インターネットを見ていたら『人のオシッコの速さは約300キロ!』という文面を目にし、脳の血管がちぎれるほどテンションが上がった。
誰もが「大谷翔平が165キロのストレートを投げた!すげぇ!」と驚くが、俺は1時間に1回の頻度で「大谷翔平の約2倍」のツーシームを出すことができるのだ。
以前、大谷翔平が言った名言として、
「頭で最初に考えて、そして後からモノができる。165キロを投げている姿がある。そこに後からできる現実がある」
というのを見た。しかし、俺は頭で考えるよりも先に300キロを発射できる。「99%の才能と1%の努力」とは俺のオシッコことを言うのかもしれない。大谷翔平がボールを投げている横でオシッコをしながら、
「君165?俺300だけど質問ある?」
とドヤることができる。二刀流?俺はたった一本の刀で大谷翔平を超えている。そういった点において、もはや俺こそが「真の侍ジャパン」「真の大谷翔平」と言ってもいい。
いや、もっと早くこの事実に気が付いていれば、超一流のメジャーリーガーになり、今日のWBCの舞台に立っていたのは俺だったかもしれない。
NARUTOで言うところの「逆だったかもしれねェ…」の実写化が俺と大谷翔平。俺がサスケで大谷翔平がナルトだったのだ。
が、興奮していたのも束の間、急に冷静になり「いやまてよ」となった。
「人のションベンの速さは約300キロ」…?
ということは、例外なく大谷翔平のオシッコの速さも300キロか…?なら、もし大谷翔平がストレートを投げるかのごとく鬼のような勢いをつけてオシッコを発射した場合、その速度は、
165キロ+300キロ=465キロ
になる…やばすぎる。本当にやばい。便器が貫通してブッ壊れるんじゃねぇかと思うほどの爆速オシッコがそこに爆誕していた。
やっぱり大谷翔平はすごすぎた。野球だけでなく、大谷翔平は私生活でも大谷翔平だった。
勝てない…なにひとつ俺は大谷翔平に勝てる部分がない…あるとすれば「スマホの中に保存してある大量の好きな芸能人の画像」くらいか……?
いや、これも明確に「勝っている」とは言い難い。大谷翔平はあらゆる面において「超一流」。もしかしたら、大谷翔平は俺が引くほどの「小池栄子の大ファン」で、1テラバイトのiPhoneに2億枚の写真を165キロの速さで保存している可能性だってある。
やはり俺は大谷翔平になにひとつ勝てていなかったし、俺は大谷翔平にはなれなかった。これが現実だった。なにが「真の大谷翔平」だ。
俺は大谷翔平の足元にも及ばない、小山歩凹(こやまほぼこ)だ…
…ということを、友達と飲みに行った時に鼻息を荒くしながら話したんですね。
「そういえばさ!人のションベンって300キロ超えるんだって!やばくね?マジやべぇ……ってことは大谷翔平は465キロってことだよな!!??やばくね!?!?!?」
「いやお前…それションベンじゃなくて『クシャミ』だろ」
「は…?くっクシャミ?くしゃみ?おっ、オシッコじゃなくて…?」
「クシャミだからそれ」
…大谷翔平さん本当に申し訳ありませんでした。殺してくれ