ポルノグラフィティの新曲『Montage』の感想。
とりあえず、メチャクチャ不安でした。
タイアップがアニメ『パズドラクロス』のOPって聞いたときから「な!?ぱっ?ぱーーっ!?」ってお前こっちはアニメタイアップですらもう腹一杯でゲロ吐きそうなのによりによって、ぱっ?ぱーーーーっ!?いや知らねぇけど、パズドラクロスがどんな内容かまったく知らねぇけど、ガキ向けだろ?龍を召喚する主人公が困難を切り開いていく話…?は?なんだそりゃ、小5くらいでじゆうちょうとかに書くやつだろそれ。俺が好きな「結婚7年目の夫婦を取り巻くオトナの恋愛模様をコミカルかつシリアスに描くラブストーリー」じゃないのかよ。そろそろドラマ主題歌頼みますよマジで。じゃあどうせ本の装丁屋が婚約破棄した異母兄弟の元婚約者と良い感じになるみたいな展開なんかないだろ?オープニングも真っ白な画面で真っ白な服着た男女6人がチャカチャカするような、「やみにうぅかんだかがりべにぃ〜」っつって笑いながらキスするようなヤツじゃないんだよな?どうせサビとかでボロボロになった主人公が最大の敵に立ち向かって「うおおおお!!」みたいに拳振り上げてるみたいな、八万回やったアレだろ?オーケーオーケー。
と、ソワソワしながら追加情報待ってたら、詞曲編曲者と曲名が出て『作詞:岡野昭仁、作曲:新藤晴一』「…??…?あ?えっ…ぎゃ、逆じゃねぇの…?」と最初は本気で誤植かと思ってたが一向に修正する気配がないので「マジでこれでいくのか…気でも触れたかポルノ」となり、今までリリースした昭仁詞晴一曲って全然信用してなくて改めて一覧をバーっと眺めてみても、CMタイアップになった『エピキュリアン』はじめ琴線にまったく触れない曲ばっかりだったので下がり続けてたハードルがついに地面についたところで先日の初オンエア。
結果、うっわ…おい...どうした…?めちゃくちゃ良い……。うわっ…。
今まで出たどのシングル曲よりもおそらく最もスタイリッシュで、良い具合に肩の抜けた楽曲。ソリッドなバンドサウンド、EDMの要素はあるもののそれはあくまで副次的な要素で決して楽器一つひとつの音を殺さず活かすためだけに加えられたアレンジ。まさにシンプルなアレンジにこだわってきた2000年代初期と〜最新のサウンドを取り入れ始めた2010年代のポルノサウンドの悪魔合体。サビで終始鳴ってる「デーデーデーデーデーデーデーデーデーデードデードデド」ってギターリフ…脳…溶けるッッ…。
そして俺がなにより1番驚いたのが「岡野昭仁の歌い方」だった。ここまで語尾を伸ばさないことを徹底している歌い方は近年稀で、例えばサビ終わり「君は モンタージュ モンタージュ」の部分なのだが、従来の昭仁なら「きみはモンタァジュ モンタァ〜〜〜〜〜〜〜〜ァ〜〜〜ォオ〜〜〜〜〜ン!!」となっていたはずだ…。
だが、Montageは違う。「きみは モンタァジュ モンタァジュッ」と余韻を持たせずにスパッと切っている。曲全編を通しても、全ての語尾を伸ばさずに言い切る歌い方。ここまでクセを出さずクールな歌い方をしている岡野昭仁を俺は知らない。そしてアウトロも良い意味で拍子抜けするくらいシンプルなアレンジで終わる。いちおうパズドラクロスというタイアップはついてはいるものの、決して媚なんか売らずバン!と歌ってバン!と自分の仕事だけ完璧にキッチリこなして帰っていくような、これは一昔前、もっと言えば3人時代のポルノグラフィティを彷彿とさせるトガッた格好良さ、そう、まさに俺達が1番最初に好きになったポルノグラフィティの姿がそこにはありました。
歌詞も岡野昭仁作詞で、メッセージソングになることはほぼ予想がついていたもんだからてっきり袈裟まで憎い『君は100%』的な仕上がりになるかと震えてたんだけど(いつガイアとか言い出すのかヒヤヒヤしてた)、言葉の選び方一つひとつは強いものを使ってはいるものの、全体を通して聴くと驚くほど胃もたれしない、バランスのとれた身体に優しい歌詞。えっ…こんなちょうどいい歌詞書ける人だったっけ…?まるで湯どうふを食べた時のような強く、鋭くも優しいフレーズの数々。初聴で思わず「うわっ…やっ…優しっ…」と呟いたのは俺だけじゃないだろう。ポン酢つけたら無限に聴けますわコレ。
しかも、アニメ側も楽曲のソリッドさに合わせてるのか、元々こうなのか知らねーが、前述したボロボロになった主人公が最大の敵に立ち向かって「うおおおお!!」のシーンなんかまるでなく、まさかのスライドショー形式。「パワポで作ったんかお前ら」ってくらいに簡素なオープニングで、逆にちょっと本編観たくなった。
『オー!リバル』『THE DAY』『LiAR』『真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ』と、ここ最近のガツンと胃袋にくるゴツゴツとした屈強な大男がバカでかいナタ包丁で力任せに切り分けた極厚ステーキのような楽曲じゃないが、食べる順番すら指定してきそうな職人気質の頑固オヤジが研ぎ澄まされた和包丁でふるまう湯どうふのようなこの曲が、「まずはなんにもつけずに召し上がってくだせえ」とか言い出しそうなこの曲が、俺は大好きです。オヤジ、ごちそうさん。また来るよ。
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