俳優の高橋一生さんと東京スカパラダイスオーケストラがカバーしたエレファントカシマシの『俺たちの明日』が最高でした。
まず、原曲エレファントカシマシの『俺たちの明日』について少し。
そもそも「がんばれ!」「がんばろう!」って言葉自体、気軽に言いたくなるけど実は誰でも使っていい言葉じゃねぇと思ってて、コイツに言われるとボコボコにしたくなるけど、アイツに言われると泣いちゃうみたいな。だから「がんばれ!」ほど使う人を選ぶ言葉ってないし、知り合いに何の気なしに言われる「がんばれ!」も基本ウザいのに、知らない奴しかも歌だと尚更、わけわかんねぇぺーぺーのバンドとか歌手に「がんばれ」って歌われても、その「がんばれ」の腕とってえい!腕ひしぎ十字固めだコラ、ってなる。
そんな超ハードルの高い言葉「がんばろう!」を連呼するエレファントカシマシの『俺たちの明日』、前言撤回グサグサ心に刺さってきます。「明日も生きよう」って素直に思える。ボーカルの宮本浩次って人の言葉がなんでこんなに刺さるかって、宮本さん「めちゃめちゃ生きるのヘタそう」じゃないですか。MV見ててもひしひし伝わる。映像の口と音源の声が全然合ってないし。笑っちゃうほどの不器用。
宮本さんって、いつも伝えたい想いが溢れてて、頭の中じゃ千も万もの言葉がずっと頭の中グルグルしてるんだけど音楽でしかそれをうまく表現できないってイメージの人で、『俺たちの明日』の「がんばろうぜ!」ってただの言葉どおりの「がんばろうぜ!」じゃなくて、その色んな言葉だとか感情をグチャグチャ〜!って固めて出た一個のバカでかい「がんばろうぜ!」なんじゃないかと思ってて。それって「がんばろうぜ!」としか思ってない人の「がんばろうぜ!」とは明らかに違う。
だから『俺たちの明日』って曲の持つ力ってほんとに凄くて、例えばカラオケでもテクニックで歌ってやろうっていくらカッコつけようとしても、絶対サビで崩壊する。心が声を追い越してくる。それくらい聴いてる人間の歌ってる人間の「素」が出る曲なんですけど、それを高橋一生とスカパラがカバーして歌うって、エレカシも高橋一生もスカパラも大好きな俺はもう期待しかありませんでした。
…もう、初っぱな「さあ!が゛んばろぉぉぉうぜぇぇぇ〜〜〜〜〜〜ぃ!!」からリアル一生がボロンしちゃってます。事前情報なかったら高橋一生って気づかないくらいに振り切れてて普通に「ビクッ!」ってなった。
俺の中での高橋一生って、一見クールで何考えてるのかわかんないのに話してみたら意外と優しいし気さく、けどやっぱりわかんねぇ。そんなイメージだったんですよ。役に入っちゃえば、おちゃらけたキャラクターもやるしケツの穴も見せる。でも絶対腹の底は見せない、みたいな。
だが、そんな既存の高橋一生がひっくり返る「さあ!が゛んばろぉぉぉうぜぇぇぇ〜〜〜〜〜〜ぃ!!」でございました。高橋一生、最高に熱い男でございました。心の中に松岡修造を飼ってました。じゃないとあの「が゛!!」は出ない。濁点2個ついてます。
AメロBメロじゃカッコつけてカッチリおしゃれな服着て曲の主人公を演じてる「役者としての高橋一生」がちょっと残ってるんですけど、サビで全部脱いで全裸で叫んでる「素の高橋一生」が顔を出してくる。2人の高橋一生が行ったり来たりしてギャップで耳粉々になります。スカパラの演奏によって良い意味で『俺たちの明日』が「バカの曲」になってるのも相まって底抜けの明るさ。楽しい。最終的にどんどん「素の高橋一生」の比率がデカくなってきて、ラスサビは音楽の男尻祭り。スカパラ含め全員マッパで暴れまくってます。
そして普通に高橋一生の歌がうまい。「歌うまい」って単純に音程取れてるとか高音が出てるとかだけじゃなくて、満島ひかりや柴咲コウの歌にも感じるんですけど「歌詞に感情を乗せる」のが超うまい。『俺たちの明日』のAメロBメロがセリフっぽいメロディの取り方だからよりそう感じるのかも。「どうだい?」着ボイスにしたい…。この曲を役者に、しかも高橋一生に歌わせようって考えた人を一晩中抱きしめたい…。
もうね、ここまでの熱いモノ聴かされたら俺の中の松岡修造も出すしかないんで、ちょっと今からカラオケ行って『俺たちの明日』高得点叩き出してきます。
がんばろうぜ。俺。
- アーティスト: 東京スカパラダイスオーケストラ& 高橋一生
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