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Sexy Zoneアルバム『ザ・ハイライト』が「聴く美味しんぼ」

ザ・ハイライト (初回限定盤A)(DVD付)(特典:なし)

Sexy Zoneアルバム『ザ・ハイライト』

コンセプトは「レトロ」なんですが、アルバムを通して聴くとレトロだけに寄ってるというよりは、シティポップもハウスもヒップホップもアイドルバラードもチルもコミックソングも、あらゆるジャンルをゴチャ混ぜにして令和のサウンドと融合させた、俺にとっての懐かしさ、お前にとっての懐かしさ、人それぞれの懐かしさの全てを網羅した「音楽史オールタイムベスト」と言っても過言じゃ無い傑作。

特に『THE FINEST』に関しては曲調、MVどれをとっても1980〜90年代の匂いを真空パックした完全に俺にとっての「聴く美味しんぼ」、海原雄山にも聴かせたい。

 

Forever Gold

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イントロの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいなタイムトラベル感からの菊池風磨の一発目「駆゛け゛抜゛げだディ゛ナ゛ァ゛ア゛イ゛ィイドリィ゛イ゛イ゛ッ゛ッムッ!!!」の掠れエロボイスの時点で優勝。音の一つひとつどこを聴いても「あの頃の青春」で、老若男女誰にとっても「一番いい時代」を思い起こさるような作りになってて1曲目として完璧。

今作はどの曲も全員の「歌に対するアプローチ」が最高で徹底的にメロディの良さを存分に引き出すようにメロディに寄り添った歌い方をしてるんですが、特に「英語の発音の上手さ」は引くほど上手くてECC通った?と思った。

 

Desideria

「ハウス」って呼ばれてる4つ打ちの腰が勝手に動くリズムの、合法だか違法だかわからん繁華街のクラブで鳴ってそうな曲で、こういうテイストの曲は普通ボーカルが弱いと日本人が歌っても不自然さが勝ってしまいそうなのに、そこに1ミリも負けてない。

 

THE FINEST [JQ (Nulbarich) 提供曲]

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ブリンブリンのベースラインと流れるような英語の発音がヨダレ出るほど気持ち良いガンギマリ麻薬曲。今作を「聴く美味しんぼ」と言わしめた張本人。

「ザファインネスッッ…!デェァァァァァァッゥ……」

「ユガッデッス…!ムゥゥゥゥゥゥゥウブゥ……」

この衝撃をぜひ味わって欲しい。

この前半3曲だけでSexy Zoneを知らない人間が聴いても「こいつらなんかヤベェ…」というのが伝わる構成になってる。ここ含め歌詞もメロディもほぼ洋楽アプローチなんですが、

「誰にも邪魔させない…」

「ねぇ このままずっとそばにいて…」

隙間に差し込まれた日本語の歌詞をその名の通りセクシーに歌い上げることで単なる洋楽の真似にならず自分たちの個性になっているのがあまりにも最高。

 

曲とMVのマッチ具合が凄すぎて、やってもいないアニメの映像の続きが泉のように浮かんできます。雑誌編集部で働く彼女の奮闘記でしたよね?会えばいつもケンカばかりの幼なじみと、取引先相手の俺様系の御曹司と、優しくていつも相談に乗ってくれる同僚と、テニスで知り合った年下の可愛いワンコ系が全員彼女に恋してしまいアプローチするんですけどまったく相手にされてないんですよね?

しかも男4人だけかと思いきや、10話くらいで海外に転勤してたはずの大学時代の元カレが日本に戻ってきますよね?平日夕方の再放送でやってませんでした?もはやシングル曲。

 

夏のハイドレンジア [秦 基博 提供曲]

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「いかに英語と日本語を上手く混ぜるか」を重視した曲が並ぶアルバムにおいて、ド真ん中にこの曲を配置することで、秦基博特有の「回りくどいと見せかけて実はめちゃくちゃ直球」の歌詞強さをより感じられる構成になってる。

だからこそ、アイドルが「どんな時も輝くヒロインなんだ君は」を小細工なしで真っ直ぐ歌うことの説得力とパワーが何倍にも増して、アルバムをリピートすればするほど『夏のハイドレンジア』を聴くたびに「やっぱこれこれェ〜〜!!」となります。

 

Iris

あまりにもメロディとアレンジが良すぎる。古いラジカセから聴こえてくるようなわざと音質落とした演出からのイントロの時点で感情溶けてなくなる。

並の男が歌えばその場で首ハネられかねないクサい歌詞もSexy Zoneが歌えば一撃必殺のキラーワードになるんですが、特にサビ終わりの

「世界中で一輪のFlower 君という花 Irisの香りに浸らせてよ」

聴いた瞬間に誰でもいいから無差別プロポーズするところだった。結局ラップでラブソング歌うアイドルが一番強い。もはやシングル曲。

 

SUMMER FEVER

ゴテゴテのEDMアレンジにまぁまぁイカレた歌詞が当てられたエロ曲なんですが『Desideria』でも言ったようにウッとなるようなエグみがないのはSexy Zoneが持つ上品なエロスによって完全に中和されてるからなんですよね。

特に、サビ前の松島聡パート「キミの名のCocktailで 終わらない夢を見たい 準備はいい? yeah this is SUMMER FEVER」とかまぁまぁクレイジーなこと言ってるのに甘い声のせいでサラッとイケてしまう。

 

Story

5分超える超バラードなんですがメロディと歌、歌詞の溶け込み方がめちゃくちゃ自然で、長いのに耳触りが良くて時間の長さを全然感じさせない。特にサビの

「真夏の夜のストーリー 奇跡を願うように 手繰り寄せた光 君に ただ届いてほしいから」

は韻の踏み方といい、メロディーといい、声を張りすぎない抑えめのボーカルといい、バラードとして完璧すぎる。2番「僕だけのヒロイン 夏を描いて行こうよ」で『夏のハイドレンジア』とのリンクも匂わせてるのが天才。もはやシングル曲。

 

Eliminator

急になに?

