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ミクスチャーブログ

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ポルノグラフィティ新アルバム『暁』は令和のロマエゴ

暁 (初回生産限定盤A) (特典なし)

ポルノグラフィティ新アルバム『暁』全曲感想。

古今東西あらゆる音楽を吸収して自分達の血肉にし、それを岡野昭仁のボーカルと新藤晴一の歌詞とギターの唯一性で吐き出すのがポルノグラフィティのヤバさなんですが、今回のアルバムはその最たるもの。

一曲ごとに本当に同じバンドかと疑うほどの狂った振り幅と、癖の塊でしかない曲達を一枚のアルバムにまとめてしまう圧縮力。デビュー時の熱量と、24年目の円熟味が完全に融合した原点に最高到達点、事実上のファーストアルバム。令和のロマンチスト・エゴイストでした。

 

作詞:新藤晴一/作曲:岡野昭仁/編曲:tasuku, PORNOGRAFFITTI

再生ボタン押した瞬間おどろおどろしいイントロからブチ込まれる「あ」がすでに名盤確定演出。岡野昭仁の口から虹色の玉出た。

爆速BPM、耳おかしくなる変態転調、意識飛びそうになるキーの高低差、ワイングラス割れそうなファルセット、デビュー24年にして曲の最高難度更新。Official髭男dism、King Gnuのエッセンスを存分に含んでいて、どっからどう聴いてもこれを47歳が歌って演奏してる事実異常すぎる。先日、知り合いの47のオッサンが駅の階段登っただけで疲労骨折して入院したんですが…

「暁」と「赤月」のダブルミーニングから始まる歌詞も韻の成約を付けたからこそ出るパワーワードの嵐、下手すれば胃もたれするようなメッセージ性の強さを疾走感に変換してて一生聴ける。この熱さとスピード感は完全にジャンプ漫画のそれなので、絶対ヒロアカの次期主題歌でいい。

 

カメレオン・レンズ

作詞:新藤晴一/作曲:新藤晴一/編曲:篤志, PORNOGRAFFITTI

「トゥントゥン(カケコァッッ……)トゥントゥントゥントゥン…トゥントゥントゥントゥントゥントゥン…トゥントゥントゥントゥントゥントゥン…(ヌァヌァヌァヌァ……)トゥントゥントゥントゥントゥントゥン…」

 

岡野昭仁「あ…」

 

『暁』とは全く違うジャンルの耳と脳がドロドロになる「あ…」、アルバム二曲目にしてクライマックス。

冗談抜きで「全ての曲の答え」みたいな曲で、この先どんな曲がリリースされても「はい、カメレオン・レンズ」と出されたら何も言えなくなるほどあまりにも強。

ポルノグラフィティとループミュージックの親和性は2ndアルバム『foo?』収録の『空想科学少年』辺りからすでに確立されていて、アルバムの中で一曲入ってればいいペースであまり表には立たなかったジャンルなんですが、それがシングル曲として世に出たのが『カメレオン・レンズ』

「EDM+ロック+レゲエ」の悪魔合体で、エド・シーラン『Shape Of You』ライクのEDMのイントロ~Aメロで即効で中毒にさせ、徐々にギターが絡ませロック感を出しつつ、新藤晴一の歌詞の文学性と岡野昭仁のボーカルで完全にポルノグラフィティの色を出し、サビでは裏拍でレゲェ感を出して聴く人間に腰を振らせる。

冒頭に書いた「全ての音楽を吸収して成長する」を体現した、ポルノグラフィティの曲の完全体。この曲を認識してるかどうかでポルノグラフィティというバンドに対するイメージが全く変わってくる。

 

テーマソング

作詞:新藤晴一/作曲岡野昭仁/編曲:立崎優介, 田中ユウスケ, PORNOGRAFFITTI

歌詞の「フレーフレー」「I can do it I can do it」と、後半のあまりにもYOASOBI過ぎるコーラスは「聴いててキツい」としか言いようがないのに、全体通してのドラムのテンポ感とかギターのアルペジオとか「耳にィ…届くゥ…音は…いつもォ…」の息の吐き方とか「曲」としては気絶するほど気持ち良くて、一曲の中で好きな部分と嫌いな部分の差が激しすぎて聴くたびに「ンングウウゥ…」とうめき声出しながらゲロ吐きそうになってしまう。

