びっくりドンキーの「パインバーグディッシュ」に謝罪させてください。本当にすいませんでした。
正直な話、今までパインバーグディッシュを食う人間のことを「マジでどうかしてる」と思ってました。
チーズやエッグやカレーという1軍レギュラーを差し置いて、なにが悲しくてわざわざ金払ってハンバーグに3軍補欠フルーツ乗せて食わにゃならんのじゃ。パインバーグディッシュ?逆に金もらっても食うかよ。山王戦で流川外して石井(メガネ坊主)出さねぇだろ安西先生は。と。
いや、そもそも幼少期から家族、友人、同僚、恋人、様々な相手と数えきれないほど、びっくりドンキーを食べてきましたが、パインバーグディッシュを注文しているやつは、マジでただの1人もいませんでした。
パインバーグディッシュを注文するイコールまごうことなき異常者。パインバーグディッシュという名前そのものが、言うだけでちょっとウケる大喜利の答え。もし本当にパインバーグディッシュを注文し食べている人間が目の前に現れたなら、すぐ未確認生物として捕獲しアメリカの研究機関に引き渡したい、とすら考えていました。
しかし先日、人生で初めてパインバーグディッシュを注文しました。なぜそうなったかというと、完全に「罰」
「スマブラで負けた人間はパインバーグディッシュを食う」という意味不明すぎる闇のゲームに敗北し、パインバーグディッシュ食うか、死ぬか、の二択でパインバーグディッシュを選びました。結果、
なんですかこれは
次元が違っていた。パインの酸味と甘味がハンバーグの肉の旨味に溶け込み渾然一体となって舌を刺激する。一口、また一口と進めることでどんどん調和が増す味のオーケストラ。料理を形成するその全てが「人間の脳を狂わせる」ために完璧に計算されていた。
もはやこれはハンバーグではない、料理を超えたひとつの芸術作品と言ってもいい。肉のかたまりの上に果物を乗せるというのは恐らく「この世界」を表現しているのだろう。大きな星の上に立つ私たち小さな命。そう。私は「地球そのもの」を食べていた。
もう戻れない。そこから私の人生は、パインバーグディッシュ以前パインバーグディッシュ以後になり、そして人間は「パインバーグディッシュを食べたことのある人間」か「ツイッターのプロフィール長すぎてキモい人間」の2つに分けられたのです。
そして衝撃と共に、泣いていました。「俺が食べていたのは本当のびっくりドンキーではなかった」という事実に涙が止まりませんでした。「びっくり」の意味さえ知らなかった俺の今まで人生は、いったい。
過去の俺「パインバーグディッシュ?逆に金もらっても食うかよwww」
「逆に金もらっても食うかよwww」
「食うかよwww」
このカス野郎を気絶するまで殴り倒したい。今すぐコイツの舌を引き抜いてびっくりドンキーの祭壇に捧げたい。
恥ずかしくて言葉も出ません。何も知らず、知ろうともせず、偉そうにパインバーグディッシュに対して人とも思えないような言葉を投げかけた。
パインバーグディッシュが泣いている後ろで、俺はヨダレたらしながらアホみたいな顔してチーズだのカレーだのをハンバーグにぶっかけて食っていた。その姿、まさに山賊ヒグマ。
パインバーグディッシュ関係各所、改めて本当にすいませんでした。今は、パインバーグディッシュに対する数々の無礼をどうすれば許してもらえるのか、そればかり考えて過ごしています。これからは償いの人生です。
そして変えていきたい。私はこの世の中を変えていきたい。パインバーグディッシュを食べないことで流れてしまう涙を、ひとつでも減らしたい。
なにより、守りたい。君の笑顔を。
ーCMー
俺「だ〜れだ!」
君「えっ。かんそう、くん?」
俺「ブッブー!パインバーグディッシュでした〜!」
君「びっくりしたぁ〜!もぉ〜!またからかって〜!」
俺「へへ…ごめんゴメン」
君「わたしおなかすいた!どっか食べ行こ?」
俺「うん!今日もあそこでも、いい?」
君「え〜?また?ほんと好きなんだから。しょうがないなぁ〜、じゃあわたしチーズバーグディッシュ!かんそうくんは?」
俺「…そんなの、決まってるじゃん!」
〜あなたのそばに、びっくりドンキー〜
なんですかこれは