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ミクスチャーブログ

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芸人・囲碁将棋の漫才の魅力についての論文

囲碁将棋というコンビを知ったのは「M-1グランプリ2009」敗者復活戦で、J-WALKの『何も言えなくて…夏』と安室奈美恵の『CAN YOU CELEBRATE?』の「綺麗な指してたんだね知らなかったよ」と「永遠ていう言葉なんて知らなかったよね」の「知らなかった」の歌詞の共通点だけで4分ひたすら歌い合うという、字面だけでは1ミリも何言ってるかわからないトチ狂った漫才によって一瞬で心を掴まれた。

それからよしログやYouTubeで囲碁将棋のネタを漁りまくると、そのほぼ全てが「だ…誰にウケたいの?」と思うほどテーマがコアでマニアック、

「The虎舞竜『ロード 第1章』」

「大事マンブラザーズバンド『それが大事』」

「パチンコ演出告白」

「鷲巣ドンジャラ」

「シャ乱Q『ズルい女』の歌詞」

「Dragon Ash『Grateful Days』」

と、同年代の一部の男にしかウケないであろう漫才を劇場の中心客10代20代女子相手に平気でやる。それはM-1グランプリなどの大舞台でもいっさい変わらない。この「ブレなさ」が死ぬほどカッコいいと思った。

しかも面白い。分からなかろうが面白い。そのマニアックなネタに持っていくまでの語彙力だとか、文田さん、根建さんの2人の台本を感じさせないような自然な立ちふるまいで興味ない話題の漫才でもグッと話が入ってくるから「この2人なら何喋ってても面白い」っていう唯一無二の雰囲気が出てくる。

「ボケ・ツッコミ」を明確に決めてない所も独特で、ネタによっては文田がボケることもあれば根建がボケることもあれば、1人がボケたまま最後まで突っ走るところもある。最後の最後で急に片方がボケ始めるパターンもあったり、スタイルは「無限」で「雲」。ネタに合わせてその形を変えていくので、見てるこっちはどういう展開になっていくか全く想像ができない。

だからこそ囲碁将棋のネタを観ていると「次はなに言うんだ?」「次はどんな展開になるんだ?」と、常に激アツ演出が来るパチンコ台を打ってるかのように射幸心をギュンギュン煽られる。


特に、代表ネタでもある「タオル肛門」は、そのテーマの下品さから意味でも悪い意味でも物議を醸した狂ネタ。個人的には囲碁将棋の最高傑作だと思っている。

まず、文田さんが「銭湯行ったら湯船にタオルつけてたの注意されたけど、よく考えたらこのオッサン、湯船に肛門つけてんだよな」というイカれた理由で逆ギレしはじめるところから始まるのだが、そのキレ方の語彙力が異常で、

 

「肛門を湯船につけた時点でなんでもあり」

「泥だったらふたすくい入れていい」

「粉ポカリ入れていい」

「片栗粉でとろみ出してもいい」

「風呂では好きにやればいい」

 

と、この無茶苦茶な理論を展開しどんどん口が乗ってきて

 

「タオルとオッサン肛門どっちを触る?」

「コンソメで味を整えたタオル汁と肛門汁どっちを飲む?」

 

この世で一番意味のわからない二択をぶつけて来るんですが、普通であればツッコミ、つまり常識人でなければいけないはずの根建さんが、

 

「場所どこだよ?風呂?じゃあ肛門!」

 

と、文田さんの更に上行くめちゃくちゃな回答する。ここが囲碁将棋のヤバさ。ここでもうボケとツッコミが入れ替わってる。笑い飯のように一個ずつ「次は俺の番!」と区切りをつけるダブルボケとは違う、本当にやりとりの中で自然にネタの主導権を奪い合っていく。

 

根建「お前なんか勘違いしてない?タオルで体洗うだろ?肛門も洗うだろ?この時点でタオルに肛門移動してるのわかる?お前はここに(タオルに)肛門を持ってんの!」

文田「特殊な昆虫の話してる?」

根建「肛門掴んで風呂に入れたら怒られるに決まってんだろ」

文田「じゃあ風呂入るとき肛門つけないようにこうやって(クラウチングスタートの構えで)入るわ」

根建「めんどくせえだろそんな入り方」

文田「わかった、肛門綺麗な前提の話してんのな。でもそのオッサンかけ湯だけで入ってきてたぞ、綺麗なわけないじゃん」

根建「あぁ、そういう奴は肛門閉めて入ってきてるから」

文田「嘘つけよ!確認できねーじゃん」

根建「マナーだから!肛門閉めんは!」

文田「じゃあお前風呂のどこに『肛門閉めなきゃいけない』なんて書いてあんだよ」

根建「見てみろよ、リウマチの次あたりに書いてあるから」

文田「書いてねぇだろ!」

根建「お前がよく見てねぇだけだろ」

文田「お前目ぇ覚ませ?お前は常識だと思ってるかもしれないけど、裸の人間たちがお湯に肛門をつけあうというこの行為は、狂ってんだよ」

根建「お前が狂ってんだよ!」

 

結果、このネタを披露したことで死ぬほど炎上してましたが、本当にエグすぎるネタなので、もう一度冷静になって見てほしい。

この他にも囲碁将棋は面白いネタがまだまだあって、追えば追うほどその魅力と中毒性に脳みそ溶かされる脳汁芸人です。確実に爆売れする芸人だと思うし、心の底から売れてほしい。やってみろよ。