冷静に考ると、定期的に「ここでおハガキを一通R.N恋するウサギちゃん」「ヒュルルドカンと花火が咲いたら」「ギミギミギミギミ!心!ギミギミギミギミ!体!ギミギミギミギミ!頭絡まるDAYS!」と、泡吹くほどストレートな歌詞も書く人なので「フレーフレー」くらい書いてもなんらおかしくはないんですが、同時に前曲『カメレオン・レンズ』しかり「触っててよ その下を 後ろから裏側から」「広いベッドの上で君は飛ぶと叫んだ後 のけぞり僕の上でどこまでも淫ら落ちるという」とか書く男の引き出しの多さIKEAの棚。

 

悪霊少女

作詞:新藤晴一/作曲:新藤晴一/編曲:江口亮, PORNOGRAFFITTI Strings Arrangement: 江口亮, 友野美里

「どこでなにがそうなったらこんなことになんの?」としか思えない常軌を逸したメロディの高低差と、それを超えるほど異次元の動きをしてるベースとドラムに圧迫感を演出するストリングス、メロ毎に別人かと思うくらい歌のアプローチを変えるボーカル、「相手がいっさい出てこないラブソング」の時点でだいぶヤバいのに、「初恋」を「悪霊」に例え、男女(父母)の感覚の違いとかを絶妙に絡ませつつ誰もが感じるリアルな感情を「ファンタジー」の色に染め上げる歌詞、音楽的には完全に「変態成人」、3分が体感3秒。

サビのコーラス「フォビドゥンッッッ!!!」「キャンユゥヒィッッッ!!」の入れ方が無理やり過ぎて最初は「これいるか?」と思ってたんですが、だんだん中毒になってきてキルアが「クセになってんだフォビドゥンッッッ!!!聴くの」って言ってる。

 

Zombies are standing out

作詞:新藤晴一/作曲:岡野昭仁/編曲:tasuku, PORNOGRAFFITTI

歌詞、メロ、アレンジ、ボーカル、演奏、どれをとっても「やりすぎ」で聴くたびに爆笑してしまう。この曲も一音目、一声目から完全な優勝を果たしていて、

 

スォンディアァッッッ……ゾォンディアァッッッ…(ァァッッ…)(ゴゴゴッッ…)

スタァンディィィアァゥゥ……(ドゥデェレデェデェレデェデェドゥデェレデェデェレデェデェドゥデェレデェデェレデェデェドゥデェレデェデェレデェデェ)

クァンディィァァゥッッ……スタァンディングアゥッッ…ゥレェァディアァアゥッッ(フゥェェェェーーーーーーーーーー)(ドゥデェレデェデェレデェデェドゥデェレデェデェレデェデェドゥデェレデェデェレデェデェドゥデェレデェデェレデェデェ)…

…スタァンディンアゥゥ…(ダダダダアダダダダダダダダダダ!)

 

(スッ…)

 

岡野昭仁「ゾ」

 

ぜひ、この「ゾ」の衝撃を味わって欲しい。衝撃的としか言いようがない、圧巻の「ゾ」、一回摂取すると理屈じゃなく本能がこの曲を欲する。

 

ナンバー

作詞:新藤晴一作曲:岡野昭仁/編曲:トオミヨウ, PORNOGRAFFITTI

「なに言ってるかよくわかんねぇけどわかる…」の新藤晴一ワールドの真骨頂。

ネコ、ミツバチ、キツネ、チョウ、ウマ、ウサギ、クマ、アリ、トリ、「ほのぼの動物わくわく大集合スペシャル」の皮を被った「誰を失おうが、なにが変わろうが、どんなに日々を諦めようが、人間以外の生物は呑気に暮らしてるし時間は容赦なく進む」というメッセージを忍ばせた歌詞(と思った)と乾いた砂漠みたいなメロディのギャップで全身の体液出そうになる。

テーマとしてはMr.Childrenの『Tomorrow never knows』を聴いてる時の感覚に近い。ラストの「Life goes on」の突き放し方は絶望だが希望にもなる。

 

バトロワ・ゲームズ

作詞:新藤晴一/作曲:岡野昭仁,トオミヨウ/編曲:トオミヨウ, PORNOGRAFFITTI

プレステ2の起動音の許可もらったの強すぎる。

www.youtube.com

明らかなゲームサウンドに歌詞をつける変態の所業。ただEPS(一人称シューティングゲーム)の説明してるだけの歌詞で、ゲームやらない人間には確実にポカンなのに、あまりにもAメロを叙情的に歌うので「電脳世界に支配された人間達の愚かさ」を歌ってるようにも感じるのどういうことなんだよ。

