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ミクスチャーブログ

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ドラマ『西園寺さんは家事をしない』の松村北斗に飾り切りされるシイタケになりたい人生だった

ドラマ『西園寺さんは家事をしない』1話ですでに「今期イチ」と言っていいほどハマりかけている。

嘘、裏切り、憎しみ、そんな人間の醜さにどっぷりと浸かり、疲れきった俺の心と体にスーッと染み渡ってくるポカリのようなドラマでした。

そして最初はただの「家事ができない年上女が家事が得意な年下男とウフフチュッチュするアホアホラブコメ」だと思っていたんですが、まったく違う。なにも考えず気楽に見られるストーリーの中に突如としてブチ込まれるキャラクター達の「重すぎる人生」。見えない角度から殴られたような衝撃を受けてしまいました。

 

そして、その中でも特に松村北斗演じる「楠見(くすみ)」のことをアホほど好きになりかけている。この男…魅力しか感じない。

主人公の西園寺(松本若菜)は仕事はできるが家事をいっさいしない独身。全ての家事を排除することだけを目的にリフォームした一軒家を手に入れ、理想の独り生活を手に入れていた。

そんな中、アメリカ帰りの楠見が入社してくる。仕事はできるが無愛想で無表情な性格終わってるクソ偏屈人間…

…かと思いきや、実は4歳の娘を育てるシングルファザーだったのだ。さらに帰ってきた瞬間に家が全焼、体調不良でダウンと、この世のカルマを全て背負ったかのような不幸に襲われてしまう。

そんな男をなぜか放っておけない西園寺さんが自分の家の空いている賃貸付きの部屋に住まわせることになる…という話。

 

驚いたのは楠見の「速さ」

普通、このタイプのラブコメに登場する無表情無愛想キャラは、ギャップは後半にかけてゆ〜〜〜〜っくりと見せていくのが常套手段、どれだけ前半で視聴者をイラつかせるかで後半の

「えっ…意外と優しいとこ、あんジャン…♡」

というギャップが高くなってくる。だから、だいたい速くても3話とか4話から徐々に見せていくのが普通だ。しかし、楠見は違う。西園寺と言い争うが、その直後にすぐ

 

「先日の会議では、開発側の立場としての発言しかせず、申し訳ありませんでした…」

 

と頭を下げられるミネラルウォーターのような純粋人間だということが始まってたった「15分」で明らかになるのだ…

さらに後半では、なぜ楠見が無愛想で無表情なのか、それは妻を亡くしたショックに加え、仕事と慣れない育児に追われる毎日を過ごすことからくる「心の余裕の無さ」が原因だったとその理由も明らかになる。

 

これが1話で全部分かります。

 

速い。展開が、速すぎる。いったいどういうことなんだ…「なんだこのいけ好かねぇやつ?」からの「めっちゃ良いやつやんお前…」になるスピードがマッハ…情緒のF-1カーなのかお前は…?

 

俺が特に心臓を打ち抜かれたのは、後半38分の出来事。楠見と娘のルカが西園寺の家を出ていく日、最後にと一緒にバーベキューをすることになった3人。

「しいたけの飾り切り」のやりかたをスマホで検索しながら挑戦しようとする西園寺だが、あきらかに様子がおかしい手つきで包丁を入れようとする。

 

ガシッ

 

急に横から西園寺の手を掴み、

 

「代わります」

 

スッ…

 

スッ…

 

見事な手つきで、

 

しいたけを、

 

切る

 

楠見

 

キィイイィイイイヤッァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!

 

か、カッコよしゅぎる。なりたい。楠見に、松村北斗に飾り切りされるシイタケになりたい人生…

 

ただ、勘違いするな。俺が興奮したのは楠見の「行為」ではない。その「背景」だ。

楠見が家事をするようになったのは、ここ1年のことだという。そう、妻が亡くなり、男手ひとつで娘を育てなくてはならなくなった楠見が、娘を喜ばせるために覚えたのだ…

この「シイタケの飾り切り」も娘を喜ばせたい、その想いから必死に練習したのだろう…切り落とされたシイタケの頭は、そんな「人生の結晶」…ああ、楠見…楠見…

そしてシイタケを切りながら、楠見は秘めていた想いを吐露する…

 

楠見「僕の妻は、1年前に亡くなりました。それから悲しむヒマもなくて。妻の代わりに僕がルカを立派にって。そればっかりで。なのに帰国したらまさかの火事で。正直、頭真っ白で。どうしようって…そんなときに手を差し伸べてくれたのが西園寺さんで…部屋まで用意してくれて…妻が亡くなってから、ルカと別の部屋で寝たのは始めてでした。そのとき思ってしまったんです、解放されたーって。ダメです。僕はダメな親なんです」

 

俺は画面に向かって叫んでいた。「うるせぇエエエエエエエ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!」と。

バッカ野郎…なにがダメな父親だ…?今ルカがこうして笑ってられるのはお前がいたからじゃねぇかよ。よくやってるよお前…嫁さん亡くしてさ、誰にも頼らず一人で娘育ててよ…もし俺が同じ立場だったら絶対に楠見みたいにはできねぇよ…でもさ…少し誰かに「甘える」…ってことをしてもいいんじゃねーか?このまま壊れるお前を俺は見たくねーんだよ…

わかったよ…楠見…俺ん家こいよ…一人暮らしにしてはウチ広ぇからさ、気の済むまで何日でもいて

 

西園寺「あー!もう!楠見くん!もう少しここにいなよ…!ここにいたことで少しでも心が軽くなったらそれでいいんだよ!ダメでもいいんだよ!ダメでもダメじゃないんだよ!だってそれも楠見くんじゃん!それを否定する権利なんて誰にもない、楠見くんにもない!ねぇ…悲しむ時間もない生活のほうがもっともっとダメだよ…

私がやりたいことだからやってるだけなの!やりたくないことをやってる人をやらなくてもいいようにすることが私のやりたいことだからやってるの!とにかく、住むとこが決まるまでここにいる!いい?いいよね!?」

 

 

お、俺より良いこと言ってる…?か、完全に負けた…

西園寺さん…楠見のこと…頼んだぜ…