俺がよく行く近所の居酒屋があったんですけど、そこは北海道で捕れた新鮮な魚介類を取り扱っている居酒屋で、どの料理もとてもうまく定期的に足を運びたくなるのだけど、はっきり言って味以外は最悪でした。
まず第一に、生ビールを出すとき、
「タイヘン!おまんたせいたしましたぁ!!絶好調!!生ビールです!!」
と言ってくる。織田裕二のテンションで行ってくる。
これがすげぇむかつく。どの店員も変わらず織田裕二の顔とテンションで
「タイヘン!おまん!たせいたしましたぁ!!絶好調!!生ビールです!!」
これが酒が入ってこっちの酔いが回ってる状態ならわかるんですけど夜9時くらいにしっぽり飲もうかなと思って頼んだビールを持ってきた第一声が、
「タイヘン!おまん!たせいたしましたぁ!!絶好調!!生ビールです!!」
圧がすごい。そのうち新人が皿なんか落としたもんなら「おぉい!!なにやってんだよ!!!タメ!!!」とか言い出しそうだし。
しかも、この居酒屋「店員がネームプレートで個性出してくるタイプの居酒屋」で、
「バンド超頑張ってます!ヒデ!」
「笑顔ナンバーワン!ゆか!」
「札幌のピコ太郎!たかし!」
「店イチのモテ女!みゆき!」
うるせェェェェェッェエエエエ!!!!てめぇらの個性なんざどうでもいいんだよォオオオオオ!!!!!!!さっさと刺身盛り合わせ持ってこいボケェェェェェエ!!!!誕生日でドリカム流してんじゃねェェェエエエエクソが!!!!フラッシュモブしてる最中に頭ぶつけて死ね!!!!
と、毎回声を荒げたくなる。ところがどっこい、この店の刺身、本当にめちゃくちゃうまい。たまに調子こいた北海道出身者が言う、
「北海道の刺身いっかい食ったらもうむこう(本州)の刺し身なんか食えねぇよ?」
が、あながち間違いじゃないかも…?と思ってしまうくらいに肉厚でプリプリな刺身をリーズナブルな値段で提供してくれる。この刺身があるからこそ多少の「キラキラ感」にも目をつぶって通ってしまう。ガヤガヤとした雰囲気の中で、うまい酒と料理を味わっていると、この底抜けの明るさが好きで通ってる人も少なからずいると思うと俺には彼らを否定することなんて、できやしないよな…と、そんなことを考えてしまう自分がいた。
俺「すいませーん、お会計お願いします」
店員「は〜〜〜い!!!よろこんで〜〜〜〜!!」
俺「…」
店員「○○円になります!!!」
俺「じゃあこれで」
店員「いっちまんえん入りましたァァァっっ!!!!」
全店員「ありがとうございま〜〜す!!!」
俺「…」
店員「足元お気をつけてお帰りくださァァァアい、室井さぁァァん!!」
俺「どうも、ごちそうさまでした〜」
店員「あ!よかったらこれ!読んでください!!!ウチのオリジナルの新聞なんで!!」
俺「…は、はぁ」
店員「あっりがとうございましたァァァ!!!」
ケツでも拭いたろか。