ただそんなゴチャゴチャした考察を全て吹き飛ばすサビ終わりの

「バァァアアアアアトロワゲェエエエエエエイムゥウウウウズ!!!!!」

の破壊力で全部どうでも良くなる。

 

メビウス

作詞:新藤晴一/作曲:岡野昭仁/編曲:tasuku, PORNOGRAFFITTI

アレンジから歌詞から脳内麻薬ガンギマリで、聴く人間を内部から破壊してくる。冒頭の「首絞めプレイ」の下りから不穏さ全開で、Bメロの

「はずかしいぃ…はずかしいぃ…」

「ごめんなさぃ…ごめんなさいぃ…」

岡野昭仁ASMRからのサビの

「わかッッッッてんだァァアアアアアアア!!!わかッッッッてんだァァアアアアアアア!!!」

の慟哭、そしてラストの

「こわれてしまった すきだったんだけど」

この急な他人事感。絶対に関わりたくない。完全にアニメ『School Days』でした。桂言葉のイメソン?

にもかかわらず、メロディは1stアルバム『ロマンチスト・エゴイスト』に入っていてもおかしくないくらいのソリッドさがあって、あまりにもクールでロック。特にギターソロの切れ味は日本刀で頭から真っ二つにされた感覚になる。

 

You are my Queen

作詞:新藤晴一/作曲:新藤晴一/編曲: tasuku, PORNOGRAFFITTI

「恋は盲目」を、曲から歌詞から声から完璧に表現した曲。彼女なのか妻なのか娘なのか、それとも人間ですらない怪異なのか「Queen」が誰なのかいっさい分からないまま繰り返される

「手の甲にキスするよ」

曲調は「みんなのうた」かと思うほど優しいのに、絶対的主従関係を感じる歌詞と前曲『メビウス』のせいで「お前が関係ハッキリさせないでそんな甘やかすからメビウスちゃん壊れちゃったんだろ…」と狂気を感じて漏らした。

 

フラワー

作詞:新藤晴一/作曲:岡野昭仁/編曲篤志, PORNOGRAFFITTI

難病患者の一生を描いた映画『こんな夜更けにバナナかよ』の主題歌で、「この世に2兆曲あるんじゃねぇか」みたいな散々こすられにこすられ続けてきた「フラワー」というタイトルをつけることへの覚悟が滲み出てくるポルノグラフィティの曲の中でも異質な曲。

「僕」「私」なんかの一人称すら使わず、ひたすら小さな一輪の花を「生の象徴」として描きつつ、最終的に星や大地にまでフォーカスすることで、確かにそこにあるのに不確かで概念的な「生命」そのものを包み込む新藤晴一の歌詞。人をあえて描かないことで逆にどんな曲よりも「人」を感じる。

聴くたびに「なに…?このあったかい気持ちは…」と寒い日にカイロ当ててくれたような感覚になるし、サビ終わりの「オゥ…フラワぁ………」を聴くたび岡野昭仁に雪山で毛布かけられる。

 

ブレス

作詞:新藤晴一/作曲:岡野昭仁/編曲:tasuku, PORNOGRAFFITTI

「ジャッ…ジャッ…ジャッ…」のイントロループにヨダレ止まらなくなるヒップホップ的なアレンジで、音数は最小限、必要な音しか鳴らしてないのが逆にジワジワと中毒性が増す、ポケモンの「どくどく」のような曲。

歌詞も一見するとワンフレーズワンフレーズは齢ひとケタ代にもわかるような易しくて優しい言葉使ってるのに、節々にキツめの毒を吹きかけきて

「ポジティブな言葉で溢れているヒットチャート 頼んでもないのにやたら背中を押す」 

「未来はただそこにあって君のこと待ってる 小難しい条件つけたりはしない 迎えにも来ないけど」

と終始アンチ応援ソングで語尾に全て「知らんけど」が付きそうなほど他人事貫いてる。この絶妙な距離の取り方が逆説的に究極の応援ソングになる魔力があって、「頑張るな」の歌詞を太陽のような声の男が歌うことで、曲に背中を押されるんじゃなく、自分の手で自分の背中を押し、自分の腕で自分を抱きしめてしまう。

 

