王族の長男で、巨人の両親を持ちながらも、自身は体が小さく、短剣すらまともに振れないほど非力な王子ボッジ。しかも耳が聞こえず、言葉が話せないボッジは、周りからは時期王の器ではないと噂され、どこか空虚な毎日を過ごしていた。しかし、ひょんなことから心が通じる「カゲ」という友達を得て、人生が輝き始める。
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だめ…こんな漫画が無料で読めるなんてだめ…
面白いところは星の数ほどあるんですが、特に推したいのが「キャラクターの一人ひとりバックボーンの太さ」。ブラジルの有名なサッカー選手ロベルト・カルロスの太もも並に太い。
あえてなのか、どのキャラクターも第一印象はまったく良くないんですよ。主人公ボッジなんかほぼ「シスコーンの子供」ですし、他のキャラクターもパッと見「なんだコイツ」ってやつらばかり。
が…3回登場するとマジで「全員抱きしめたい」。ボッジの照れたときの口のVかわいすぎる。ホクロだとかドルーシだとか、前話まで人気キャラ投票ランキング圏外だったのに、次話で一気に全員ブチ抜いて1位になる。
とにかく挟まれる回想シーンの上手さが異常で、1番わかりやすいところで言うと2話で初登場する、ボッジのママ母の「ヒリング」。カゲも言ったように、ただ意地糞悪いだけの「ヒステリックボインババア」だと恐らく全読者が思うんですけど、7話で「バ、ババア………」つって号泣します。それからはもう登場するたびに「ババア……」「バ、ババア……?」「ババア!」、ババアの嵐のARASHI、60話超えてからは結婚したいババア史上最高のババア。
あと、11話、12話、13話でカゲの過去編で、カゲと一緒に暮らすことになる「いかにも」みたいなナリしたオッサンいるんですけど、やることなすことホントに「いかにも」で読んでてずっと「このゴミクズ野郎がァ…」ってハラワタ煮えくり返ってるのに、ラスト数コマでボロッボロ泣く。
一見「悪」に見えるキャラクターもそれぞれ想いを抱えていてその想いに向かって自分のやれることをただやる、ただただ必死に。そこには善も悪もなかった。最初は行動の真意がわからなくても、ちゃんと後から説明してくれるし、そこにブレがない。
ボッジを筆頭に、キャラクター全員にちゃんと「心」を感じるし作者の描き方にとにかくとんでもなくデカい「愛」がある。1キャラたりともムダにしないっていう覚悟みたいなものを感じる。伏線の張り方とその回収の仕方も絶妙で、前話のフリから次話の展開がまったく読めないからページめくるたびに驚きがある。
そして肝心のバトル部分の面白さが作品の世界観を引き立てていて、強キャラの期待を裏切らない強さと、それに反比例するボッジのまったく別の強さ。それぞれの「強さ」を描くのめちゃくちゃ上手い。ボッジが「それ」を手に入れるまでの過程も素晴らしくて「成長」を描く王道の少年漫画的展開は『幽☆遊☆白書』『ダイの大冒険』『金色のガッシュ!!』なんかを読んでるときと同じくらい興奮する。
ちょっと絵本チックな絵柄も、最近流行りのキレイめビンコ立ちみたいな絵とは全然雰囲気が違っていて最初はとっつきにくいんですけど、この絵のタッチだからこそギャグのシーンでもシリアスなシーンでも重すぎず軽すぎずの絶妙なバランスを保っててスラッスラ読める。最近Webで流行ったヘタウマ漫画を作画変えてリメイクするみたいなのありますけど『王様ランキング』に関しては間違いなくこの絵がベスト中のベスト。
こんな「もっと早く知りたかった」って後悔した漫画ないし、いの一番に見つけたかったし、今まで見つけられなかった俺の情報アンテナいますぐヘシ折って奈落にブン投げたいと思いました。ゴリゴリに流行って漫画ランキング独占してほしい。
作者さんホームページ→十日草輔(とおかそうすけ)
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