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Fight Song

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星野源『Family Song』と星野源が犯した功罪について

 

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星野 源 - Family Song 【MUSIC VIDEO & 特典DVD予告編】

 

最近はもっぱら「俺の化身」こと星野源が歌う『Family Song』を聴いてるんですけど、相変わらず女装したコイツが俺の母ちゃんにしか見えません、助けてください。

だがこの『Family Song』、これが…グググ…悔しいが…ちくしょう…本当に…すっっばらしいよ…こんなの初めて。源くんなら絶対マイケル超えられるよ。。。

一聴すると、どこまでもほんわかとしたラブソングのようにも聴こえる、でも歌詞の節々からどこか不穏な空気も漂わせるこの曲。例えば、1番Bメロ「救急車のサイレンが胸の糸を締めるから」、ふとした瞬間にこの幸せが崩れてしまう可能性を、誰もが秘めているということの脆さ、悲しさ、儚さ、だからこそサビの何気ない日常を願おうというメッセージにリンクしていく。ここでグッとメロディが切なくなるのがまたたまらん…。2番では「出会いに意味などないけれど」と人と人が出会うこと自体には特別な意味などない、と言い切ってる。これは多くのラブソングやメッセージソングが「出会えただけで奇跡」と歌うことへのある意味ではアンチテーゼのようにも聴こえるが、その実1番と同じようにサビで意味のなかったものが特別なものへと変化していくことへの尊さがより強く感じられて涙ちょちょぎれる。

で、何が恐ろしいかというと、「これだけ様々な描写を混ぜ加えながらも『あなた』との関係性を表すような具体的なことはいっさい歌ってない」これに尽きる。「僕」や「私」といった一人称すらない。ただひたすらに「あなた」に宛てたメッセージ。ドラマ『過保護のカホコ』の主題歌にはなっているが、Family Songはそこに留まらない。妻を想う夫、子を想う親の曲なのかもしれんし、その逆かもしれない。そもそも男女とも限らんし、今日びマフィアだって仲間のことを「ファミリー」と呼ぶからそういうことなのかもしれん。究極飼ってるペット目線の曲だったって可能性すらある。中島みゆきの『空と君のあいだに』が飼い犬目線の曲だったみたいに。

そして、この星野源。助詞の使い方がべらぼうに上手いです。特にサビラストの「遠い場所<も>繋がっているよ」この<も>の部分。ここがFamily Songのキモにあたる部分だとだと俺は思っていて、仮にこれを「遠い場所<で>」としていたらこれは完全に「遠くにいる誰かを想う曲」と限定されてしまう。「遠い場所<も>」とすることで、その相手は近くにいるのか、それとも遠く離れてしまっているのか、ひょっとしたら二度と会えない相手なのかすべての意味を持たせる含みができる。とにかく一語一語に対するこだわりがハンパねぇんですね。

Family Songだけじゃなく星野源の書く歌詞は、ふんわりとしたイメージだけを聴き手に与え、その解釈はそれぞれの想像力に任せるものが多い。こういうやり方で歌詞を書くソングライターはそう多くはないし、やろうと思っても大抵は支離滅裂になって結局メロディに適当な単語を当てはめるだけで「なに言ってんだコイツ」ってなるのが殆どなんですけど、この星野源って男はそのなかでも頭一つ抜けてるんじゃないでしょうか。

そう、星野源という男は「いかに『好き』だの『愛してる』だという言葉を使わずにラブソングを作るか」に神経を注いでいる男だったのです。

回りくどく、一聴ではわかりにくい表現も多いけど、繰り返し聴くたびにじんわりと胸の奥があったかくなってくるような、自宅や通勤中に聴いていてふと何気ないフレーズに心奪われるような、それでいて「触れ合うと言葉より君のことを知れる気がした」とカップリング曲の『肌』でも歌っているように、「たった二文字を伝えるために千の言葉を尽くす」タイプの人間ではあるが、「結局は重なってわかることのほうが多いよね」ということを誰よりも理解している男だったのです。なんなんだよ、素人童貞みたいな顔して誰よりも人(にん)を理解してやがる…。

 

そしてもう一曲、いまちらっと触れましたが、カップリングの『肌』。使ってる言葉数も音数も少なく決して派手とはいえない曲なんですけど、これもね、はぁ、とんでもない大名曲、です。

ボディソープ『ビオレu』のCMソングでもあり、渡辺満里奈とMEGUMIがCMしてた頃からビオレuヘビーユーザーの俺としては、俺の生活を侵食し続ける寄生生物・星野に苛立ちと憎悪としか生まれねぇんだけど、『肌』をフルで聴いて「ぐっ…ぐっ」って言葉を失いましたわ。「ぐうの音も出ない」とはまさにこのこと。

ファミソンとはうって変わってボンヤリとした描写のなかでもたしかに「君」を誰よりも近くに感じているということが聴き手にもハッキリとわかる。そして曲全体から醸し出す圧倒的な色気。特にサビラストの「その肌を」の余韻。その素人童貞フェイスからは1ミリ想像もできないエロ・オブ・エロ。

アッパレ、アッパレだよ、星野源。

 

 

いっけね、ホメすぎた。罪の部分。はい、もう読まなくてもだいじょうぶです。

作業中にたまたまラジオ『星野源のオールナイトニッポン』聴いてたらよぉ、星野源が唐突に俺がお世話になってる女優・高橋しょう子の話しやがって「高橋しょう子さんの新作ビデオ昨日観まして、いや〜感動した!」とか言っておもむろにレビューはじめやがって……は?オイオイてめぇなにしてくれてんだよ、これから高橋しょう子観るたびにお前の顔チラつくじゃねぇか、高橋しょう子にお前の顔がダブってフラッシュバックして見えるわド畜生めが。どうしてくれんだよマジで何考えてんだよバカがよしょーもない。aikoにスマホ見られてバキバキにされろ。

そうして星野源の顔を思い浮かべながら枕を濡らす午前3時。遠い場所も繋がっているよ…。