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ミクスチャーブログ

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ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』のオダギリジョーになりたい人生だった

10歳で仮面ライダークウガを見てから「オダギリジョーになりたい」と思って生きてきた人生でした。「起きたらオダギリジョーだったらいいのに」と眠りにつき、鏡を見て絶望した朝は数え切れません。

温かさと冷たさのハイブリッド、オダギリジョーが画面に映れば何かが起きる。生きるバタフライエフェクト。オダギリジョーが出ている作品イコール名作。なりたい、オダギリジョーになりたい。

いやオダギリジョーになりたいと思い、オダギリジョーになりたいという文章を書いている、その時点で「オダギリジョーから最も離れた行為」なのは分かっています。こんなやつは絶対にオダギリジョーではない。それでもオダギリジョーについて書きたい衝動を抑えられない。それがオダギリジョー…

 

そんな俺の思う理想のオダギリジョー、リソギリジョーランキングで圧倒的第1位に躍り出たのが、ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』に登場する「小鳥遊大史」でした。

あくまで松たか子演じる主人公の大豆田とわ子と、三人の元夫を軸に回っていた物語、その6話ラストで突如として現れた謎の男。

今まで田中八作(松田龍平)、佐藤鹿太郎(角田晃広)、中村慎森(岡田将生)のダメさとかわいさを存分に見せつけ、三人のことを漏れなく愛おしくなっていたタイミングでの新キャラ。

これが並の役者であれば、俺は

「は?急に誰だよテメェ、入ってくんじゃねぇ」

とブチギレ、テレビの画面を破壊し、もう2度と坂元裕二脚本のドラマを観ることはなかったかもしれない。そんな俺の杞憂をハリケーンの如く吹き飛ばしてくれたのが、

 

出典:映画『大豆田とわ子と三人の元夫』

 

ODAGIRI JOE…

 

困った時のオダギリジョー。なにかあった時のオダギリジョー。一家に一人ほしいオダギリジョー。オダギリジョーが動けば桶屋が儲かる。

『大豆田とわ子と三人の元夫』というドラマが名作と呼ばれるか否か、それをうらなう最も重要な場面において、あらゆる最適解・オダギリジョーを召喚してきたのです。こんな意味不明な髪型が似合う人間はオダギリジョー以外に存在しません。

 

小鳥遊の人生観が垣間見えたのが7話。親友・かごめ(市川実日子)を亡くし失意の中にいるとわ子との会話。

とわ子「みんな言うんですよね。まだ若かったし、やり残した事があったでしょうねって。悔やまれますよね、残念ですよねって。そっかぁ…そうだったのかなぁ。だったら私たち、何も別に大人にならなくて良かったなぁ…ずっとあのままで良かったなぁって思うんですよね。まぁ、そういうことをたまに思うっていうか」

小鳥遊「無いと思いますよ」

とわ子「はい?」

小鳥遊「いや、人間にはやり残したことなんて無いと思います。その人は、あなたの幼なじみだったんですよね?」

とわ子「えぇ」

小鳥遊「じゃあ、10歳の時のかごめさんも、20歳の時のかごめさんも30歳の時のかごめさんも知っている」

とわ子「知ってます」

小鳥遊「うん。あの、過去とか未来とか現在とかそういうのそういうのって、どっかの誰かが勝手に決めた事だと思うんです。時間って別に過ぎていくものじゃ無くて、場所っていうか別の所にあるものだと思うんです。

人間は現在だけを生きてるんじゃない。5歳、10歳、20歳、30、40、その時その時を人は懸命に生きてて、それは別に過ぎ去ってしまった物なんかじゃ無くて。だから、あなたが笑った彼女を見たことがあるなら、彼女は今も笑ってるし、5歳のあなたと5歳の彼女は今も手を繋いでいて。

今からだっていつだって気持ちを伝えることができる。人生って小説や映画じゃないもん。幸せな結末も悲しい結末も、やり残したことも無い、あるのはその人がどういう人だったかっていうことだけです。

だから人生には二つルールがある。亡くなった人を不幸だと思ってはならない。生きてる人は幸せを目指さなければならない。人は時々寂しくなるけど、人生を楽しめる。楽しんでいいに決まってる」

 

優(やさ)ギリジョー…

 

この言葉に、とわ子は涙する。誰にも打ち明けられなかった想い、三人の元夫ではない、小鳥遊が受け止めたのだ。

これは、誰も勝てねぇ…強すぎる…『大豆田とわ子と三人の元夫』というドラマが、たった1話で、一人の男によって乗っ取られてしまった。急に出てきて無双するオダギリジョー、ムソギリジョーがここにいた。

そうか…このドラマはとわ子が三人の元夫から解放され、小鳥遊という男と結ばれるストーリーだったのか…ここから2人の甘々でエロエロな展開が、

 

