2022/1/28更新
大親友の彼女の連れ おいしいパスタ作ったお前
家庭的な女がタイプの俺 一目惚れ
皆さんはこの歌詞をご存知でしょうか?
これは2006年の超大ヒット曲である湘南乃風『純恋歌』の歌詞の有名なフレーズです。この「お前」が作った「おいしいパスタ」、いったい何パスタなのか、ミートソースなのかナポリタンなのかカルボナーラなのかジェノベーゼなのか…疑問に思ったことはありませんか?
私が今日、その疑問にピリオドを打ちます。歌詞のストーリーを一つひとつ学術的に紐解いていくとその答えがハッキリと見えてきました。
…まずは状況を整理しましょう。登場人物は4人です。
「俺」
「大親友」
「大親友の彼女」
「大親友の彼女の連れ(お前)」
「一目惚れ」というフレーズから「俺」と「お前」はこの日が初対面であること、そしてこの日4人はあらかじめ遊ぶ予定を立てていたわけではなく、ひょんなことから偶発的に集まったことが推測されます。
また、比較的簡単で誰にでも作れる料理でもあるパスタ(『突きつめれば奥が深い』みたいな話は今回は除く)を「家庭的」とイメージするあたり「俺」は食に対してかなり無頓着だということもここから読み取れます。おそらく家にパスタ麺はあってもマ・マーのレトルトソースなんかで適当にすませるようなタイプなのでしょう。
当然、家にロクな食材はありません。オリーブオイルもケチャップも牛乳も卵もニンニクもない。そんな男の家に唯一ある「モノ」…ここがひとつの焦点になってくるのです。
そして、4人が集まった場所はおそらく「俺」の自宅だと推測されます。仮に「大親友」の家ならば『料理を作る』というシチュエーションになったとき、手を挙げるのは「大親友の彼女」になる可能性がかなり高い。「お前」が料理を作るシチュエーションとなると一番可能性が高いのが「お前の家」ということになりますが、初対面でいきなり女が自宅に男をあげるというのは考えにくい。これらを総合すると、
「俺の家」で「初めて会ったお前」が「おいしいパスタを作った」
ということになります。なんの用意もできない状況のなかで「お前」が「なにもない男の一人暮らしの家」で作ることのできるパスタ…もう、おわかりでしょう…
ー if Story ー
…ある夜、俺(サトシ)と大親友のトオルはいつものようにウチで宅飲みをしてた。しがねぇ男の2人飲みだ。
プルルル…プルルル…
サトシ「おい、トオル電話鳴ってんぞ」
トオル「おお、ワリィ。カオリからだわ…もしもし?ん?ああ、サトシん家で飲んでるよ、え?来たい?ちょっと待って」
トオル「サトシ、カオリが一緒に飲みたいって言ってんだけど、いい?」
サトシ「え?ああ…俺は別に構わねぇけど」
トオル「…もしもし?サトシいいって。え?マジか、ああ、わかった。伝えとく、じゃな」
ピッ
サトシ「カオリちゃん、来るって?」
トオル「ああ、これから向かうらしいわ。カオリ、なんかダチ連れてくるってよ。お前最近彼女と別れたばっかだろ?紹介してもらえよ」
サトシ「マジかよ…いや…俺は当分そういうのいいわ、ダリィし」
トオル「んなシラけること言ってんなって。なんかカオリが言うにはスゲーかわいいってよ(笑)」
トオル「バーカ、どうでもいいって(笑)」
ピンポーン
カオリ「あっ、サトシ君久しぶり〜、こっち友達のミユキ」
ミユキ「はじめまして、ミユキです。今日は突然すいません…」
サトシ「は、はじめまして(か、かわいい…)」
トオル「こいつサトシ、俺はトオル。よろしくな、ミユキちゃん。タメ口でい〜よ」
ミユキ「う、うん…ありがと、トオルくん。サトシくんもよろしくね…?」
サトシ「おっ…おう……」
ミユキ「……」
サトシ「……」
トオル「おいおい!二人してなぁ〜に固まってんだよ!(笑)」
カオリ「あ〜、サトシもしかしてミユキに惚れちゃった?(笑)」
サトシ「バ、バカ違ぇっって!!!…なっ、なんかさ!ハラ…減らねぇ?」
トオル「あー、そういやなんも食ってなかったしな〜」
サトシ「でも、家になんもねぇわ…なんか食いに行く?」
ミユキ「あのっ…よかったら…わたしなにか作る…?サトシくん、キッチン借りてもいい…?」
サトシ「えっ?」
〜20分後〜
サトシ「これって…」
ミユキ「パスタ。口に合うかどうかわからないけど…」
トオル「うわっ、スッゲ!うまそ〜〜じゃん!」
サトシ「(マジかよ…俺ん家の冷蔵庫、マジでなんも入ってねぇのに…)」
ミユキ「お醤油と、あと海苔があったから、それで…和風パスタにしてみたんだ…」
サトシ「(醤油…海苔…?あぁ…ばあちゃんの葬式の香典返しでたしか…)」
サトシ「(パクッ)…うまっ……!スゲーうめぇよ!これ!」
ミユキ「よかったぁ〜〜〜〜」
カオリ「ミユキ、こう見えて超家庭的なんだから」
サトシ「……」
ー
トオル「で、8切り、からの〜キング2枚で上がり〜〜〜!サトシまた大貧民かよ、ザッコ!」
サトシ「っせぇんだよ!!ぶっ殺すぞ!!」
