わたくし、ラプトル(ちっちゃいザコ恐竜)みたいな外見してるせいか知らないんですけど、なんかいっつも店員にナメられててこの世が地獄です。
コンビニ行っても、俺の前に並んでたガテン系の兄ちゃんには、
「いらっしゃいませ!いつもありがとうございます!ありがとうございました!またお越しくださいませ〜!」
つってそいつ皇族かよみたいな丁寧な接客してんのに、俺の番になったらレシート渡した流れで「お次の方どうぞ〜」とかつって俺に言うはずの「ありがとうございました」省略して次の客行くんだよ。どうなってんの?ド深夜にブリトー買ってるからって絶対俺のことファッキンニートかファッキンヒモ野郎だと思ってるだろ。いいかげんにしろ。めちゃめちゃ働いてるっつーんだよ。こち亀の中川の親父くらい働いてるわ。
あと居酒屋、特に焼き鳥屋な、個人経営のさびれた汚い焼き鳥屋なんか行くとほぼ確定でタメ口。入った瞬間に、
「開いてるとこ座って〜」
っつって(は?いきなりタメ口ラッシュ入ってんのかよ)ってすでにちょっとイヤな気分になってるんですけど、しぶしぶ座って「生ビールと〜豚串と鳥精肉と皮とつくね2本ずつください」って頼んだら、
「あ〜〜〜!つくねもう切らしてんだわ!他のにして!おすすめアスパラ!」
てめぇ三親等かよ年1で会う親戚のジジイかよみたいな距離の詰め方。コミュ力の豪腕振り回してくるな。誰がつくねの代用がアスパラっておい。しかも見てたら、俺みたいにタメ口かまされてる客もいればバリバリ敬語で喋ってる客もいたりして、確実に人選んでんの。なんなんだよ、お前のその客との距離近めのスタンスで行くならそこ統一しろよ。
そもそもジジイにそれやられても全然嬉しくねぇから、嬉しいのは「普段は100敬語なのに酒飲んで酔うと徐々にタメ口と敬語入り交じるメガネかけた同僚の女」だけだから。
「あ〜楽しい〜〜。こんなに飲んだの久しぶり〜〜」
「おいおい、ちょっと飲み過ぎじゃねぇ?」
「え〜、いいじゃないですかぁ〜、ちょっと飲みたい気分なんですよ〜。はぁ〜〜…なんかイイ感じになってきましたねぇ〜」
「なぁ、電車だいじょうぶか?そろそろ…」
「てゆうか!ぶっちゃけ、かんそうくんってわたしのこと嫌いですよね〜?」
「な、なんでそう思うんだよ。べ、別に嫌いじゃねーよ」
「だって、態度でわかりますもん。ちょっと距離置かれてるっていうか〜」
「い、いや、別に置いてねーよ(かわいすぎて目ぇ見て話せねぇんだよ…)」
「さみしーなぁ…。わたしもっとかんそうくんと仲良くなりたいのになぁ…」
「は、はぁ!?な、なに言ってんだよ………!」
「かんそうくん…もう終電過ぎちゃったねぇ…。このあと…どうしこんな同僚はどこにも存在しねんだよ!糞が!どうなってんだよこの世は…
…でも、そんなド腐れラプトルの俺にもたま〜〜に丁寧に接客してくれる店員さんもいて、そういう店員さんに当たると老若男女問わず100パー好きになっちゃう。
例えば、近所にもう手作りの最強にうまい弁当屋があって。夫婦が二人で切り盛りしてるんですけど、超良い人たちでまっっすぐ俺の目だけを一点に見つめて、
「いらっしゃいませ」
「ご注文はお決まりですか?」
「はい、○○弁当おひとつですね」
「少々お時間いただいてよろしいでしょうか?」
「○○円になります」
「○○円のお返しになります」
「ありがとうございました〜」
もう逆に嫌味かってくらいのちゃんとしたマニュアル接客。気持ち良いことつぼみの如し。これだよ。これぞ接客業のあるべき姿だよ。これがジャパンクオリティだよ。少しは見習え。聞いてんのか?おい、近所のファミマの金髪。お前に言ってんだぞコラ。
それでね、その最高の弁当屋かなりの繁盛店で、何十回も通ってるんですけど、他にもそのへんの大学生とかサラリーマンとか家族とかもよく買いに来てて。先日も夕飯買いに行ったら、
「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですかー?」
「はい。塩サバ弁当ですね、少々お時間いただいてもよろしいでしょうか?」
「できあがりましたらお呼びしますのでお待ち下さいー」
最高…この変わらない新宝島スタイルの丁寧接客…これこそが最高の…
ウィーーン
「いらっしゃいまっ、、お〜!上田君いらっしゃい!もう学校終わりかい?」
…
ウィーーン
「いらっしゃいまっっ、、あっ落合さん!今日も仕事お疲れ様!また唐揚げ弁当?好きだね〜」
……
ウィーーン
「あら!高橋さんご無沙汰だね〜!カオリちゃんも大きくなって!」
………
「サバ塩弁当のお客様ー。ありがとうございましたー、またお越しくださいー」
…………
「上田君!ハイ!デラックス弁当お待ち!ご飯ちょっと多めに入れといたからっ…(小声)若いうちはたくさん食べ
……え?俺にも、もっとフレンドリーに…?殺してくれ