ポルノグラフィティの名曲『サウダージ』にこんな一節があります。
「想いを紡いだ言葉まで 影を背負わすのならば 海の底で物言わぬ貝になりたい」
…ずっと疑問だった。「それはなんの貝なんだ」と。
アサリなのか、ホタテなのか、カキなのか、サザエなのか、おまえはいったいなに貝になりたいんだと。
ということで、調べました。
貝の種類
まず、この世に存在する貝類の数はなんと「130種類」以上にも及びます。
アオイガイ、アカガイ、アカニシ、アクキガイ、アゲマキガイ、アコヤガイ、アサリ、アブラキヌタレガイ、アヤボラ、アルビンガイ、アンボイナイガイ、イシガイ、イシマキガイ、イシマテガイ、イボキサゴ、イボニシ、ウコンハネガイ、ウシノツノガイ、ウズラタマキビガイ、ウミウサギガイ、ウミノサカエイモガイ、ウロコフネタマガイ、エビスガイ、オオイトカケガイ、オオタニシ、オオノガイ、オキシジミ、オキナエビスガイ、オニサザエ、オオヘビガイ、カガミガイ、カブトボラ、カミナリサザエ、カラスガイ、カラマツガイ、カワシンジュガイ、カワニナ、キクイガイ、キサゴ、キリガイ、クマサカガイ、クモガイ、クロアワビ、クロチョウガイ、コタマガイ、サカマキガイ、サザエ、サラガイ、サルボウガイ、シオフキガイ、シマイボボラガイ、シュモクガイ、シラオガイ、シロウリガイ、シンカイヒバリガイ、シンセイダカラ、スイジガイ、スエヒロキヌタレガイ、スガイスダレガイ、スケーリーフット、スルガバイ、セタシジミ、タイラギ、タカサゴビナ、タガヤサンミナシ、タケノコガイ、タマキビガイ、ダンベイキサゴ、チマキボラ、チョウセンサザエ、チョウセンハマグリ、ツメタガイ、テングニシ、トウカムリ、トコブシ、ドブガイ、トリガイ、トンガリササノハガイ、ナガニシナミガイ、ナミノコガイ、ナラクハナシガイ、ナンヨウダカラ、ネコガイ、ハイガイ、バイガイ、バカガイ、ハナビラダカラ、ハナマルユキ、ハチジョウダカラ、ハマグリ、ヒオウギガイ、ヒガイ、ヒメゴゼンソデガイ、ヒメモノアラガイ、ヒレジャコガイ、フジノハナガイ、フネアマガイ、ベニエガイ、ベニオキナエビス、ベニタケノコガイ、ベンケイガイ、ホシダカラガイ、ホタテガイ、ホッキガイ、ホトトギスガイ、ホネガイ、ホラガイ、ホンビノスガイ、マガキ、マシジミ、マダカアワビ、マツカサガイ、マツバガイ、マテガイ、ミヒカリコオロギボラ、ミミガイ、ミルクイ、ムシロガイ、ムラクモダカラ、ムラサキイガイ、ムラサキインコガイ、モノアラガイ、ヤクシマダカラ、ヤコウガイ、ヤツシロガイ、ヤマトシジミ、ヨメガカサガイ、ヨモツヘグイニナ、リュウキュウアオイガイ、リュウグウオキナエビス、リュウテンサザエ、リンボウガイ…
そろそろ頭がおかしくなるのでやめますが、この膨大な数の貝の中からサウダージの主人公・ダジ美がなりたい貝を探すのはかなり大変な作業です。(サウダージは男の女々しさを女言葉で歌った曲ですが、ここでは統一性を持たせるため主人公の名前を「ダジ美」とします)
しかし、改めて歌詞に注目するとそこには大きなヒントが隠されていました。
「海の底で物言わぬ貝になりたい」
「海の底」、そう、すなわち深海です。ダジ美は「深海の貝」になりたいのです。ということは、裏を返せば浅瀬に生息する貝にはなりたくはないということがわかります。シジミになってもダジ美の傷が癒えるはずはありません。恋心の結末が「味噌汁の具」でいいはずはない。
深海に生息する貝
130種類の貝の中で「深海」、つまり水深200m以上の海に生息している貝は、
- アブラキヌタレガイ
- アルビンガイ
- ウロコフネタマガイ
- オキナエビスガイ
- カブトボラ
- キクイガイ
- クマサカガイ
- シロウリガイ
- シンカイヒバリガイ
- スエヒロキヌタレガイ
- スルガバイ
- チマキボラ
- ナラクハナシガイ
- ベニオキナエビス
- ヨモツヘグイニナ
- リュウグウオキナエビスリンボウガイ
以上、たった「16種類」しかありません。ダジ美がなりたい貝はこの中のどれなのか。ここでサウダージの次の歌詞を見てみましょう。
「誰にも邪魔をされずに海に帰れたらいいのに あなたをひっそりと思い出させて」
「誰にも邪魔をされずに」…そう、ダジ美はひとりになりたいのです。他の生物は周りにいてほしくない。この思い出を誰にも汚させたくはない。いつまでもキレイなままで。便意もないのにウォッシュレットだけを当てにトイレに行く、それほどの想い。ダジ美にとっては海が深ければ深いほど、底が底であるほどいいのです。たかだか深海200、300mどころの話ではない。ダジ美のもつ悲しみはもっと奥、圧倒的な深海をダジ美は望んでいる。
それをふまえ、貝の生息地とその水深を見てみるとこうなります。
- アブラキヌタレガイ…水深200~1000m
- アルビンガイ…水深2000m付近
- ウロコフネタマガイ…水深2400~2900m
- オキナエビスガイ…水深200~300m
- カブトボラ…水深250m~500m
- キクイガイ…水深200~1400m
- クマサカガイ…水深100m~300m
- シロウリガイ…水深700~1200m
- シンカイヒバリガイ…水深1500m
- スエヒロキヌタレガイ…水深1000m
- スルガバイ…水深200m~800m
- チマキボラ…水深200m~400m
- ナラクハナシガイ…水深7000m
- ベニオキナエビス…水深80m~250m
- ヨモツヘグイニナ…水深2000m付近
- リュウグウオキナエビス…水深50~250m
- リンボウガイ…水深80m~300m
推進1000mを超える深海に生息しているのがアルビンガイ、ウロコフネタマガイ、シンカイヒバリガイ、ナラクハナシガイ、ヨモツヘグイニナ、なかでも「ナラクハナシガイ」は水深7000mでの生息が確認され、存在する貝類で「最も海の底にいる貝」と言われています。
名前は「奈落の底から採集された」ことにちなんでおり、文字どおり「圧倒的な深海」。ダジ美の気持ちを表すうえでこれほどまでに適した貝がいるでしょうか。この貝こそダジ美がなりたかった貝に間違いない…
「想いを紡いだ言葉までェ〜! 影を背負わすのならばァ〜! 海の底でナラクハナシガイになりたァァ〜〜〜い!」
偶然にも語呂もいい…まさか…ポルノグラフィティはここまで計算して…