まずSexy Zoneに『桃色の絶対領域』を提供してくださった「神はサイコロを振らない」の柳田周作氏に心からの「セクシーサンキュー」を言いたい。
「も、桃色の…？絶対…領域…？は…？もしかしてふざけてんのか…？」
と思った曲開始1秒で即死確定のイントロが始まり脳が破裂した。見えないところからギャップの弾丸飛んできた。ギターのカッティングで耳が溶け、エグエグのドラムがカットインしてきて心臓飛び出たところに、ベースが鬼のように全身を駆け巡った。分厚すぎるブラスの音圧にどこか異国感すら漂うアレンジ、約4分間ひたすら好きな音しか鳴らない。音楽ビュッフェ。
恐ろしいのは曲の主張が激しすぎてインストだけでも聴けるとんでもねぇクオリティにも関わらず、埋もれるどころか「勝ち」に来てるセクゾのボーカル。ブレスもビブラートも信じられないほどに過剰。
1番だけをピックアップしても凄まじいまでの量のセクシーが俺の耳を襲ってくる。
「ハァァァア……絶対的で魅力的ィ…」
佐藤勝利、聴いてる俺は完全に敗北した。この深呼吸だけで俺の汚い魂が浄化された。
「抜け出せなくなるみたい…貴方悪い人ねェン…」
なんだその余韻を残した歌い方は。 松島聡の放つ余韻だけを永遠に感じることのできるチップを脳内に埋めさせてほしい。
「不ゥゥゥ埒なァ…リズムでェ…ゆらり揺れる2人ィ…」
菊池風磨に「不埒」などと歌わせないほうがいい。声の「抜け感」は世が世なら重罪。死人が出る前に逮捕するべき。
寂しさァ……埋める為にィイイ……虚しさを重ねてェァ…
ブレス、裏声、フォール、中島健人に関してはもう何も言うことない。中島健人によってこの曲は完成する。一挙手一投足その全てが『桃色の絶対領域』を表現している。中島健人のために存在する曲と言っても過言ではない。辞書で「セクシー」と調べたら「意味:ケンティー」と書いてある。中島健人とは概念。
四者四様、それぞれの「桃色」をぶちまけてきて気持ち良さのあまり、俺は綿アメのように溶けて一瞬でこの世からなくなった。再生するヒマもなくas soon asで訪れるサビ。
Oh My Daring, No No No
愛されたいの
Tick-Tack Tick-Tack, ランデヴー
あなたの虜になってく
キャッチーの塊、中臣鎌足。韻、リズム、歌い方、語感、全てにおいて完璧な一文。「韻」という名のセクシーに顔面踏まれた。そして「これ以上聴くと頭がおかしくなる」と思うと同時にブチ込まれる悪魔のCメロ。松島聡→菊池風磨→佐藤勝利→中島健人…倍々ゲームで膨れ上がるセクシー。首筋をなぞる手で、このまま、しっ、縛っ？な、な〜〜〜〜〜？もはや「聴く官能小説」
「セクゾに女性目線の歌詞を歌わせる、やはり天才か柳田…」
一回目を聴き終え、ふと歌詞カードをめくった瞬間、俺の中の度肝という度肝が全て抜かれた。女性目線？そんなチンケな想像など遥かに超えた仕掛けがそこにあった。
「あなた」とは「貴方」であり「貴女」。この意味がおわかりだろうか、つまり『桃色の絶対領域』は男女2人を同時に描いてる。一番では女の視点、二番では男の視点から相手を見ている。互いが互いのことを狂うほど想っているのに身体と気持ちはどうしようもないほどすれ違っていく…
抜け出せなくなるみたい 「貴方」悪い人ね
この目に映る全て 「貴女」で満たしたいよ
音楽の歴史を遡れば、男女それぞれの目線の歌詞というのは決して珍しくない、しかし『桃色の絶対領域』の恐ろしさとは具体的な描写を使わず秘密めいた男女の関係性を描くその表現力。なによりこの歌詞をセクゾに提供しようと思った時点でもはや「発明」。世界は柳田氏にノーベル賞授与すべき、いや早く人間国宝に指定てほしい。なにをやってるんだ国は？
そしてそれを10000000億倍にするセクゾの「演技力」。『桃色の絶対領域』は「男女2人」の曲。それを意識して聴けば聴くほど、全員見事なまでに登場人物を憑依させてフィクションの世界を「自分のこと」のように歌っておる。 女パートでは少し艶っぽく、男パートでは少し力強く、歌詞の仕掛けに気づかなければわからないほど微妙に、しかし確実に男女を歌い分けておるのじゃ。「じゃ…」？興奮して喋り方がジジイになるほどに確実に生気を吸い取られてる。
冒頭で書いたように声、歌詞、メロディ、アレンジ、全員やりすぎにもほどがある。しかし曲の強さと歌の強さ、全てが綺麗に乗算し、最高の自律感覚絶頂反応が生まれている。つまりどういうことか、
「セクゾの桃色領域は4分のASMR」
4人でこの破壊力。ここにマリウスが加わったらいったいどうなっちまうんだ…
とにかく、俺はこの曲がカップリングなど絶対に信じない。一刻も早くシングル化し直してMV作って深夜放送のゴリゴリの不倫ドラマの主題歌になってほしい。お願いします神様…
