「サアオイデ…
胸のウチヲォ…
透キ通スクライ近ヅイテェ…」
「ゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッゲラッ…イズ…ザ…タイム…ウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウェカッウ…タイム…ツゥ…ゲッダン…」
「ほォッ…ら世…界
椎
名
林
檎
デカすぎる。椎名林檎が、デカすぎる。空を覆い尽くす巨大な椎名林檎。仮に、この曲をいっさい知らない状態で、黒ずくめの謎の集団によって光のいっさい入らない牢獄に閉じ込められ手足を鎖で縛られ目隠しをされ
「今からお前に曲を聴かせる。Sexy Zoneというアイドルの楽曲だ。その作詞作曲者を当ててみろ。そうしたら解放してやる」
という生きるか死ぬかの問題を出された場合、私は1秒で「はい椎名林檎」と答えることができます。
『長く短い祭』を彷彿とさせるような、これでもかというほどボーカルにオートチューンをかけ、機械的な歌声と生バンドとの調和がカオス感を演出し、妖しく、艶やかで、Jazzな雰囲気を醸しながらも、その根底には「和」を感じる。そのアンバランスさから来る浮遊感。
描かれるのは20禁のドエロ無修正ラブソングであり、同時に最高の「アイドル讃歌」。アイドルとファンのまぐわい。アイドルという職業がどういうものなのか、アイドルがなにを与え、われわれファンはなにを与えられているのか、これまで、そしてこれから、アイドルはどう生き、ファンはどう生きるのか、そのすべてが記されている禁書。
おそろしいのはSexy Zone。椎名林檎の魔術にかけられているのにも関わらず、4人の個性がまったくそれに「食われていない」。椎名林檎のコメントにあった
「菊池氏、中島氏、佐藤氏、松島氏。それぞれに声のレンジごとの面白みが盛りだくさん。どの成分も余すことなくパッケージしたい。こちらの煩悩を駆り立てる罪な銘器揃いなのである。」
の意味を完全に理解した。言葉を借りると、菊池風磨の豊かなハイノートも、中島健人の鮮やかなカラーバリエーションも、佐藤勝利のメロトロンの如きこの甘苦い響きも、松島聡の悲しみを堪えたオーボエみたいなミッドも、4人全員の「声の輪郭」が際立っているからこそ、あえてオートチューンで機械化することによって逆説的にそれぞれのエロスが何倍にも増しているのである…などと分かったようなことを考えていたんですが、
「三…」
「二…」
「一…」
Sexy」
スリーツーワンセクシー??!?!?!?!?!?!
全ての記憶がブチ飛んでしまいました。今日が俺の誕生日でいい。あまりにもヤバすぎる。は?なんて?すっスリツーワンセクシー?や、ヤバ…
正直、言葉だけ見ると爆裂にダサいんですが10年以上これをやり続けたSexy Zoneだからこそ、意味わからんくらいにカッコよく聴こえてしまう。こんな歌詞を歌えるのは広い宇宙見渡しても間違いなくSexy Zoneだけ。
しかも、この部分はオートチューンいっさい無しの圧倒的「生」。さっきまでオートチューンを偉そうに語ってましたが、曲を聴いている時に心の奥で0.1%ほど思っていた
「あの…曲良いんですけど、めちゃくちゃ良いんですけど…別に生声でよくないですか…?」
というモヤモヤの答えがここにありました。ほぼ全編バキバキに加工されていた声を使っていたからこそ、満を持しての
松島聡「三…」
佐藤勝利「二…」
菊池風磨「一…」
中島健人「Sexy」
で地球が爆発し私は耳と脳が粉々になってしまいました。
そして、私はそれこそが椎名林檎がかけた魔術なのかもしれないと思いました。『本音と建前』というタイトルを考えると、加工された部分を「建前」とするのなら、この「三…二…一…Sexy」は絶対的な「本音」…?
まさか…なにがあろうがSexy Zoneはわれわれに「Sexy」を提供してくれるという約束だとでも言うのか…?なにもわからない…わからないが、ただこれだけは言いたい…セクシーサンキュー…