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ドラマ『A LIFE〜愛しき人〜』8話感想

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ドラマ『A LIFE〜愛しき人』8話感想。

 

8話の木村文乃イイ女ポイント。

深冬(竹内結子)のオペの練習のために無理を重ねる沖田(木村拓哉)。そこへ柴田(木村文乃)がやってくる。

柴田「お疲れ様です。イカ飯です」

沖田「すっごい食べたかったんだよ…」

柴田「沖田先生に買ってきたんじゃありません、お父さんに渡してください。この前のお礼です、消費期限は「今日」です」

沖田「あ、帰れってこと?ありがとう」

柴田「上着ですか?」

沖田「上着?」

柴田「はい」

沖田「あ、ロッカーに」

柴田「カバンに荷物つめますか?」

沖田「うん、手持ちで」

柴田「上着取りにいきましょうか?」

沖田「いや、えっ、大丈夫じぶんでいけるから(笑)」 

はい。ここ。ここの「お節介焼きのお母さん」感。これがたまらない。ここで重要なのは強く念を押して帰れという空気を出さないと沖田という男はオペの練習を続けてしまうということだ、それを見越してのこのお節介焼き。「男はみなお母さんのような女が好き」とはよく言ったものだが、度が過ぎたお節介焼きは3つめのモチのように重たく、受け付けられないものだ。例えばこれが並の女であった場合、ただのうざったい女と思われかねないところを木村文乃の「上着ですか?」の言いかた、絶妙に嫌味ったらしくならないようなニュアンスを突いてくる。

それも常に患者に、命に対して全力でぶつかる沖田を心から尊敬しているからこそなのだが、この沖田という男も鈍いのかそんな沖田に想いを寄せる柴田に対して、

「ねえ、柴田さんってさ、オペ以外にもほんと勘いいよね。いつも助けてもらってます、ありがとうございます」 

なんて一言をかけたりする。このときの柴田の「嬉しい」と「切ない」が混同した表情・竹内結子、松たか子、常盤貴子、篠原涼子、深津絵里、小雪、北川景子、上戸彩他と今まで名だたる女優たちが木村拓哉に対してこの表情を浮かべてきたが、そのなかでも屈指の表情だった。この憂いを帯びた透明なガラス玉のような表情、最の高です。ありがとうございます。

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また、この柴田と井川(松山ケンイチ)の関係性にも徐々に変化が生まれてきている。ドラマ序盤では単なる親の七光りで医者になった半端者だった井川も、沖田のひたむきな姿を目の当たりにして「医者」としての心の在り方を改める。そしてそんな井川のに対し見下した態度を取っていた柴田だったが、中盤から終盤にかけては同じ「命に向き合う医者とナース」という対等な関係を築いている。

8話中盤、井川の縫合練習に付き合う柴田。沖田の父親が病院に運ばれ、そのオペを沖田が行うことになったことを話す二人。

柴田「なんだかんだ言ってパパのことが大好きなんだ」

井川「えっ、もしかして柴田さん、俺が父親のことパパって呼んでると思ってる?いくらなんでもそれはないから30過ぎてからは」

柴田「ふっ、へへへへへ(笑)」

井川「でもほんと凄いよね〜、身内のオペやるなんてさ」

柴田「お父さんのオペができなきゃ、深冬先生のオペもできないってことだから」

井川「なるほどね〜、どういう意味?心臓と脳じゃ全然違うよね」

柴田「はい、おしまい。はぁ…下手っぴ」

 この「下手っぴ」の言い方〜〜〜〜〜〜〜!!!!!この「下手っぴ」で俺の心のキャッチャーミットにズバン!とボールが収まる音がした。このツンとデレの塩梅、ネコのようにコロコロと変わる態度、最の高です。ありがとうございます。

 

さぁ、壮大(浅野忠信)の時間です。

もはや髪型を直すことは完全に諦めた壮大。その髪型に比例するかのように、沖田が自分の父親を自分の手で救おうとしているのに、自分は妻である深冬のオペを沖田に任せているという劣等感。「手に入らなければ、いっそなくしてしまえばいい」という言葉どおり、自分の「頼むよ、お前しかいないんだよ」と口では言いつつも、もしオペが成功して深冬が永遠に沖田に恩や愛を感じることに我慢ができなくなっているのが手に取るようにわかる。

しかし、これまでと違うのは感情を抑えた壮大が見られるというところだ。壁を殴るでも、水槽を殴るでも、突然叫び出すでもない。(冒頭で榊原(菜々緒)にぶん殴られて「おぉ…」とか言いながらチョコ食ってたけど)「おいどうした?らしくねぇぞ壮大」そんな声が聞こえてきそうなくらいに気の抜けた壮大が続く。起きたかと思いきや終盤、沖田が父のオペで動揺し、ミスしたことで状況は一変する。自分で殴って空けた壁の穴を見つめ自分の手のひらと重ねる壮大。次の日、沖田を副院長室に呼び出す。

沖田「なに話って」

壮大「連続フォアボールで押し出し逆転負け」

沖田「えっ?」

壮大「あの時、お前にマウンドを明け渡した結果だ」

沖田「なんだよ急に」

壮大「自滅したお前を見て思ったよ。あの時やっぱり俺が痛みをこらえて最後まで投げれば良かった、コーチに直訴すればよかった。今回オペだ、自滅されちゃ困る」

沖田「なにが言いたいの?」

壮大「深冬は俺が切る」

沖田「なに?それも親友としての提案?10年前俺はシアトルに行った。院長に薦められて。今はもうあの頃の俺じゃない、深冬は俺の『患者』だ」

壮大「深冬は俺の『家族』だ」 

ここへきてようやく自分たちの想いをぶつけ合った沖田と壮大。この静かにバチバチとやり合う感じがたまらない。人はスーパーマンじゃない、沖田でも100パーセントじゃない、そのことは沖田も壮大もわかってる、だからこそ大切な人の命を目の前にして互いに譲れない想いがあるのだと思う。果たしてどっちがオペするのか、深冬を救えたとき壮大のキモい髪型は元に戻るのか、最後まで目が離せん。

 

 

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