クラウド

作詞:新藤晴一/作曲:新藤晴一/編曲:宗本康兵, PORNOGRAFFITTI

日本最強の作詞家・森雪之丞いわく新藤晴一は「日記的な歌詞を書く代表」らしいんですが、その意味が改めて分かるバラード。

とにかく「日常会話」の切り取り方が絶妙で、「あのカフェ閉店したらしいよ」「流れ星の願い事言ったのがまずかったかな」でミクロ過ぎる個人の話と思わせておいて「燃えるような夕日だけが恋人たちを染めている」って急に「全カップル」の大マクロの話に飛躍して悲しみを突きつけてくる筆力が怖すぎる。

さらにその思い出を「すぐに消える雲」と「半永久的に残り続けるクラウド」にかけて「データ(思い出)はいつまでも残っているのにここにはいない実物(恋人)の喪失感」と表現してて、爽やかの極みみたいなメロになんちゅう歌詞当ててんだ…鬼か…?と聴いてて全身震えた。

 

ジルダ

作詞:新藤晴一/作曲:岡野昭仁/編曲:tasuku, PORNOGRAFFITTI

居酒屋でナンパする男の曲。

ポルノの曲の世界に定期的に出現する「人の話1ミリも聴かない勘違いアホ男」の曲で、1stアルバム『ロマンチスト・エゴイスト』収録の『ラビュー・ラビュー』の前日談の雰囲気もある。愛すべき憎めないアホ男。

店入ってきたばっかりの初対面の女を彼氏いるっつってんのに勝手に連れ出そうとしたり、日記帳奪って7色ペンで予定書き込もうとしたり、やってることは完全に激痛サイコにも関わらず、岡野昭仁の恐ろしいまでのボーカル力で「とても素晴らしいラブソング」かのように錯覚する。

メロディと歌詞のハマり方が凄まじく、文字で読むと「君はスペシャルでゴージャスに輝いてた」とかこっ恥ずかしさが凄いのに音に乗せた時の気持ち良さが異常。特に「オーチャードでsee you」「シャルドネでCheese」は脳汁不可避。

 

証言

作詞:新藤晴一/作曲:岡野昭仁 /編曲:江口亮, PORNOGRAFFITTI Strings Arrangement: 江口亮, 友野美里

バラードの皮を被った爆速ロック。ストリングスの壮大さに隠れてドラムの腕ちぎれるんじゃねえかと心配になるほどの過重労働で、歌詞の暗さと相まって感情がグチャグチャにされる。

サビでドラムとストリングスを一気に際立たせてあらゆるマイナス感情を放出させ、精神崩壊するまで傷口を突き刺して、サビ終わりの

「完璧なものなど この世にはないと 言うならあの愛はそれを覆した ほんの一瞬たくさんの星が証言してくれるはず 偽りのない奇跡と」

で、希望とも言えないくらい微かな一筋の光を見せて物語を終わらせる完璧な起承転結。5分の湊かなえ作品かと思った。

にも関わらず「曲としての聴きやすさ」が異常で、読んでも美しく聴いても美しい。「ただハリケーン」と「身をかがめ」で韻を踏むのは新藤晴一だけ。

 

VS

作詞:新藤晴一/作曲:新藤晴一/編曲:近藤隆史, 田中ユウスケ, PORNOGRAFFITTI

20周年節目のシングルかつ、あだち充アニメタイアップという死ぬほど難しい立ち位置の曲で、アニメの内容を踏襲しながら自分達の歴史も絡めなきゃいけないという荒行を完璧に成立させた化物曲。

ラストのEXILE『銀河鉄道999』カバーからインスパイア受けたらしいDメロは途中どんなに絶望に打ちひしがれても最後は大円弾、ハッピーエンドにしてしまう圧倒的なパワーがある。聴く戸愚呂弟。

 

以上です。時間が余りましたので、秋から始まる全国ツアーのセトリ妄想して終わります。

1.暁

2.Zombies are standing out

3.ネオメロドラマティック

4.VS

5.悪霊少女

6.狼

7.ヒトリノ夜

8.敵はどこだ?

9.バトロワ・ゲームズ

10.MICROWAVE

11.空想科学少年

12.まほろば○△

13.カメレオン・レンズ

14.ジルダ

15.ラビュー・ラビュー

16.瞳の奥をのぞかせて

17.メビウス

18.渦

19.デッサン#1

20.証言

アンコール

21.プリズム

22.クラウド

23.ジレンマ