え?アルバム変わった?いきなりオス出してきてこわい。ギャップで白目剥いた。

 

Freak your body

18禁の江南スタイル。「この部屋が軋むほど伝わってく振動」?え?只野仁の話してる?

 

休みの日くらい休ませて [岡崎体育 提供曲]

急に「こち亀」の主題歌?

「どんな時も輝く…ヒロインなんだ…君は…」

「もっと欲しい…?」

「子犬連れてきてェェェエエエエエエエ!?!?!?!?」

何重人格なんだよ。仙水忍の実写化?

アイドルが歌うコミックソングは「共感性羞恥のギリギリのところを突いてくる」感じが何度も聴くうちにクセになってくるんですが、『休みの日くらい休ませて』の恐ろしいところは実際メロディはアルバムでは断トツでキャッチーで、3分4秒っていう絶妙な曲時間と、何も考えず聴けるのにメッセージ性もサラッと仕込む岡崎体育の周到さ。

「一番どの曲がTikTokとかでバズりそうか?」って言われたら圧倒的にこの曲だと思いました。

 

LET’S MUSIC

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この曲が入ることで一気にアルバムが締まった。もし『休みの日くらい休ませて』の後に『Summer Ride』だったら同じ人間が歌ってるの絶対に信じられなくて脳爆発して死んでた。

タイトルどおり音楽としてのパワーがめちゃくちゃ強い。『Desideria』『THE FINEST』と同じくゴテゴテのアレンジの洋楽サウンドで普通に歌うだけでも鬼のように難しいこの曲を、歌詞以外の「イェア…」「イェエエエ!」「フォゥ!」っていうフェイク部分の余裕さとか、ちゃんと乗りこなした上で遊びつつ「Sexy Zoneの曲」として昇華してる時点で優勝。

 

Summer Ride [STUTS提供曲] 

Sexy Zoneに「届かない想い」を歌われると漏れなく死人が出るんですが。雰囲気としてはSMAPの『夏日憂歌』好きな人間はもれなく死ぬ。

ただ、SMAPと違う部分はSexy Zoneってめちゃくちゃ「統一感」があるんですよ。さっきも「徹底的にメロディの良さを存分に引き出すように曲に寄り添った歌い方」と書いたんですが、ユニゾンをした時に4人の声がひとつに溶け合っていく感覚が気失うくらいに気持ち良い。

それはアレンジャーのミックスの上手さも確かにあると思うんですが、メンバーそれぞれの曲に対する意識がちゃんとひとつになってるからこそ、互いが互いの声の良さを引き立てるように歌ってるのが伝わってくる。もはやシングル曲。

 

Dream [iri 提供曲]

アルバムの中では一番「引き算の曲」だと思っていて、鳴らしてる音の数が多くないからこそ「ここッ!」という場所で的確に耳の性感帯を刺激してくるのが犯罪。4人のボーカルもそれを完璧に分かってて「声の抜き方」がたまらん、ブレス(吐息)の出し方ひとつ取っても計算し尽くされたエロを感じる。

特にラスサビ前の「何もいらないでしょう…」で全ての音が消えるんですが、それと一緒に俺も消えた。もはやシングル曲。

 

Ringa Ringa Ring

「結局Sexy Zoneはラブソングが合う」というのを象徴してる曲で、特に「一人に狂わされるほど惹かれている」系の曲は国で規制しないと大変なことになるだろとずっと思ってるんですが、その最新究極系。

『Story』と『Ringa Ringa Ring』作詞作曲同じ人なんですけど、マジで4人の声を知り尽くした上でそれに120%合うような曲作りしてて信頼しかない。Sexy Zoneと女声コーラスとの相性こんな良かったのかと度肝抜かれた。「4人にはこんな曲を歌って欲しい」の願い全部叶える音楽ドラゴンボールか?

曲を形成する全てが良いんですが、特にサビの「もしかしたら言えるかも もしもしからの続きを」の、物語の終わりであり、新たな物語への始まりを予感させるフレーズが天才すぎる。なんらかの賞を授与したい。『THE FINEST』がアニメ「気まぐれセクシーゾーン」のオープニング曲なら『Ringa Ringa Ring』はエンディング。

「ここはあざとさの天国か?」と錯覚するほど、最後の最後でアイドルとしての自分達の力を限界までぶつけてきてる。特に佐藤勝利の声との親和性が限界突破していて、もともと「少年性と大人性のゆらぎ」みたいなのを絶妙に表現できるボーカリストではあったと思うんですけど、この曲ではあえて細さを強調してるような歌い方で「恋に溺れる弱い男」を演出していて頭抱える。この曲でアルバムが終わることにSexy Zoneの「アイドル」としての覚悟が詰まってる。もはやシングル曲。

 

 

以上です。このカオスな楽曲群をSexy Zoneが歌うことで統一感が出るというめちゃくちゃ「アルバムで聴くべきアルバム」だと思いました。

例えるなら、色んな具材が「Sexyの皮」で包まれる音楽ギョーザ。そういう意味でも『ザ・ハイライト』は「聴く美味しんぼ」なのかもしれませんね。は?どういうこと?