映画『ファーストキス 1st kiss』刺さった人間全員ドラマ『スイッチ』見ろ。ネトフリですぐに。
特に、ファーストキスでの松たか子と松村北斗による「常軌を逸したドエロキスシーン」が脳にこびりついて離れない人間こそ、見ていただきたい。
松たか子と阿部サダヲによる「世界一エロくないキスシーン」拝めます。
学生時代から7年間も付き合っていた元恋人で、別れた後もなぜかお互いの恋人を紹介し合うなど、意味不明な関係を13年も続けている検事の直と弁護士の円!
ある日、直が担当する「連続突き飛ばし事件」の被疑者の弁護を円が担当することに〜!?いったいどうなっちゃうの〜!?
と、あらすじだけを見れば、検事と弁護士の元カップルによるドタバタキュンキュン♡チュッチュッー!ラブコメディのニオイがプンプンしてました。
「この冬一番のリーガルラブストーリー!」だと思うじゃないですか。
実際、中盤まではそうでした。
直「パソコンにお茶こぼせ」
円「ラップ剥がすところ迷子になれ」
直「洗濯物生乾きになれ」
円「餃子焼くたびに皮全部フライパンにくっつけ」
直「ブーツ履いて出かけて座敷に通されろ」
円「シャンプーとリンスの減り方のバランス悪くなれ」
直「カバンの中のあんぱん潰れろ」
円「あんぱんは潰れてるやつのほうがおいしいのに」
直「それで勝ったつもりか?」
円「プロポーズの最中に口にセミ入れ」
直「それ、実話じゃないの…俺の実話じゃないの…」
などと、
「いや!!!!!!ゴチャゴチャうるせぇ!!!!早く!!!!!!結婚しろバカ!!!!!!!!」
と、叫びたくなるほど、恋人超えて熟年夫婦感すらある軽妙なオモロ会話劇を繰り広げる2人。お前らは絶対にお前ら以外の人間と上手くやっていけないだろ、と思うほど、お互いがお互いのことを気持ち悪いほど知り尽くしてるんですね。
そんな2人が真実を追い求め、その過程で再び愛を育んでいくのでは…?と。誰もが期待するんですが、そんな想いは粉々に打ち砕かれます。
実は被害者だった男は、加害者の母親を殺害したにもかかわらず、それが表に出ること無くのうのうと生きているどうしようもないクソ野郎だったことが判明し、それを知った松たか子は、
弁護士として
そいつを
普通に
ブチ殺そう
とします。
直「君はね、ひどいことをして裁かれずにいるやつを見るとスイッチが入っちゃうの」
円「大変じゃん」
直「大変なのはこっちだよ。君、すぐ殺しにいっちゃうんだもん」
円「ハハハ」
直「なんにも面白くないよ。今回なんて赤の他人じゃん。赤の他人に共感して、勝手な正義を振りかざし…」
(中略)
円「でもさ、ほっとけないじゃん。私自身のことだもん。誰かがどこかで嫌な思いするのって全部繋がってて、Wi-Fiみたいに繋がってててさ、あたしが殺してあげないと、だって彼女がされたことって、わたしたちがされたことじゃない!」
なんでどうしてなんでなんでどうしてそうなるなんでどうしてなんでなんでどうしてどうしてなんでどうしてなんでなんでなんでどうしてなんでなんでなんでどうしてなんでなんで…
そう、松たか子は「被害者への共感力が高すぎるあまり、法に裁かれなかった犯罪者に殺意を覚えてしまう激ヤバ弁護士」だったのです。
そして、その事実を唯一知っている阿部サダヲが検事となり、彼女の殺人衝動を止めるために犯人を片っ端から起訴していた、という衝撃の事実が明らかになり、さらに、直と円は数十年前のトンネル崩落事故に巻き込まれたバスに乗っていた乗客の唯一の生き残りだったという…
もはや恋人とか夫婦とかそんなレベルではなく、2人は同じ不幸を生き延びた「運命共同体」であり、殺人を犯そうとするものと止めるものの「共犯関係」という、なによりもグチャグチャで、なによりも強い糸で結ばれていた…
急ハンドルすぎるだろ。
脳がいっさい、追いつかない。
なんのドラマを見てるんですか、私は。
そして、そんな2人が、急に、
~Deep Kiss~
が、
キス、、、
まっっっっったく
エロくない
マジで1ミリも、エロくない
このシーン見ながら余裕で家族でメシ食えるくらいエロくない
むしろ面白い。2人がハリウッド映画よろしく情熱的に燃え上がって、キスすればするほど、
「なにしてんだこいつら」
と爆笑してしまう。こんなイカれたキスシーンが、いまだかつてあったでしょうか。
ここに2人が「絶対に離れられないけど、絶対に一緒になれない」理由の全てが詰まっていました。
ファーストキスでは「絶対に結ばれる2人」を描き、スイッチでは「絶対に結ばれない2人」を描く。そしてその両方を松たか子に演じさせるそのヤバさ、これが坂元裕二という男なのだ。
恋愛ドラマ史上、最もエロくないキス『逆・ファーストキス』こと『スイッチ』、ぜひ見てください。