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ミクスチャーブログ

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星野源『折り合い』がめちゃくちゃ怖い

俺、星野源のヤバいところって「誰よりも世の中の素晴らしさを信じていると同時に世の中を誰よりも『クソだ』と呪ってる」とこだと思ってるんですよ…

コロナ禍において『うちで踊ろう』を発表し、素晴らしいコラボや波及が数多くあった裏で超ド級の「クソみたいな話題」の中心に勝手に置かれながらも、決してそれを否定も肯定もせず、ただただ「受け入れた」じゃないですか…

あのとき星野源が唯一発した「ひとつだけ〜」のメッセージは、「政治の道具に使われて源さんかわいそう…」って奴にも「星野源って政権に使われてよしとする程度の奴だったのかよダセェ」って奴にも黙ってニラミをきかせて「あんまりゴチャゴチャうるせぇと殺す」ってスゴんでるような気がして俺はタイムライン見ながら「おい…バカ…それ以上言うな…」ってガタガタ震えてた…

いつまでも傍にいてくれそうな柔和さと、一瞬で切り捨てられそうな残酷さ、愛情と殺意、絶望と希望、優しさと怖さ、その二面性、それらを滲ませながらも隠すことなく、受け入れて吸収して血肉にする「音楽ヴァンパイア」、それが星野源だと思ってます…

 

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そんななか作られた、作詞作曲編曲すべてを打ち込みで「一人」で行うという、ある意味星野源の原点である「弾き語り」に最も近い手法を取って作られた『折り合い』

初期の星野源、初期野源が持つ素朴さを存分に詰め込みながら百万回聴いても掴みきれないような中毒性を兼ね備えた「めちゃくちゃうまい猛毒」みたいな曲になってました。

そのときの自分のその感じがそのまま音になったみたいな曲なので…音の端々のテレビ見て「えー」って言ってる感じとか「もうホントやだ」って思ってるときの感じとか、それでも外で窓を開けるとすっごい晴れてて、風が入ってきて「気持ち良いなー…なにやってんだろうな人間…」みたいなその感じがすごいこもってるんで

『星野源のオールナイトニッポン〜ソロ10周年SP』

光の中にある圧倒的な陰、ゆっくりでフワフワしたサウンドの節々に感じるキレ、気持ち良さと気持ち悪さの同居。布で出来た電脳感。「計算され尽くしたアンバランスさ」が聴き込めば聴き込むほど音の森に迷い込んで頭おかしくなる。

さらにわからんのが歌詞…全体を見ればラブラブの二人のささやかな日常を歌った曲にも見える…が…まて……

あの星野源がストレートに「愛してるよ君を」と書いている…(『Pop Virus』に続き2回目の「愛してる」)言葉どおりに受け取るならばそのままの意味なんですが…おかしい…なにかがおかしい…だって星野源は「愛してるって言葉は滑稽でおこがましい」って言い切った

「いかに『好き』だの『愛してる』だという言葉を使わずにラブソングを作るか協会」

のトップ会員だったんですよ…あの協会は退会できないハズじゃ…

 

そもそも、この曲はバナナマン日村バースデー企画で初オンエアされた曲で、日村夫婦の「隠れ食い」といった具体的なエピソードを歌詞に折込みながらも「日村さんの曲ではない」って言い切ってるし、MVについても2人の物語に見えて

役が今回ハッキリ決まってるわけじゃないんですよ。例えば「恋人」「兄弟」「夫婦」とかってのがわざと決めないでやってるので…とにかく自分の生活をするっていうような、なんかそれぞれ。そこで、でもそれを同時に映すことで色んな解釈になるっていうビデオなので…

『星野源のオールナイトニッポン〜ソロ10周年SP』

とも言ってた…そう、決して関係性を「断定」してない…

それを踏まえての「愛してる」…めちゃくちゃに「重くて怖い」…

むしろ不幸だからこそ、気持ちがないからこその「愛してる」にも聴こえるし…そう捉えるとあんなにラブラブだった2人が冷え切って今にもブッ壊れそうな2人にも見える…

もはや「=死」みたいなとこある…まさか…ラブソングの皮を被ったデスソング…?

 

…と、こんなふうに視点を変えれば無限の解釈が生まれるからこそ、プラスの面に焦点を当てた時のこの曲のパワーはとんでもない。星野源自身が「幸福と不幸は隣り合わせ」ということを誰よりも知っているからこそ、歌詞の中にあるささやかな日常の1コマがかけがえのないものに聴こえる…ドラゴンボールのブルマが普段おてんばなのにエンディング『ロマンティックあげるよ』の時だけしおらしくなって心が「キュッ」ってなるあのギャップ(オードリーANNより)が生まれる…

なによりおそろしいのが『折り合い』に限らず、今の星野源の作る楽曲がプラスとマイナスどっちの感情にしても聴く人間の心を半強制的に動かす曲ばかりだってことだよ…もはや誰も星野源を無視できないんだよ…

 

折り合い

折り合い

  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: MP3 ダウンロード