かけなくなった。
「This video has been deleted.」とは和訳すると「この動画は削除されました」という意味でこの文字を目にする度にとても深い悲しみに襲われた。以前どこかで「男は生理の辛さがわからない 女はThis video has been deletedの辛さがわからない」という文面を見かけたがその通りだと思う。逃した魚は大きい。
なんとか削除されてしまった動画を観ようとキーボードのF5を連打したり、Google検索で「This video has been deleted. 復元」「This video has been deleted. 元に戻す」など検索をかけていたが、そもそも埋め込みの動画自体が削除されてしまっているのでどんなことをしても観ることはできない、窓から見える月を掴むことは決してできない、ということを俺は知っていた。ただそれでも観られる方法があるのならばたとえ法を犯すことになろうとも観たい、そう思っていた。
社会人になり自分で自由にお金を使えるようになってからは、無料動画自体を観ることが少なくなり、無料低画質ユーザーからDMMなどの有料高画質動画ユーザーへとシフトしていた。
そしてある日、ブルーレイなるものを通販し鑑賞したときに悪い意味で強い衝撃を受けた。いままで見えなかったニキビ、剃り跡、毛穴、臀部のブツブツなど見たくなかったものまで見えるようになっていたのだ。「きっつ...」思わず声に出してしまった。
「見えるけど見えないもの」
少年ジャンプで連載していた漫画「遊☆戯☆王」で主人公の武藤遊戯の親友・城之内克也がこの言葉をよく口にしていた。当時は意味がわからなかったが、今になってその意味がようやくわかった気がした。
そうしてまた「This video has been deleted.」と向き合うことにした。