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漫画『タコピーの原罪』は「映画ドラえもん のび太の白夜行」

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[第1話]タコピーの原罪 - タイザン5 | 少年ジャンプ+

アプリ「ジャンプ+」で連載してる『タコピーの原罪』という漫画があるのですが、ぜひ全人類に読んでいただきたいハッピー漫画です。

ネタバレ全開であらすじを紹介しますと、

 

地球にハッピーを届けるためにやってきた純粋無垢なアホ星人・タコピーは、一人のゴリゴリにイジメられて家庭環境も最悪の少女・しずかちゃんと出会います。

タコピーは一飯の恩を返すべく、星から持ってきた意味わからん秘密道具(通称:ハッピー道具)でしずかちゃんを幸せにしようとするのですが、そんな道具を心がブッ壊れたしずかちゃんが真っ当に使うわけもなく、しずかちゃんはリボンを使ってめちゃくちゃ死んでしまいます。「どうにかしてしずかちゃんを救いたいッピー!」そう思ったタコピーは

「写真を撮った時間に巻き戻るカメラ」

「他人に完璧に変身できる板」

といった、とてもすごい秘密道具を駆使し、何度も過去をやり直します。そして、繰り返すこと101回目のタイムリープ、タコピーは「写真を撮った時間に巻き戻るカメラ」でイジメっ子・まりなちゃんをはずみで撲殺してしまいます。(その衝撃でカメラは壊れ、二度と使えなくなってしまいます)そして、まりなちゃんの死体を見たしずかちゃんはタコピーに向かって、こう言うのです。

 

「タコピーすごいっ!まるで魔法みたい!」

 

めでたし…めでたし…

 

 

…お題「小学生女子の人生が地獄!どんな地獄?」の地獄大喜利やってんの?

隅から隅までまごうことなき地獄。なんの救いも希望もねぇ暗黒漫画が令和に爆誕していました。

ただ、なんのオブラートもせずに描かれる胸糞描写で視界と思考にモヤかかるんですけど、よく読んでみるとどっからどうみても構造的にはめちゃくちゃお笑いなんですよ。

「タイムリープ」を始めとする、人類があと100年かかっても手が届かない超技術を駆使してるにも関わらず、それらが1ミリも役に立たないどころか使うたびに状況悪化していく流れもお題「最悪な逆・東京リベンジャーズ、どんなの?」の答えですし、

 

タコピー「しずかちゃん、ぼくがきみをものすごい笑顔にしてみせるッピー!」→「(タイムリープ)101回目」

タコピー「勇気を出さなきゃ…今度こそぼくが助けるッピー!」→「撲殺」

 

フリとオチがあまりにも完璧。タコピーというストーリーテラーであり狂言回しを担う最強の天然ボケと、その全てを「そんなわけねぇだろ」と否定する人間達の強すぎるツッコミ、読者の「次週どうなんのこれ」っていう感情を揺さぶるためだけに全振りしたコントでした。

もしこれが「魔界キングオブコント」だったらタコピー&しずかは圧倒的優勝です。ネタ見て魔界の松本人志が「こいつら腹立つわー」って言いながら爆笑してる。

たぶんこの漫画って伝えたいメッセージとかそんなもんなんもなくて、純粋に「今度こそ助けられるのかッ…!?!?」→「もっと地獄でしたー」の流れが面白すぎるからやってるんじゃないかと思うんですよ。ゴチで羽鳥アナが毎回やる

「ピタリ賞がッ…!!!!なんとッ…!!なんとォッ…!!!!………出ませんでしたー」

アレを漫画でやりたいんだけなんじゃねぇかと。どこぞの誰かのnoteの記事で「描写のリアリティが皆無」とかこき下ろされてましたが、こんなもん仮に100%リアルだったら漫画が終わる前に読者が死ぬだろ。

 

そもそも、タコピーってほぼ「ドラえもん」なんですよ。主人公の名前「しずか」ですし。ドラえもんがのび太にひみつ道具を与えてジャイアンとスネ夫をコミカルに懲らしめたり、時に手を取り合って成長していくように、タコピーもまたハッピー道具でしずかちゃんとまりなちゃんの関係性を良くしていく。

ただタコピーの場合は、まりなちゃんの懲らしめ方が「撲殺」だったというだけの話。いつかやるであろう『映画ドラえもん のび太の白夜行』を本家より先にやっちゃったのがこの漫画で『ドラえもん』という作品が、ありふれた日常の中に混在する非日常な世界をテーマに扱うSF(すこしふしぎ)なギャグ漫画であるように『タコピーの原罪』もまた、ありふれた日常の中に混在する地獄をテーマに扱うSF(すこしファック)なギャグ漫画なんじゃないでしょうか。

 

…というわけで、一回これテレ朝の「毎週土曜夕方17時」枠でアニメ化しません?主題歌は星野源『地獄でなぜ悪い』でお願いします。ッピ

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