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ミクスチャーブログ

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ビビってゲロ吐く木村拓哉が見れるのは映画『検察側の罪人』だけ

検察側の罪人

キムタクが検事役、しかも共演は事務所の後輩・嵐ニノ。とくればおのずと「はいはい、いつものキムタクね」と誰もが思うでしょう。予告見ても「実力は一流だが犯人起訴のためなら手段を選ばないエリート検事と新米熱血検事のタッグが互いの正義をぶつけ合いながらも凶悪殺人犯を追いつめていく」的なストーリーだと。見なくてもわかるんで自分お疲れっした。そう思うでしょう。

それこそがまぼろし。鏡花水月。とんでもねぇ映画です。

冒頭30分は最初の印象どおり「いつもの木村拓哉」やらかしてるんですよ。クールでカッコよくてキザな木村拓哉が演じるいつもの木村拓哉の役。でも俺はそれでもいいと思ってたんですね。キムタク大好き愛してる人間なので。むしろ「それが見たい」みたいなところあるし。 でも1時間経つとどうも様子おかしいんですよ…。あれ〜〜〜?変だな〜〜〜?やだな〜〜〜…こわいな〜〜〜って…冷や汗がファーーーっと吹き出してきましてね…。おっ?どした?なにを…なにをやってる…?えっ…きっ木村君…?ちょっ…。なにしてんの…?アーーーーーーッッ!!

…今回の木村拓哉、全然カッコよくない。全んんん然カッコよくねぇの。逆ギレするわ腰抜かすわゲロ吐くわ、しまいにゃ言ってることオールSiri滅裂。いつもならキザなセリフひとつ吐こうもんなら「ひっ、ヒィヤァァァーーーーーーッッッ!」とレモンより黄色い悲鳴が上がるとこなのに今回なんか言うたびに「は…?正義の剣…?ヒェッ…イタっ…ダサっ…アイタタタタ…」みたいな。NON STYLE井上もドン引きするダサさ。

予告CMでもバンバン流れてる、

「証拠が出ても違う?そこにケチつけんのは事件を解明しようとする人間のすることじゃないだろ…検事でいる意味がない!!」

つって机バン!!ってぶっ叩く最強にカッコいいシーンあるじゃないですか。あれ映画見たあとだと「もう…もういいよ…なにも喋るなタクヤ………」ってなります。もうかわいそうでかわいそうで見てられねぇの……。

でも、映画見終わったあと気づく。「俺はこの木村拓哉が見たかった」って。「キムタクはキムタクの役しかできない」これはもう耳腐るほど聞いてきた常套句で、ファンからすりゃHEROの久利生と華麗なる一族の鉄平はまったく違う人物なんですけど、世間からすりゃ「またキムタクの役か」って見られるのはある種仕方ないことだと思ってて。でもそう言われる一方で、世間は確実に「キムタクのキムタク役」を求めてたし本人も「キムタク」を100パー完璧に体現してきたし、そんな声を黙らせるだけの圧倒的なスター性が木村拓哉にはあった。でもSMAPっていう彼の心臓部分がなくなって、世間もたぶん本人さえ確固としてあった「キムタク像」みたいなもんが少しずつブレていって、さぁこれからどうするよってなったときに回ってきたのが、『A LIFE』の沖田と『BG』の島崎で、この2つの役はちょっとそれまでとは毛色が違っていて、弱い部分とかカッコ悪い部分も自然に出すようになってて、デカい公園のド真ん中に飾ってあった金色のキムタク像に少しヒビが入った気がした。

それを経ての今回『検察側の罪人』の最上。キムタク像、完全に粉々。跡すら残ってない更地も更地。そして思う。「木村拓哉…やっぱカッケェな」って。「逆にカッケェな」って。この役をやりきった木村拓哉、役者として無敵。

そしてそんな木村拓哉に引っ張られたみたいに二宮和也の演技もいつにも増してめちゃくちゃ狂ってました。映画のどこのシーンが特に印象に残ってるかっていうと、最上がビビってゲロ吐くシーンと、CMでも流れてる二宮演じる沖野と松倉の取り調べシーンで、短いカットの連続が多いこの映画で数少ない長回しなんですけど、ほんと怖すぎてションベンちびるかと思った。たぶん俺これから二宮の顔見るたびに泣いちゃうと思う。

 

にしても、こんな役を木村拓哉がやる時がくるとは。通常運転だったらこの役やってんのって「板尾創路」「高嶋政伸」「吉田鋼太郎」のとかそこらへんのラインですよ。奇人変人俳優のライン。木村拓哉がここ乗っかってくるって誰が想像できた?

むかし、千原ジュニアが『すべらない話』で喋ってた「『笑っていいとも特大号』で木村拓哉が生放送ラスト3秒でテーブルクロス成功させてめちゃくちゃカッコよく番組終わったのに、板尾創路は『ケータイ大喜利』のラスト7秒でコメント振ったら一言も喋らずそのまま番組終わった」ってネタがあるんですけど、『検察側の罪人』の木村拓哉、完全に板尾創路でした。

ラスト10秒、なんか最後に言うのかなーと思ってたらフツーになんも言わないで終わった。

 

 

検察側の罪人

検察側の罪人

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