今週のお題特別編「子供の頃に欲しかったもの」
〈春のブログキャンペーン 第3週〉
子どもの頃は一人っ子ということもあってとても「兄弟」が欲しかった。
幼稚園(保育園)に上がるまでは年齢の近い友達もおらず、ずっと一人で遊んでいた。ボール遊びをするのも、おはじきをするのも一人。一人かくれんぼ、一人鬼ごっこなどは日常茶飯事で、ゲームをしていても、テレビを観ていても一人なので、昔は遊びながら独り言をよく言っていたらしい。
周りにいるのはいつも大人だったので、今にして思えば大人に可愛がってもらう能力は長けていたと思う。かわいこぶったり、わざとドジな子を演じてかまってもらっていたのだ。この経験は大人になった今でも活きているので一人っ子だからと言って損ばかりではないのかもしれない。
その反面、最初は同世代の子たちと話すのはとても緊張した。僕だけが大人の世界を知っているので周りの子たちがとても幼く感じたのだ。だから周りがミッキーだのポケモンだのに夢中になっている時も僕は長渕剛に夢中だった。特に「乾杯」と「ひまわり」という曲が大好きで授業中よく口ずさんでいた。
会話も一人だけ大人びていて同級生たちに向かって「愛とは...」とよく語っていた。しかし、中学校、高校と上がるにつれ「愛とは...」と語っていた僕は「愛とは...」を語られる側になり、高校を卒業する頃、気がつけば仲の良いグループの中で僕だけがチェリーだった。愛してるの響きだけでは強くはなれなかった。
ただ僕は行動力のある子供だったので自分が一人っ子ということを良しとしなかった。かわいい妹と「お、おい!勝手に人の部屋覗くなよ!」「いいじゃん、部屋にこもって何してたの?」「書き物だよ!か・き・も・の!」「なにかいてたんだか(笑)」なんてやりとりをしたかったのだ。だからよく親に向かって「今日はプロレスごっこしないの?」などと言っていたそうだ。僕が生まれたのは1月なので十月十日で計算して3月、4月は定期的にこのようなことを言って親を困らせていた。結果として残念ながら兄弟はできなかったが友達の「兄弟がいる苦労」というものを聞くと「一人っ子で良かったかなぁ」と今では思ったりする。
まぁ、うちは生まれた時からずっとシングルマザーなわけだが。