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『愛が呼ぶほうへ』の新藤晴一のヤバい歌詞とそれ以上にヤバい岡野昭仁の歌について

せーの!

岡田くん!

あおいちゃん!

結婚!おめでとう!

 

そんな、岡田准一くん主演ドラマ『末っ子長男姉三人』の主題歌にもなったポルノグラフィティの『愛が呼ぶほうへ』をご存知でしょうか。

一般的に「ポルノグラフィティ」といえば、アポロやミュージック・アワーのようなデジタルロックや、サウダージやアゲハ蝶のようなラテン調の曲を思い浮かべる人が多いですが、この『愛が呼ぶほうへ』を抜きにしてポルノグラフィティを語ることはできません。

人が人へ想いを伝えるラブソングはたくさんありますが、『愛が呼ぶほうへ』はそれらに比べるとだいぶ毛色が違ってきます。まごうことなき世にもおっそろしいバラードナンバーなのです。

 

『愛が呼ぶほうへ』という曲を簡単に説明するとこうです。

 

 

スペシャルドラマ「愛が呼ぶほうへ」

…やぁ。

突然現れてすまない。ビックリしたよね。

雨。僕は雨。そう、空から水が降る、あの雨だよ。

そして僕は風でもあるんだ。そう、あのビューと吹く、風。

意味がわからない、って顔してるね。ふふっ、そうだよね。

 

じゃあ、改めまして。僕の名前は愛だよ。そう、愛。愛だよ。

はじめまして、じゃないよ。僕らは何回も会っている、君は知らないかもしれないけどね。

僕はずっと君を見ていたんだ。あれ?信じてないかい?

 

そうだ、面白い話をしよう。

 

君がまだ幼かった頃、男の子にフラれたことがあったろう?そのとき一緒に泣いてくれた友だちを覚えているかい?そう、カオリちゃんだね。カオリちゃんの隣に僕はいたんだ。そう、ずっと、いたんだ。隣で微笑んでいたよ。

でも、カオリちゃんも、僕だよ。

それと、君が上京するときにお父さんが見送りに来ただろう?君は気づかなかったかもしれないけど、あのときお父さんは泣いていたんだ。背中でね。背中で泣くのが男さ。そして、それを受け止めたのが僕さ。

そう、君のお父さんも、僕なんだ。

 

もう言わなくてもわかるね?僕の名前は愛。

そして悲しみ。そう悲しみ。悲しいと涙が出るよね?あれは、僕だよ。

そして喜びでもあるんだ。嬉しかったり、楽しかったりすると笑うだろう?あれも、僕だよ。

 

空に向かって伸びる花。

海を越えようとする旅人。

みんな、僕に導かれているんだよ。

でも、空も、花も、海も、旅人も、僕だよ。

 

最後にもう一回だけ言うよ、僕の名前は愛。愛さ。

そして、君も愛なんだ。

うん、そうだね。君の名前はミユキちゃんだね。でも、君も愛だよ。

いままで君が歩んできた人生、それは僕だよ、これから君が歩む人生、それも僕だよ。

君がいまこうやって僕と話しているこの瞬間、これも僕だよ。

僕は君であり、君は僕なんだ。

そう、僕は君にとってのすべてなんだよ。

遠くから、そして近くから、君のことを見ているんだよ。

 

わかった?

 

わかった…?

 

わかったならどこかに電話するの、やめてくれないかな…?

 

以上。

さて、ここからが本題。この曲をサラリと歌ってしまうボーカル岡野昭仁という男。彼の声の持ち味というものを挙げるとすれば「パキッと伸びる高音」「ハキハキとした滑舌の良さ」がありますが、例えばバラード、そう今回の『愛が呼ぶほうへ』のような曲において特筆したいのが「一曲のなかでカメレオンのように変わる歌い方」です。

 

その最たる例がコチラ。

1番サビ

「僕を〜知っているだろぅ〜かぁ…いつもそばに〜」

続いて2番サビ

「君は〜知ってるだろぅ〜かぁ〜悲しみも〜」

 

そしてラストサビ

「僕を〜知っているだろぅ〜か〜あいつもそばに〜」

 

お分かりでしょうか。1番サビ「かぁ…いつも」2番サビ「かぁ〜悲しみも」ラストサビ「か〜あいつも」この微妙な変化を。

なぜあえてそんなことをするのか。このことに気づいてから私は狂ったように愛が呼ぶほうへを聴き続け、やがて一つの結論に達しました。

 

「僕は愛だよ。そして君も愛だよ」

 

そう、もうおわかりですね。『愛が呼ぶほうへ』は雨の、風の、友の、父の、悲しみの、喜びの、空の、花の、犬の、猫の、虫の、人の、僕の、そして君の曲。

そう、愛は一つであり、二つであり、三つであり、全て。

一番の「愛」と二番の「愛」とラストの「愛」、すべては違う「愛」だということを本当に、本当に小さな、ブレスの、タメの変化によって表現しているのです。

  

この歌詞を書く新藤晴一も新藤晴一なら、それを受けてこの歌い方をする岡野昭仁も岡野昭仁でしょう。そう、これが「ポルノグラフィティ」。いいえ、ポルノグラフィティも愛です、そして僕で、そして君です。どうぞよろしく。

 

愛が呼ぶほうへ

愛が呼ぶほうへ