次の日

小鳥遊「マディソンパートナーズの小鳥遊です。(中略)代表取締役社長・大豆田とわ子さんの解任決議案を提出したく思います」

 

裏切りジョー

 

俺はいつから錯覚していた…?オダギリジョーだぞ…?オダギリジョーが、ただの「優しいだけの男」で終わるわけないだろう…?忘れていた…テレビ映画舞台あらゆるコンテンツにおいてオダギリジョーを使う、それすなわち「ゴリゴリの黒幕」もしくは「良い人に見せかけた黒幕」だということを…

そして本当の恐怖はここからだった…その翌日、ラジオ体操で再び会った小鳥遊はこれまでと全く変わらない、穏やかな口調で話しかけてきたのだ…

 

小鳥遊「あっ、この間はどうも…あっ…そうそう、これなかなか解きごたえあると思うので…よかったらどうぞ…」

とわ子「あのすいません。人違いだったらごめんなさい、私昨日あなたにそっくりな方と自分の会社でお会いしたんですけど…」

小鳥遊「あっ、はい。僕ですね…」

とわ子「えっ!?すいません、じゃあどうしてそんなふうに話しかけて来られるんですか?」

小鳥遊「えっだってあれは…昨日お会いしたのはビジネスじゃないですか、これはプライベートでしょ…?」

とわ子「…」

小鳥遊「あっ、そうそう…これ…食べます?おかかとツナマヨです、どっちがいいですか?」

 

怖(こわ)ギリジョー

 

怖すぎる…何言ってんだこいつ…?ペニーワイズよりも恐ろしいホラーなオダギリジョー、ホラーギリジョーがそこにはいた…

だが、「小鳥遊大史」という男を知っていくにつれ、小鳥遊がただのサイコ野郎ではないことが徐々に明らかになっていくのです。

物腰が柔らかく、誰とでも別け隔てなく接することのできる男。よく物を落とす、絵が下手など少し抜けている面もあるが、人の話を真っ直ぐ目を見て聴く男数学のことになると時間を忘れて話してしまう男。ビジネスとプライベートのオンオフを完全に分けられる男。

その陰には17歳から31歳までの日々を家族の介護に費やした過去があり、大学進学を諦めたこと。過酷な環境から救ってくれた社長の手足となり汚い仕事も一手に引き受けてきたこと。

どれもがいびつで不完全、しかしどうしようもないほどの魅力を放っていた。そしてそんな複雑な男を演じられるのはオダギリジョーをおいて他にいませんでした。

 

そんな小鳥遊にとわ子は完全に惹かれていた。社長の娘との結婚を命じられ、何を話せばいいか分からないと言う小鳥遊にとわ子は複雑な想いを抱きながらも相談に乗る。

 

小鳥遊「手を握るにはどうすればいいですか…?」

とわ子「小鳥遊さんは、いま三輪車に乗り始めたところです。手を握るのは大型トラックです」

小鳥遊「いずれはトラックに乗りたいです」

とわ子「そのときは…まぁ…手相とか?手に文字を書いて当てるゲームをするとか?」

小鳥遊「手に…文字を書いて…?」

 

スッ

(とわ子の手に文字を書こうとする小鳥遊)

とわ子「…っ!だめです…!トラックまだ早いです…!」

 

人たらしジョー

 

その後、社長の娘からプロポーズされた小鳥遊。好きでもない女性との結婚に踏み出せない。しかし社長の命令には逆らえない。自分の感情と恩人からの命令の板挟みに苦悩する小鳥遊を、とわ子は自宅に連れ帰る。

とわ子は残り物のカレーを小鳥遊と一緒に食べながら、結婚をやめるように説得。小鳥遊はこの説得を聞き入れる。するとそこへとわ子に新しい恋人ができたと疑う元夫たちがやってくる。

元夫たちを追い出すと、とわ子は小鳥遊が隠れているベランダへ。小鳥遊は外れていた網戸を直そうとする。

直ったはずの網戸が再び外れ、とわ子の頭に倒れてきそうになったところ、小鳥遊はとっさに彼女の手を握る。

見つめ合い小鳥遊が少し困った表情で

 

小鳥遊「あっ…トラック乗っちゃいましたね…」

とわ子「乗っちゃいましたね…」

 

そして小鳥遊は、とわ子をそっと抱き寄せ…優しく

 

 

HUG GIRI JOE…

 

 

その後2人の関係がどうなったのか…最後まで観た人間ならお分かりでしょうが、この瞬間『大豆田とわ子と三人の元夫』は俺の中で10本の指に入るドラマとなりました。

日本のドラマがつまらない?日本の映画がつまらない?俺たちはただ信じればいい。オダギリジョーを。