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香川照之が薔薇むしゃむしゃ食う映画『七つの会議』感想


映画『七つの会議』予告2

 

映画『七つの会議』。これは香川照之演じる都内中堅メーカー東京建電の「鬼の営業部長」こと北川が薔薇をむしゃむしゃと食うまでのストーリーである。

みなさんは薔薇、食いますか?僕は食いません。ふだん生きてて薔薇食おうと思わないじゃないですか。いくら薔薇好きだからっつって食わないじゃないですか。どんなに薔薇がトレードマークの奴でも流石に食うまではいかないじゃないですか。幽☆遊☆白書の蔵馬も薔薇食わないじゃないですか。セーラームーンのタキシード仮面も薔薇食わないじゃないですか。飛影も薔薇食う奴とつるまないでしょう。いくら月野うさぎちゃんだってどんなカッコよくても薔薇食ってる男好きにならないでしょう。

でも香川照之は食います。薔薇を食います。なんのためらいもなく薔薇を食います。しかもドレッシングとか何もつけずにそのまま生でいきますから。もぎたての薔薇の花びらをむっしゃむしゃ食うんですよ。でも、ただ薔薇食ってるだけじゃない。いや薔薇食ってるだけなんですけど、そうじゃない。薔薇を食う人間には薔薇を食うなりの理由がある。その過程を見ていただきたい。

 

だって、冷静に考えてこの北川って男は薔薇食うようなキャラクターじゃないんですね。いや、ふだんバラエティとか出てる香川照之あのまんまだったら別に薔薇食ってたって驚きゃしませんよ。花びらどころか茎までいくでしょたぶん。

でも『七つの会議』の北川は違う。むっっっっちゃくちゃ怖いんですよ。いっつもバーバリアンみたいな顔して部下追い込んで会議中に及川さんちの光博くんをゲロ吐かせるまで叱責しますから。モチ以上に絵に描いたような恫喝アンド恫喝。「鬼の営業部長」ですよ。ふつう鬼の営業部長って言われてる人が薔薇食わないでしょ。「…ぶ、部長???」ってなるじゃないですか。どっちかっつったら食わせる側じゃないですか。

でも食うんだよ。薔薇、食うんだよ。笑顔で薔薇を食うんだよ。そう、そこに一人の男の覚悟がある。そのシーンを見た瞬間、僕は爆笑とともに自然と一筋の涙がこぼれました。

そこに違いがある。『半沢直樹』の大和田、『ルーズヴェルト・ゲーム』の諸田、『小さな巨人』の小野田、香川照之が今まで演じてきた数々の池井戸潤作品の役のなかで最も異質で最も「人間」らしい、それが北川誠という人物なのです。なぜならばこの男、薔薇むっしゃむしゃ食います。

北川がなぜ薔薇を食ったのか、なぜ薔薇を食わなければならなかったのか、その答えはぜひスクリーンでご覧ください。