『ジャンプ+』で連載されている漫画『寿命を買い取ってもらった。一年につき一万円で』
内容はタイトルそのまま、自堕落な生活を送ってきた男・クスノキがひょんなことから残りの寿命3ヶ月を残して30年間、計30万円分を売り払ってしまう、というもの。
生きるとはなにか、幸せとはなにかを問いたメッセージ性の強い作品で、もっとSFチックに展開が進んでいくのかと思いきや、あくまで淡々とリアルに「もし寿命を金で売れたらどうなるか」「自分の人生の価値は」「残された寿命をどう生きるか」が描かれている。
必然的に「残り3ヶ月」というリミットを設けてることで、ダラダラと物語が続かないということが決まってるので「軽い気持ちで集め続けてたら気づいたら50巻越えてた」みたいにならないのがありがたく、それゆえ話にメリハリが出てくるので非常に読みやすい漫画だ。
…そんな漫画なんですけど。それでね、残りの3ヶ月間、クスノキにはミヤギって若い女の監視員がつき、なぜか同居することになるんですね。寿命を売って余命が1年以下になり売った本人が自暴自棄を起こさないためのセーフティーネット?的な役割らしいが。そう、表紙の女。美女。クールビューティー。線の細い、色白、ロングヘアー。
で、まぁ…お察しの通り?クスノキ残り寿命3ヶ月ですけど、ミヤギとの関係性、深まりますよね。残りの寿命と反比例するかのようにね。そしたらまぁ、当然生まれますよね。愛。お察し。
そしてこの女・ミヤギ、前半は単なる無感情なサイコ女かと思いきや、お察し、後半笑っちゃうくらいベタにクスノキに対してデレますよね。アスカ・ラングレーも引くほどデレる。忘れてるかもしれねぇけど、お前すぐ死ぬぞ、ボンバーマンで言ったら爆弾3ふくらみだぞ、くらいの時に急にイチャイチャイチャイチャしだすんですよ。は?
で、これまたお察し、実はミヤギが「ウソだろお前…」っていうくらい良いぃ〜女でよ、そうなってくるとこっちもクスノキに対して「お前みたいなクズがなにを早く死ね」「お前…本当にミヤギちゃん残して死ぬのかよ…生きろよ…生きてミヤギちゃんを幸せにしろよ…」みたいな清濁が入り混じったわけわからん感情が生まれてきて、そっからはもうチキンレースですよね。1ページ1ページがカウントダウン、次のページめくった瞬間には頭爆発して死んでるかもわからないですから、キリキリと首を締められているような感覚が読んでる間ずっとつきまとうわけです。一体なにを読ませられてんだ俺は。
そんな漫画『寿命を買い取ってもらった。一年につき一万円で』ですが、そのなかでも特に印象に残った、というかズブリと心臓を一突きされたセリフを2つ紹介します。
主人公・クスノキにはむかし自分に気がある女・ワカナという女がいた。しかし、クスノキは子供の頃に交わした幼なじみとの「二十歳になってお互い結婚相手がいなかったら一緒になろう」というセリフが忘れられずにワカナの好意を軽くあしらうような態度を取り続けていた。
しかし、クスノキは寿命残り3ヶ月という状況の中で無性に人恋しくなり、ワカナに電話をかけてしまう。案の定、ワカナは電話には出ない。それならばと「明日どこかに出かけないか」とメールを打ち送信するが、サーバーエラー。ワカナのメールアドレスはとうの昔に変えられていたのだった。
落胆するクスノキを見てミヤギはこう告げる。
「さて、答え合わせといきましょう。あなたが電話した女性は、あなたにとって最後の希望でした。ワカナさんは、あなたを愛してくれたかもしれなかった最後の人です。しかし、すでに手遅れです。彼女をとうにあなたへの関心を失い、他の男のところへ行ってしまいました。
自業自得ですね、彼女を拒んだのはあなたなんですから。以後、あなたを好きになろうとしてくれる人は、二度と現れません。
あなたが他人を自分の寂しさを埋める道具くらいにしか見てないことは、案外皆ちゃんと気づいてるんですよ」
こっからの、
「参考までに訊くが、じゃあ何がミヤギにとっての幸せなんだ?」
「……構ってくださいよ…最近あまり話しかけてくれないじゃないですか…」
ですからね、全身メッタ刺しだよ俺は。もう…たまんないっすわぁ…。
そんな残り寿命売っぱらってツンデレ美少女とヨロシクやる漫画『寿命を買い取ってもらった。一年につき一万円で』、どうぞ夜露死苦。
[まとめ買い] 寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。
- 作者: 三秋縋(メディアワークス文庫「三日間の幸福」),田口囁一,E9L・田口囁一
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る