北海道に住んでる私には「まつり」といえば、北島三郎の強制一択だったんですが、まさか令和4年に新しい『まつり』がリリースされるとは。あのサブちゃんと曲名被りとか、藤井風が闇の組織に狙われないか心配してる。
巨大な王がそこにいたら避けて通るのが普通。にもかかわらず、そこに飛び込む度胸is宇宙。星野源が『ドラえもん』の名前で曲を出したときに感じたヤバさとまったく同じものを藤井風にも感じた。アンビリーバブルクレイジーシンガーソングライター。
そして曲を聴き、一瞬で納得した。「この曲のタイトルは「祭り」でも「FESTIVAL」でもなく『まつり』以外あり得ない」と。和と洋、北島三郎とエド・シーランの合体。それが藤井風の『まつり』…
イントロの笛の音を聴くだけで「インナー里帰り」できるほどに情景が浮かび上がる。俺はばあさんの家にきたのか…と錯覚する。そんな懐かしさを感じたのも束の間、Aメロに入った瞬間に感じるのは目がくらむほどの「都会」。さっきまで「ババアの入れてくれた茶うめぇ」とまったりしていたのに今は会員制のBARで高級ウイスキーを飲んでる。あまりにも自然にフェーズが切り替わっていた。村にオシャレBARが建っていてもまるで違和感がない、全てが自然に共存してる音楽ゼネコンだった。
今までも、和楽器と打ち込みを上手く組み合わせることで日本人に馴染みが良いのに新しさも感じられる曲は山程ありましたが、藤井風は確実にその次元の一個上をいっていた。とにかく音楽が「広い」。「分かりやすいのに奥が深い」を感覚でやってる。「若者の音楽はついていけない」と嘆く大人も、「昔の音楽とか古臭え」と笑う若者も、音楽を聴く全ての人間の終着駅、真のミュージックステーションが爆誕した。
メロディ、アレンジ、歌詞含めて「古さ」と「新しさ」がこれ以上ない最高のバランスで組み合わさり「新しいものを使って古いことをあえてやるとそれが逆に新しい」が見事に成立していた。「『VRあやとり』めちゃくちゃ面白い」みたいな感覚。「昔のものはつまらない」「今のものは面白い」じゃなく「どちらも面白い」と言い切って100人が100人楽しめる音楽を鳴らす。それが歌詞にもメロディにも込められている。
愛しか感じたくもない
もう何の分け隔てもない
まとめてかかってきなさい
今なら全て受け止めるから
かつてこれほどまでに優しい「かかってきなさい」があっただろうか。逆フリーザ。
その閉じた心 今こじ開けな
あっけーな
ラッセーラ
このキテレツな歌詞をここまでクールに歌える人間は他に存在しない。藤井風が「ラッセーラ」と言えばそれは「Lucky…Sexy…Love…」の略になる。
さらにこの曲は至る所で「ハッ…」「イェィ…」「フゥン…」「ァイ…」「ホゥッ…」と「言葉にならない声」で曲を盛り上げており、特に2番サビでは、突然「ッシャッ!ッシャッ!」と叫ぶ謎の箇所が挿入され、吉川晃司以来のパーフェクト「ッシャッ!」を堪能することができる。
祭り 祭り
毎日愛しき何かの
祭り 祭り
あれもこれもが大当たり
比べるものは何もない
勝ちや負けとか一切ない
ない ない
サビに突入するとそこに広がっていたのは、田舎も都会も日本も世界も関係ねえ、全て飲みこんで踊ればええやん、という圧倒的肯定。菩薩だ、菩薩がそこにいた…
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さて、こんな名曲を生み出してしまった藤井風氏に私から今後のプロモーションについて提案がございます。
北海道函館市には北島三郎氏が初代『まつり』と馬で稼いだ金で建てた「北島三郎記念館」という施設があるのですが、そこでは誰でも気軽に「サブちゃんの人生」を追体験でき、
中には「サブちゃんの等身大ブロンズ像」や「信じられないくらいバカデカ船に乗ったサブちゃんロボ」によるスペシャルライブを見ることができるなど、ディズニーを超えた素晴らしいテーマパークがあります。
ぜひ「藤井風記念館」を建設してほしいと言うてますけどmore