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『恋はブレッキー』を聴いたことないおまえはまだ「本当の嵐」を知らない

7月16日、嵐のカップリングベスト『ウラ嵐BEST』がサブスク解禁された。

今回紹介するのはたった一曲、6枚目のシングル『時代』に収録されている『恋はブレッキー』だ。当時の嵐でも異色。この曲を聴かないイコール「おまえはまだ本当の嵐を知らない」そう断言できる。

今までは「嵐のカップリング?知らね」で済ますことができたかもしれない。しかし、ついにそれが世に放たれてしまった。今日生まれた赤子から明日死にゆく老人まで生きとし生けるすべての人間が嵐のカップリングに触れる時代がきたのだ。嵐から逃げ続けてきた人生に終止符を打つのは今だ。

怖いか?本当の嵐を知るのが怖いか?ならすぐにママのもとへ帰りな。だが俺は信じてる。おまえは逃げない、まだ見ぬ嵐を知り、そして嵐をもっと愛することができると。

 

ブレッキーってなに?

タイトルを見た瞬間、ほぼ全人類の頭にクエスチョンマークが出現するであろう謎の単語「ブレッキー」。ウェブで「ブレッキー」と調べても出てくるのは栃木県のプロバスケットボールチーム「宇都宮ブレックス」のマスコットキャラだけだった。

 

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#028 ブレッキーのへや | 宇都宮ブレックス

え?ふざけてるの?この曲ってトンチキソングなの?と思う人間もいることだろう。しかしその油断は再生して10秒で打ち砕かれる。

「Breakin' Breakin' My Hearts 離さない 君が恋をするのは僕しかいない」

『Breakin'(Breaking)」とは「壊れている」という意味、さらに「Break in」で窃盗、押し入り、不法侵入といった意味にもなる。つまり「ブレッキー」とは自分の心が壊わされても、罪を犯してでも「君」を手に入れたいという狂気を現したダブルミーニングだと私はにらんだ。

決しておなかに「ひなたぼっこ」とプリントされたかわいらしいクマチャンではない。嵐におけるブレッキーは飢えた淫獣。ゴリゴリのサウンドに「なに一人でわめいてんだ…?」と言いたくなる恋に狂った歌詞の数々。

この曲はいわば、女にいいように利用され続けてきた男の「復讐」。数々のラブソングを歌ってきた嵐の楽曲のなかで最も貪欲で純粋で醜い曲なのだ。

女は「僕(嵐)」という相手がいながらも「体調が悪い」と嘘をつき別の男と会うという不貞行為を繰り返すとんでもない女だと判明する。当時ポケモンやおジャ魔女どれみに夢中のピュア・キッズ小学生だった俺には刺激が強すぎた。はじめて聴いた次の日、おなかが痛くなり学校を休んだ。クラスの女子が誰も信じられなくなった。

しかし腰抜けの俺と違い、男は諦めない。周りの助言に耳をかさず女だけを愛し続ける。男の心はすでに壊れている。そこには歪みに歪んで逆にまっすぐになってしまった「愛」だけがある。嘘をつかれようが、言い訳をされようがそれでもいいと吠える。

「Breakin' Breakin' My Love 淋しさを 誰かの胸でまぎらわせないで

昨日までの僕じゃない なりふりかまわず取り戻したい今すぐに」

最終的に男は女を殺して自分も死ぬんじゃないのかというほど男が壊れてるのがわかるだろうか。目がイッてしまっているのが音だけで伝わるし「My Hearts」から「My Love」に変わってるのが怖すぎる。愛も壊れている。大野智の「マネキン一体買い」よりも怖い。

おそろしいのは、この曲がリリースされたときの5人の年齢は18〜20歳。この若さでこんな昼顔みたいな曲を歌い、それがとんでもない完成度を保って作品になっているという事実。震えが止まらず、寒さのあまりパーカーの上からもう一枚パーカーを着るという櫻井翔しかやらないファッションをしてしまった。

初期の嵐は、アイドルにもかかわらずバキバキ童貞が悶え苦しむような曲がよく似合う。おそらくまだまだ自分達の主張も通せず「やりたいこと」と「やらなければいけないこと」のはざまで葛藤していた背景もあるのかもしれない。

のちに嵐の5人は復讐の魔王、親殺し高校生、サイコパスクイズ司会者、不倫教師、ムヒ…といった世間が持っていた嵐のイメージから大きく離れた狂った役を演じることになる。そしてそのすべてを完璧に演じきってきた。目がくらむようなキラキラした眩しい光嵐の裏には、誰もが震える闇嵐がいる、それを感じさせた最初の曲が『恋はブレッキー』だった。

 

嵐とは

この曲が単なるアイドルが歌う恋愛ソングと違うところは櫻井翔のラップの荒々しさにある。嵐における櫻井翔の立ち位置とは単に「知性」だけを与えるではない。櫻井翔は知性と同時に「野性」を嵐にもたらす。サクラップの存在によって嵐がただの「イイ子ちゃん集団」などではなく、心の奥底にナイフを隠し持った「ギャング集団」だということを改めて感じさせる。

松本潤は嵐にセクシーと情熱を、二宮和也は優しさと切なさを、相葉雅紀は明るさとハスキーを、大野智は安定感と爆発力をそれぞれ嵐に与えている。日本中の誰が聴いても一瞬で「5人の声」だとわかる、それが嵐。『ウラ嵐』には5人が培ってきたもののすべてが詰まっているし、『恋はブレッキー』を聴けばその一端にふれることができる。

 

…だが…これだけじゃありません。聴いてほしい嵐のカップリング曲はまだまだ山のようにあります。

 

妖し変態ラブソング『時計じかけのアンブレラ』、変幻自在メロディに耳がちぎれる『モノクロ』、切なくも爽やか失恋嵐曲の真骨頂『I say』、広い野原で嵐に腕枕されるような錯覚に陥る『Still…』、5人の声の良さが限界突破している『街角の恋人たち』、二宮和也に抱かれる『虹』、大野智の存在が爆発する『Take me faraway』『冬のニオイ』、今すぐにでもシングル化しろ『スパイラル』『うたかた』『Fake it』『season』『僕が僕のすべて』……

 

これからも真の嵐を知ったおまえたちの耳が許す限りウラ嵐のすべてをぶちこみたい、全曲2000字ずつレビューを書き殴って読み聞かせたい…そう思ってるし、『ひみつの嵐ちゃん』のマネキンファイブ再放送しろとずっと思ってる。