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藤井風の新曲『旅路』が「お麩」の優しさ

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藤井風の凄さは「音楽における異常な変態性」だと解釈してた。普通なら使わない言葉、普通なら使わない旋律を使って曲を作る音楽の変態、それが藤井風だと。とんでもなくオシャレなメロディに乗せて「肥溜めへとダイブ」「青春はどどめ色」と歌う、その唯一性。

「歌詞はメロディーに呼ばれる言葉を探す」「歌詞は神様がくれたギフトみたいなもの」という言葉どおり、藤井風はこういう言葉を「狙って」書いているわけじゃない。メロディに対して最も違和感なく当てはまる言葉が藤井風にとっては「肥溜め」と「どどめ」だっただけの話。これはたぶん岡山の大自然で育った環境あっての言葉選びで、藤井風はリアルで人生の選択を間違えば全身ウンコまみれになったんでしょうし、青春は切なく汚くエロいものだったんでしょう。他のアーティストは「肥溜め」「どどめ色」がそもそも脳みそにないので思いつかないが、藤井風はそれを自然体で、感覚で形にすることができる。つまり「藤井風だけが持ってる言葉がある」ということ。

だからこそ「藤井風の歌は藤井風以外には歌えない」。異常ゆえに孤高。圧倒的な天才。キーが高いとかリズムが難しいとかそういう話じゃなく、弾く一音一音が、選ぶ言葉が、すべて藤井風そのものを表してる。オール風。自分の人生を他人に語られるとムカつくように、たぶんカラオケで藤井風歌われたらちょっとムカつく。「お前は藤井風でもねーし岡山育ちでもねぇだろうが」って勝手にキレ散らかすと思う。藤井風の音楽は藤井風でしか成し得ない。藤井風の中でのみ完結する。

 

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…というのを踏まえたうえで新曲『旅路』を聴いたんですが…マジ調子こいてほんとすいませんでした…さっき「藤井風の歌は藤井風以外には歌えない」って書きましたけど、全部撤回します…こんなにも開かれた曲はありません…「カラオケで藤井風歌われたらムカつく」だ…?藤井風からしたらそんなことほざくお前が一番ムカつくって言われるだろ…ちょっと生まれ変わってきます……申し訳ございませんでした…

あの日のことは 忘れるね

みんなだって 彷徨ってた

この宇宙が教室なら

隣同士 学びは続く

「神の視点」かと思うほど圧倒的な「広さ」、

あの日のことは忘れてね

幼すぎて知らなかった

恥ずかしくて 消えたいけど

もう大丈夫 旅路は続く

それでいて等身大の小ささを兼ね備えてる名曲中の名曲。マクロとミクロの両方、あらゆる方面に対して音楽の白湯(さゆ)飲ませてくれる。マジで優しさに殺られた。こんなにも「お元気ですか」が似合う男、井上陽水以来二度目。

音楽的に気持ち良いコード進行、気持ち良い言葉選びを徹底してるが、最も特筆すべき点は「わかりやすさ」。メロディも歌詞もすべてがわかりやすい。藤井風に

「みんな良かったら一緒に歌とうてぇ…」

と言われてる気がする。だから聴くたびに窓割れるくらいの音量で大熱唱してますわ。俺が学生だったら校長ぶん殴ってでも合唱コンクールの課題曲にしてた。ほぼ国歌。今日生まれた赤ちゃんから明日死にゆく老人まで全員歌え。お麩だろもう。誰でも口にできる聴くお麩、歌うお麩。

 

『もうええわ』『何なんw』『優しさ』『青春病」…今では藤井風のことを触れることすらできない天才、圧倒的な才覚の前に俺たち凡人はひれ伏すしかない音楽神、お札買います、みたいな印象だったのが『旅路』では恐ろしいまでに自然体の1人の人間、ただの「23歳の青年」がそこにいるんですよ…飲み屋で会ったら普通に「最近メシ食ってんのか!?」つって、ビールと唐揚げおごってあげたくなるくらい素朴で純粋な藤井風が……

だからこそわからなくなる…藤井風という男の底知れなさに恐れおののく。絶望するほどのスペックを備えている神童の側面がありながら、しまむらの服着てジャスコのマックでマックシェイク吸ってそうな兄ちゃんの身近さも感じる…どういうことなんだ…誰なんだ…藤井風…マジで誰だ……

あの…藤井風さんって…

 

「何人います……?」

 

藤井風「わしは一人じゃ言うてますけどmore…」

 

旅路

旅路

  • 発売日: 2021/03/01
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