夢がない、やりたいことがない、自信がない、才能がない、行動力がない、知識がない、語彙力がない、それでも幸せになりたい。欲望が抑えきれず結果オナ三昧。10代の衝動を、パワーを、10000%具現化したような曲…
特に一番サビの
「伝えたい想いは溢れてるのに 伝え方が分からなくて今でも言葉を探してるんだ」
心動かされる何かを目の前にすると100の感情に対して0の言葉しか出ずに「ヤバい、むり、尊い、エモい、好き」しか言えなくなる、そんなモヤモヤを抱えていたクソアホのあの頃を思い出してゲロ吐いた。
カラッとしたアコギ一本から始まりAメロ→イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ…と続くが、そそ れぞれがまったく結びつかない。独立していて整合性がない。そのくらい良い意味で「個」が強い、事実上の「全部サビ」。
なのにそれが一曲になったときにまったく違和感がない。メロとメロの繋ぎ方が恐ろしいほどスムーズでムダがない。Bメロの新井先生のベースのアルペジオ、サビ前の勢喜先生のタムによって、力強さを損なうことなく一曲として成立させてる。
さらに、この曲における井口先生のボーカルが曲の濃さを何倍にもさせている。
「な゛れやしな゛いよォ゛」「微かな自分を゛ォ゛」「変わって゛ェ゛」「教えちゃくれ゛いんだァ゛」生きていこうせ゛ェ゛」
…いつもの氷舐めるかのような丁寧で繊細な歌い方をする井口先生とはうってかわって荒々しくて、率直で、未完成で、天沢聖司のバイオリンのようなボーカル。
しかも乱暴でカッコいいだけじゃなく、この曲はとても「かわいい」。ポップの暴力。
「TTTT!Teenager Forever~!TTTT!Teenager Forever~!TTTT!Teenager Forever~!」
突然のTT兄弟。Tを探すな。
このメロディの変幻自在な緩急が『Teenager Forever』の凄さ。それは後半にかけてさらに加速する。
2サビ→イントロのメロからのギターソロ→急激にテンポを落としてAメロに戻る。再びアコギ一本と井口先生の声のみに。悟りを開いたかのような美麗なメロ。カッコいい、かわいい、美しい、めまぐるしく変わっていく。脳の理解が追いつかない。そして…
「他の誰かにィィィイなんてェェ〜〜…(ジャッ…ジャッ…)…なれやァ…しないよォ……そんなのォわかってるんだァアアッッ…(テロロテロロン……)… 明日を信じてみたいのォオッ…(テレテレンレレッ…)… 微かなァ自分をッッ…愛せなかっ…(ジャッジャッ…)…たとしてもォォオオ…オオォ〜〜〜〜〜!!!!!ベロベロレレロベロロエネオレオレレエエロオロエレ〜〜〜〜ッッッ!(ズムズムズムズムズムズムズムズムズムズムズムズム!)(デレスデデデエデッデレッレスデテレデデデデッッッ!)ベロギャレレロレロレガロロベロレレオレレフェエッッフェッッフィィイイイ〜〜〜〜ッッッッッッ……!!!!ギャォアアアアォッッッ……!!!」
耳ちぎれるかと思った。いきなりのビックバン。まさに衝動、本能の赴くまま。曲時間、たった3分弱。この早さ10代そのもの。
…King Gnuの楽曲は一貫して、
「他の誰かにはなれない」
「過去には戻れない」
ということを歌っていて「その喪失感や絶望感にいかに抗っていくか」が大きなテーマになっていると思う。
いつまでも相変わらず つまらない話を
つまらない中にどこまでも幸せを探すよ
煌めきを探せよ
『Teenager Forever』も単に「10代に向けて歌われた曲」で終わらず、大人になってしまったわれわれに対して、純粋無垢だった自分には絶対に戻ることができない、それでも一筋の煌めきさえあればいつだってあの頃の熱い想いを取り戻すことができる、そんなことを言われているような気がした。
歳を重ねても自分の中にある「T」(Teenager)を探していきたい、そう思った…
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- アーティスト:King Gnu
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- 発売日: 2020/01/15
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