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ミクスチャーブログ

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宝塚1ミリも興味なかったのに『かげきしょうじょ!!』で一瞬で底なし沼に叩き落された

今まで生きてきて「歌劇」「宝塚」というものにほとんど興味なかったんですが、『かげきしょうじょ!!』のアニメ始まったタイミングで原作漫画読んだら一瞬で沼の一歩手前までワープしました。これ以上踏み込んだら終わる。

『かげきしょうじょ!!』、『ガラスの仮面』『ちはやふる』『トップをねらえ』にも通じる激熱漫画だった。最初「か、過激少女?エロそうだな」とか思っててマジですいませんでした。誰か首落としてくれ。

 

スポーツでも芸術でも芸能でも、現実にあるコンテンツを題材にした漫画を読むとき俺がめちゃくちゃハマる要素として一番重要なのが

「題材自体に興味が持てるかどうか」

例えばバレーボール漫画読んで実際に春高やプロの試合を観るようになるか、農業漫画読んで現実の農業について考えるか。ただ単にその題材を「描きやすいから」「作品のネタ」としてそれを扱わずに、作品に触れることでそれが窓口になって題材のファンそのものが増える描き方をしてるか。

そういう「作者がその題材に対してどこまで愛情があるか」が強い漫画に心臓ブッ刺さるんですが、『かげきしょうじょ!!』は作品自体に対する愛と「歌劇」そのものに対する愛、その両方が天元突破してて一発で殺られた。愛殺(あいさつ)です、愛に殺されました。

表と裏、美しい部分だけじゃなく泥臭い部分を隠すことなく描こうという姿勢、カテゴリーとしては少女漫画なんですが、ゴリゴリの本格スポ根でもある。理想を描くファンタジズムとその枠を超えたリアリズムのバランスがどうしようもなく絶妙。どうして宝塚、歌劇がここまで人気があるのか、歌劇の面白さとはなにか、ファン以外にはどうしても理解されにくい世界を漫画に落とし込むことで「とっつきにくさ」を極限まで取り払って、「漫画としての面白さ」プラス「歌劇そのものの魅力」をめちゃくちゃ上手く描いてる。上手くて美味い上質な物語と未知の世界に触れる悦びによって脳が広がった。

 

舞台は歌劇団の養成学校。主人公の「渡辺さらさ」は恥ずかしいぐらいのTHE主人公で、身長がクソデカ、声もクソデカ、主張もクソデカ、圧倒的なスター性を持ち、てゆうか目が星。時に空気が読めずに他人の心にズカズカと入り込む圧倒的な「陽」の存在。オーラを他人に振りまき、自分の信じた道だけを見てただひたすらに突き進む。しかも大空翼や越前リョーマよろしく、一度観た演技を「完璧にコピーする」という特殊技能まで持ってるバケモノ。

俺はこういうキャラを「善玉サイコパス」と呼んでるんですが、さらさの天才性、主人公性が必ずしもプラスだけに働かないのが面白いところで、さらさは序盤でいきなり「あなたには夢は叶えられない」という事実を突きつけられ、その恵まれたギフトゆえにどうしても抗うことのできない現実がさらさの前に大きな壁として立ちはだかる。自分の能力を見誤り否定されて悩むこともある。意外と他人の言葉を真に受け傷ついたりもする。そういう展開も「才能がなければどうしようもない」「才能があってもどうしようもない」そういう厳しさを真正面から描こうとしている誠実さ、脱帽超えて脱脳した。

 

とはいえ、さらさはまぎれもねぇ圧倒的な物語の主役で、他のキャラクターにとってはある意味で最大の魔王。無意識に核心を突く言動は時に人の心をえぐり、傷つけ、癒やす。作中でも言及されてますが強すぎる光はそれ以上に深い影を作り出してしまう。

「諸刃の剣」でもあるさらさと他の子たちとの触れ合い、そこが俺はこの『かげきしょうじょ!!』の最大の魅力だと思っていて、その一番影響を受けるのがもうひとりの主人公「奈良田愛」。

彼女は元国民的アイドルグループメンバーで、とある理由があってグループ脱退後に「男と一緒の空気を吸いたくない」という理由だけで歌劇学校に入学するんですが、一言で言えばTHIS ISツンデレ。感情表現に乏しく良くも悪くも「なにを考えてるかわからない。さらさとは正反対の意味で人との距離感を計るのが苦手な彼女は最初こそ辛辣な態度を取り続けるのですが、彼女の過去を取り巻く胸糞すぎるエグささえ乗り越えればあとは「最高」しか待ってねぇ。辛くても目をそむけるな、愛から逃げるな。お前も一緒に乗り越えろ。そうすれば太陽と月、全人類が望むさらさと愛の関係性がそこにはある。

二人だけじゃない、入学試験主席合格で委員長の杉本紗和、歌劇団の祖母と母を持つ星野薫、歌は上手いが気が弱い山田彩子、双子で入学した沢田千夏と千秋…さまざまな個性やコンプレックスを持つ予科生たちが、時にぶつかり、認め合い、成長し合っていく姿を見ているだけで俺は明日も生きていける。失われた青春がここにあった。俺にできることは、全員の夢が叶うことを願って金振り込むことだけ。本編ももちろんだが、巻末の一人ひとりにスポットを当てたスピンオフを読むとわかる。「誰推し」とかじゃねぇ、全員を守りたいんだよ俺は…

 

ここまで原作にのめり込むとアニメ化が心配だったんですが、4話まで観てそんなものは無駄な心配だと一発で己の愚かさを呪った。当たり前の話ですが出演者、作画、演出、全員がただの「プロ」でした。原作とアニメ化の流れでの取捨選択が本当に絶妙でテンポ感が恐ろしく良い。特に奈良田愛の過去話は原作以上のエグみと汚さで眼球が壊死しかけた。

声優もほぼ全員が違和感なくハマっていて、特に腹黒微笑み先輩・野島聖(花澤香菜)が脳内CVと完全一致して耳がドロドロに溶けてしまった。エンディングで毎回歌唱カップリングが代わるのも素晴らしい。幸甚指数が爆上がりしてこの世の闇全てが俺の中から消滅した。幸福度がフィンランドの倍になった。

 

飾らない等身大のキャラクターたちの魅力と、細部まで描ききる過激そのものへの愛、嫌味のない多幸感とキラキラ感を全身で浴びる最高のビッグ・ラブ。

さっき「沼の一歩手前」って言いましたけどすでに腰までドップリ沼浸かってた。最近は宝塚歌劇の公式YouTubeばっかり観てます。

ただ、普通に怖い…これ以上ハマって「かげきせいじんだんせい!!」になるのが怖い。「かげきせいじんだんせい!!」の言葉の響きヤバすぎる。