数年前、雪かきしてたら近所に住んでる俳優の鹿賀丈史みたいな顔したババアが血相変えて、
「ちょっと!そこに雪投げたらダメでしょ!」
とか怒鳴り散らしてきて、道の邪魔にならないように電柱の陰んとこに投げてた雪指して「そこはウチの敷地だから!もっと右側に投げなさい!」つっていきなりまくし立てられ、別件ですでにイライラしていた俺は怒りのあまり、
「は?いきなりなんだババア?投げなさいだ?言い方があるだろうがボケ。こんな大雪でどこが道かもわかんねぇのに敷地もクソもあるかよ、つーかお前らの家の奴ら誰も雪かきやらねぇじゃねぇか。やらねぇくせに文句言ってんなネット民かお前?同じ土俵上がってから言えや。そもそもこっちはむしろお前の家の前とかも雪かきしてんだからなそれわかってんのか?通り道じゃなかったら死んでもやってねぇからな。いい加減にしねぇとやったんぞババア?」
の憎悪を込めて、めちゃくちゃ煽り顔で一言「すぃませぇんでしたぁ」と言って雪をどかした。これがババアと俺の戦いの始まりでした。
それから毎年冬になると、雪かきしてる俺をババアはその「老の眼(ババア・アイ)」で必ず見つけ「やり方が雑」だの「あっちもやれ」だの「そこの雪がまだ残ってる」だのと、いいようにこき使いやがる。めちゃくちゃ勝手なババア。
それでもババアは一応ババア、もともとババアっ子だった俺はババアのギアスにどうしても逆らうことができない。ババアーシュ・ランペルージ。ろくに言い返すこともできず、ただただババアの言われるがままに雪をかき続けるしかありませんでした。
このクソババアが、俺はお前専用除雪機じゃねぇ。いつか、いつかお前を雪だるまにして埋めてやっからな?覚悟しとけよババア…
そして、また今年もこの季節がやってきた。先日も積もった雪をスコップで投げてると案の定ババアがいつもの鹿賀丈史の顔面で近づいてきた。出やがったなババア、今日はなにを言ってくんのか、内容によっちゃあいよいよババアに雪ぶっかけるかもしれねぇ。上等だよ、ここがてめぇの墓場だ。なんの用だ?ババア?
「ちょっと、いい?」
「はあ」
「…悪いわね…雪かきさせちゃって」
「バ…ババア…?」
「ウチはもう子供も出ていって、旦那もあたしも腰悪いもんだから、雪かきできる人がいないのよ…」
「…」
「でもアンタが毎年やってくれるから、ついそれに甘えちゃって…ズルい年寄りでしょ…?あたし…」
「い、いや…そんなこと…」
「でも」
「?」
「あたし口悪いから伝わんないかもしれないけど、スゴイ感謝してんのよ…」
「ババア…」
「アンタさえよかったら…これからも雪かきお願いできる…?」
「も…もちろん…」
「良かった…ありがとうね」
「いや…そんな全然」
「…これ終わったら飲みなさい」
「えっ?ババアこれって」
缶おしるこを手渡すババア
「じゃあ悪いんだけど今日もよろしくね」
そう言って、ババア イン ザ ハウス
「ババア……」
ババア…そんなふうに思ってくれてたのか…雪かき…?当たり前じゃんかよ…力仕事は若いやつのするもんだろ…ババア…
ババア…ババア…俺……
おしるこ大ッッッキライなんだよォァアア!!ババァアアアアアア!!!幸せに死ね!!!