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『キンキーブーツ』日本版CDでいつでも会える

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再販された『キンキーブーツ』日本キャスト盤の音源CDを聴いた。CDは2016年公演のものらしいのですが、完全にブッ飛びました。ノンストップでとんでもない美声がイイ感じのビートに乗せて超高音質で耳に直接ブチ込まれる。舞台に行けなかった人間でも十分すぎるほど楽しめる。というか実質舞台見に行ったと言っても過言じゃない。それくらいのアツさが濃縮還元されて詰め込まれてる。キンキーブーツジャパンin俺の家公演だった。これを名盤と言わずしてなにを名盤というのか。

 

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三浦春馬の演じるドラァグクイーン「ローラ」がヤバいヤバいと聞いていたが、改めて耳だけで摂取すると本当にヤバかった。ヤバくてスゴくてエグかった。語彙が死ぬスゴさ。3曲目『LAND OF LOLA』でいきなり秘部をつかまれました。ローラは鬼のような声のノビ、魔神のような力強さ、サキュバスのようなエロさ、全てを兼ね備えていた…

 

ミュージカルは「喋るように歌う」と「歌うように喋る」のスイッチの切り替えがとても難しい。普通のセリフから徐々に歌へと移行させる、このタイミングを少しでも間違えると聴く人間にとってそれは「不快」でしかない。

俺自身、高校の文化祭で「インド人がカレー食ってると思ったら武富士のCMだった」というひとりミュージカルを何百人もの人間の前で披露し、あまりのグダグダっぷりに地獄のスベり方をしたので、この切り替えの難易度は痛いほど身に染みてるのですが、

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ところが三浦春馬は「喋るように歌い、歌うように喋る」の切り替えが完全にシームレスで違和感を1ミリも感じさせない。いっさいストレスがない。途中からミュージカルということすら忘れて「曲」として聴ける。耳の風呂、風呂だった。特に2:00からの、

 

「恥ずかしがる必要はないわ。ワタシは見るのが好き、アナタは見られるのが好き。お互い幸せになれる方法があるのォオオオオオホォォゥウッッッ!(ローラッ!)ロォオオオオオ!!(ローラッ!)ンンノオオオオオオオゥッッ!モンローのセクシーなポーズ」

 

この完璧さたるや。言葉では言い表せないほど素晴らしい…

それだけじゃない。三浦春馬は悲しみや怒りといった「陰」を演じるのが抜群に上手いからこそ「陽」がより強く輝く、そんな演技をする最も役に「深み」を出せる俳優の一人だと思ってる。たとえば『僕のいた時間』という最高のドラマがあるんですが、三浦春馬演じる拓人が突然ALSという全身の筋肉が衰えていく難病にかかってしまうという物語のなかで吐きそうなほどリアルに病気の恐ろしさ、絶望を演じきるからこそ、その先にある幸せを噛みしめる演技に胸撃ち抜かれる。6話で拓人が弟の陸人(野村周平)に

 

「(サッカーの)試合に出ることが今の目標だから」

「右手動かなくなったらどうすんの?あ…今の言っちゃダメだった…?」

「……まぁ…なぁ…俺にだったらいいけど」

「…ゴメン…」

「右手が動かなくなったら…次の目標探すよ」

「次?」

「仕事だって…ずっとそうやってきたし…接客が配送手配の仕事を覚えて…歩くのが難しくなたらデスクワークの仕事を覚えて…指先を動かすのが難しくなったらマウスの操作でできるのを覚えて…ラッキーだよなぁ…俺の居場所作ってくれる会社で…なんかさあ…目標を見つけることが俺の目標みたいだな!」

「…いいじゃん」

 

と微笑みながら話すシーンは震えるほど眩しい。完全に三浦春馬が三浦春馬であることを忘れされる。「澤田拓人」という一人の人間が確実にそこで生きてた。あと今回とマジで全然関係ないですが親友役の風間俊介は「こいつ絶対に実は殺人犯、それか裏で拓人を苦しめてるサイコだろ」と思ってたら涙出るくらい良い奴でした。

そんな三浦春馬の演技力はキンキーブーツでも存分に発揮されていて、7曲目『NOT MY FATHER’S SON』ではローラが本名である「サイモン」として自分の過去、家族のことを歌うのだが、化粧を落としてヒールを脱いだローラとはまるで違う、コンプレックスを抱え自信なさげで弱々しい一人の男を完璧に演じ歌いきってた。これがあるからこそローラとしての、ドラァグクイーンとしての「華やかさ」「強さ」が何倍にも際立ってた。ローラは三浦春馬しかありえない、そう言い切れるほど。

 

そしてもう一人の主演、小池徹平がメチャクチャ凄い。最近はアルツハイマー利用して他人に迷惑かけまくって引っかき回すサイコ・パス男(さいこぱすお)とか、テメェの家庭環境の過酷さ言い訳にして不倫しまくるヤーリー・チーンとかゲロ煮詰めたようなドクズの役を多く演じてたから記憶からブッ飛んでましたが、もともと小池徹平の真骨頂は「陽」の演技にあると再確認した。声が聴こえた瞬間にパーン!と耳が明るくなる。忍ばせる陰すら陽に飲み込ませるリアル太陽。サンズ・オブ・ザ・サン。麻波1081(テッペイ)。 

「チャーリー」という信念のために進み続ける良くも悪くもまっすぐすぎる男が小池徹平のパブリックイメージと寸分の狂いもなく重なる。ローラを演じられるのは三浦春馬以外ありえないように、チャーリーもまた小池徹平以外にはありえない。

 

そんな2人を中心とした熱量のヤバすぎるキャストが演じ歌う12曲を終えてラスト13曲目、歌番組でも披露されてキンキーブーツの代名詞とも言える『RAISE YOU UP / JUST BE』。

生い立ちだのコンプレックスだの「陰」の吹き飛ばして全員が文字どおり「一体」となって作り出す多幸感、圧倒的な「陽」のパワーに、なんか、もう、「爆発」した。

落ちててもLet me raise you up 萎んでも Let me raise you up

錆びてても引き上げあげる And raise you up! And up and up and up!

 

作品を見れば、音楽を聴けば、いつでも会える。たぶんそういうことなんだよ。

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