ドラマ『カルテット』で松たか子演じる主人公・巻真紀がこんなことを言っていた。
「私たち、同じシャンプー使ってるじゃないですか。
家族じゃないけど、あそこはすずめちゃん(満島ひかり)の居場所だと思うんです。
髪の毛から同じ匂いして、同じお皿使って、おんなじコップ使って、パンツだってなんだってシャツだってまとめて洗濯機に放り込む家じゃないですか、そういうのでもいいじゃないですか」
20代前半のとき、「レイちゃん」という娘と知り合った。
レイちゃんはいわゆるお水で最初は客と嬢の関係だった。レイちゃんは美人で気立ても良く店のなかでも人気がある娘で「お水の花道」の財前直見をイメージしてもらえればいいと思います。
当時、金だけはあったもんだから毎週のように店に通ってはレイちゃんを指名してた。趣味や考え方が近くすっかり意気投合した俺たちは個人的に連絡を取り合うようになり、いつしかレイちゃんはウチによく遊びに来るようになった。本気になるのはいけないと思いつつも、俺は付き合う気まんまんだった。それで、話は最初に戻る。
レイちゃんはシャワーを浴びるとき俺と同じシャンプーを使うのをひどく嫌がった。なぜかいつもラブホテルに置いてあるような無香料のシャンプーとボディソープを持ち歩いていてそれを使っていた。
「あれ?うちにあるやつ使っていいんだよ?」と言うと決まって「敏感肌だから身体に合うものしか使えなくて、、、」と返される。
同じお皿使って、同じコップ使っているのに、髪の毛から同じ匂いはさせない。
あれ?これおかしくね?がんとして家にあげようとしねえし、いっつも誰かしら親族泊まりに来てるし、先週はじいちゃんって言ってたよね?え?じいちゃん来る?孫の家に?じいちゃんソロで泊まりに来る?プロポーズ大作戦かよ。
それである日、意を決してレイちゃんに聞いた。
「あのさ、もしかして彼氏、いる?」
「えっ?なんで?」
出た、出ました、質問を質問で返すアレ。パチンコだったらセリフ金文字ですね。画面レインボーです。ありがとうございます、ボーナス確定です。
「いや、家にあげてくれないし、シャンプーうちの使わないし、そもそも絶対じいちゃん泊まりに来てないよね」
「…ずっと同棲してる」
「…」
ほとばしる熱いパトス。
その後、俺が店に行かなくなると連絡がつかなくなったレイちゃん。ああー、これってもしかしてアレですね。MAKURAですね。
後日、一緒に店行ってた同僚にお前で3人目だったみたいだなとか言われました。殺す。
ほんと女ってやつは残酷ですね。レイちゃん(エヴァの方)のセリフ借りるなら、こんなときどういう顔すりゃいいかわからない、ですかね(血の涙)。まぁ今となってはレイが本名かどうかも怪しいですけど。
では、最後にカルテットの巻真紀さんのセリフでお別れです。
「泣きながらご飯食べたことある人は生きていけます」