トオル「なにマジギレしてんだよ、大貧民のサトシくん〜〜」
サトシ「テメェ〜〜〜!!」
カオリ「はぁ〜〜〜…またケンカしてる…」
ミユキ「ふふふふふふ(笑)サトシ君って面白いね」
サトシ「ちょ…なっ、なに言ってんだよ…」
トオル「おや?おやおや?なんかイイ感じじゃないですかお二人さん?」
ミユキ「えっ…」
サトシ「っせーよ!余計なこと言ってんじゃねぇよトオル!」
全員「ははははははは!」
カオリ「……んじゃ、そろそろ帰りますか。アタシ車で来たからトオル乗せてくね。サトシ君、ちゃんとカオリ送ってってよ〜」
サトシ「わ、わかってんよ…」
ミユキ「あ、ありがと…」
ー
ミユキ「今日は楽しかった〜〜〜!あれ?サトシ君、なんか歩き方スキップになってない?(笑)」
サトシ「そ、そんなことねーよ!…ま、また遊ぼうぜ?あっ、もちろん…みんなで…!」
ミユキ「う、うん…。あっ、月…キレイ…」
サトシ「……」
ミユキ「…?どうしたの…?」
サトシ「あっ、あのさ…!今日はじめて会ったばっかで『何言ってんだこいつ』って思うかもしれねーけどっ…!俺っ、ミユキのこと……すっ、好きだ!誰か見て初めて『守りてぇ』って思った……あっ、ははっ、馬鹿だよな俺、わりぃ忘れて」
ミユキ「わたしも」
サトシ「えっ?」
ミユキ「わたしも…サトシ君のこと、好きだよ。こんなのはじめて…」
サトシ「ミユキ…」
ミユキ「サトシ君…」
〜1ヶ月後〜
プルルルル…
トオル「よぉサトシ、元気か?ミユキちゃんとはうまくいってんのか?」
サトシ「ああ、まぁ、普通だよ」
トオル「またまた〜、最近全然連絡よこさねぇくせに。どうせヨロシクやってんだろ?女できたらすぐこれだよ。まぁ、うまくやってんなら良かったわ。前の彼女にフラレてすげー落ち込んでたからさお前」
サトシ「トオル…」
トオル「また近々4人で遊ぼうや。じゃな!」
ピッ
ミユキ「トオル君?」
サトシ「ああ。また4人で遊ぼうってよ」
ミユキ「ホント良い人だよね、トオル君。あの日もサパチョルが落ち込んでるから励ましたいって、カオリに相談してたんだから」
サトシ「アイツ…そんなこと…。って、その『サパチョル』ってのいい加減やめろって!バカップルだと思われんだろ!」
ミユキ「え〜〜、気に入ってるのに〜」
サトシ「ったくよ〜〜!ははははは!!(笑)
ミユキ「ははははははは!(笑)」
〜6ヶ月後〜
ミユキ「昨日は両親に紹介したいから予定空けといてって言ったよね?なに『飲みに行ってた』って?」
サトシ「ゴチャゴチャうるせぇんだよ!いつ飲もうが俺の勝手だろうが!なんでお前の都合に合わせなきゃいけねぇんだよ!」
カオリ「なにそれ…最低…信じらんない…」
サトシ「重てぇんだよお前!」
バン!
サトシ「ちっ、クソが、あの女。あーイライラすんな、パチンコでも行くか…」
ウイーン
ガヤガヤガヤガヤ…ジャラジャラジャラ……
サトシ「(1万だけ適当に打って帰るか…)」
台「プチュン…!」
サトシ「……」
……
〜4時間後〜
ガチャ…
ミユキ「……どこ行ってたの?」
サトシ「ミユキ…」
ミユキ「なによ…」
サトシ「マジでッ…ゴメン…!!!」
ミユキ「えっ…」
サトシ「…俺、ずっと怖かったんだ。俺らの関係が変わってくのが」
ミユキ「…」
サトシ「ミユキはいつも俺のためにしてくれた。なのに俺は俺のことしか考えてなかった、全部わかった気になってお前のことたくさん傷つけた…」
ミユキ「…」
サトシ「さっき、俺らが付き合い始めたあの道通ったんだ、なんも変わってなかった。それで気づいたよ、変わったのは俺だったって。そしたら楽しかったこととか、ミユキの笑った顔とか、めっちゃ思い出してすぐミユキに会いてぇ、会いてぇって思った…」
ミユキ「…」
サトシ「…俺、この空に誓うわ。もう二度とお前の手ぇ離さねぇ。もしヨボヨボのジジイとババアになってもさ白髪の数ケンカして、そのシワの分だけ絶対ぇミユキのこと幸せにする」
ミユキ「…」
サトシ「俺、バカで金もねぇけどよ、隣にいてくれねぇか?ヘタクソな歌だけどよ、俺の隣でずっとラブソング、聴いててくれねぇか?」
ミユキ「……バカ」
サトシ「ミユキ…一生愛してる……」
……
サトシ「あ…ワリィ、これ渡すの忘れてた。なんか…化粧品?」
ミユキ「えっ、なにこれ…?どうしたのこんな良いやつ」
サトシ「あ〜、景、品?パチンコの?」
ミユキ「もぉ〜〜!遅いからって心配して損した!バカっ!…ふふっ、ふふふふ(笑)」
サトシ「ははっ、ははははははははは!(笑)」
サトシ・ミユキ「ははははははは!(笑)」
サトシ「…はぁ〜〜〜〜、笑ったらなんかハラ減ったわ」
ミユキ「じゃあわたしなんか作るよ。なにが良い?」
サトシ「…そんなの、決まってんじゃん!」
〜5年後〜
ミユキ「いい加減帰るわよ〜」
?「ヤダーー!ヤダーー!」
ミユキ「まったく、勝手なところは誰に似たのかしらね…ほら行くわよ!八星(パスタ)!」
fin…