この世のあらゆる「キス」において映画『スパイダーマン(2002)』の上下逆さでマスク下半分出してするアレが最高のキスです。
このシーン切り取るだけでも最高なんですけど、ここに至るまでの経緯も完璧。
主人公のピーター・パーカーは元々なにをやってもうまくいかない超冴えない大学生。そんな中で唯一(と言っていいほど)ピーターに優しくしてくれたMJ(メリー・ジェーン)。ピーターはそんなMJのことが小さい頃からずっと大好きで、聞こえてないのに遠くから、
「やあMJ…。MJ、君がどう思ってるか知らないが…僕たち6歳からお隣同士だ、だから…たまには一緒に遊びにでも行かない?そろそろお互いのこと知り合おうよどう?」
なんてつぶやいたりしてて、ゲロ出そうになるくらいの童貞丸出しで超切ないの…。
でも、ピーターがクモの力を得てスパイダーマンとしての活動を始めることでMJとの関係は急接近。そしてある雨の日、暴漢に襲われそうになったMJをピーターが助けるんですよ。顔を見られそうになったピーターはすぐその場を去ろうとするが「待って!」そう引き止められ、マスクを被り空中にぶら下がった状態でMJの前に現れる。
「トラブルが得意だね」
「救うのがお得意ね」
「ストーカーのヒーロー?」
「そばにいた」
「あなたってステキ」
「嫌いな人もいる」
「ステキよ」
「うれしいね」
「お礼をしたいわ…」
マスクを頭から外そうとするMJ
「まって…」
マスクを下半分だけ外すMJ
ズブ濡れの二人
ムチュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
最後にアゴにキスしながらマスク被せるの考えた奴誰だよ。俺デミー賞受賞おめでとうございます。奢るから酒飲み行きましょうマジで。
これ超大事なのがピーターはあくまで「スパイダーマンとして」助けてるってとこで、紆余曲折あってピーターは自分の正体を隠してて、当然MJもスパイダーマンがピーターだってこと知らない。だから、このキスは互いの関係が対等じゃない。ピーターは「焦がれていた初恋の相手」と、MJは「顔も名前も知らない憧れのヒーロー」と。そう、二人の想いは通じ合ってるようで通じ合ってない。上から見ると線と線が交わってるように見えてるけど、横から見ると実は高さの違う線が2本あるだけ。しかも数分前までピーターとMJは会ってたっていう。もう切な殺す気か俺を。
それで、俺がこれ初めて見たのが高校生の時だったんですけど、もう尋常じゃないくらい興奮しまして。当時初めてできた彼女がいて、普通のキスすらまだなのに「頼む!スパイダーマンのキスさせてくれ!」つって土下座しまして。雨の日の真夜中の公園でマスクを頭から半分だけかぶり鉄棒に足からぶら下がった状態の俺にキスをしてもらおうとしたんですけど、俺の口と彼女の口の高さがどうしても合わず悪戦苦闘すること数分、頭に血が上りすぎてそのまま白目剥いて気絶しました。クモの真似してんのにカニみてえに泡吹いて。
その後、病院に搬送された男は意識を取り戻し「君だけのスパイダーマンになりたかった」などと意味不明な供述をしており。