思えば俺が「性」というものをはっきりと意識したのは齢6さいのときに両親と一緒に観た映画『2112年 ドラえもん誕生』だったかもしれないな…
『2112年 ドラえもん誕生』は1994年に上映されたドラえもんの生い立ちを描いた作品。まだボディも黄色く、声も高い貴重な時期の話で、同時上映の『のび太の創世日記』もたしかに面白かったが、当時の俺は完全にこっちに釘付け。その理由…
冒頭、ネコ型ロボット製造工場でそのうちの一体がトラブルによって電撃を浴びせられネジが一本抜けてしまい、危うく焼却炉に落っこちそうになってしまう。それが「ドラえもん」。それを一体のロボットが間一髪のところで助ける。
「大丈夫〜〜〜?ここゴミ焼却炉よ♡」
とまさに「猫なで声」を響かせドラえもんに微笑む女、8頭身ダンシングロボットこと「ノラミャーコ」(声 - 皆口裕子)
は?なんだその角度。助けるのにそんなエロい座り方する必要ねえだろうが…は…?
登場するやいなや、およそドラえもんには似つかわしくない
♪トゥレレ〜〜〜〜ェン〜〜〜〜レロレロレロレェェ〜〜〜〜ン
というピンク色のBGMが映画館内に鳴り響く。ば、バカ殿とかで流れるやつ…
ノラミャーコが登場したときの両親の地獄のような空気は今でも忘れられない。夕食時にドラマ『失楽園』でゴリゴリのセッスクシーンが流れたときのこと思い出した。
まず声が「皆口裕子」というのがヤバすぎる。代表的なキャラクターを言うと『YAWARA』の柔、『ドラゴンボール』のビーデル、『セーラームーン』のほたる、どれも俗に言う「脳トロ声」、当時「ビーデル大好き少年」として町内で名を馳せていた俺は一瞬で脳ミソ溶かされ人生がそこで終了した。
「あらぁ♡アナタもネコ型ロボットなのぉ…?」
とシッポをくねらせながらドラえもんに誘惑するサキュバス・ノラミャーコ、この一言から「この映画はヤバい」という空気を察したのだろう、おもむろに席を立つ父親。般若の面のような顔でそれを見送る母親。なにかこみ上げるものを感じる俺。よく覚えてる。
「はいっボク、ドラえもん…えへへへへ」
ドラ公の童貞丸出しのリアクション。無理もない、今生まれたばっかりなんだから。百戦錬磨20代後半の今の俺でさえノラミャーコに小洒落たBARとかで話しかけられたら絶対こんなリアクションになる、ズボン抑えながらモジモジする、そう思わせるくらいに「魔性のオーラ」みたいなもんがこのノラミャーコにはあった。
ノ「わたし、ノラミャーコ。ダンシングロボットよ♡」
ド「ぼ、ボクはまだ生まれたてのホヤホヤなんで…」
ノ「ふ〜〜ん…♡ずいぶん高いところから産み落とされたのね♡」
ギュッとドラえもんの手を握るノラミャーコ
ノ「おなじネコ型ロボットとして社会の役に立てるようがんばりましょう♡」
ド「は、ハイ…」
ノ「じゃあね♡」
ドラえもんに視線を合わせたまま激しくポージングをしながらその場を去るノラミャーコ
ド「は、はぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
俺「あ゛ァァァあああ〜〜〜〜〜!!???あ゛っ あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!あ゛ぁっあ゛っ あ゛っあ゛ぁぁっ!!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!」
みるみるうちに母親の顔が曇るのを隣で感じながら、脳内メーカーが「色」「猫」「女」でいっぱいになる俺。来場特典だったドラえもん9面パズルはもはやゴミ。ガキのおもちゃにはなんの興味もない。
俺がほしいのは、ただひとつ。
ノラミャーコ等身大抱きまくら、それだけ。
と、いうような風に物語は進んでいくのだが、ネジが一本抜けてしまった影響なのか、高いところから落ちた衝撃なのか、他の同じ型のロボットに比べなにをやってもドジばっかりのドラえもん…まるで昔の俺を見ているようだった。
が、それを見かねた校長のはからいで量産型を育成する工場から後のドラえもんズ、ジャイベエ、スネキチ、そして「ノラミャーコ」がいるロボット学校のクラスへと転入することに。
ノラミャーコはドラえもんに気づくなり、ガタッ!と立ち上がり
ノ「ドラえもん!やったぁ、同じクラスよ〜〜♡」
と激しく抱きつきドラえもんを上目遣いで見つめるノラミャーコ。
なにこれ?マジでドラえもん?マラえもんじゃなくて?
それを見てジャイベエとスネキチは「なんだアイツ新入りのくせにノラミャーコと親しげにしやがって。気に入らねぇ」とドラえもんを目の敵にするが、スクリーンにいた男全員が同じことを思っていたハズだ。ふざけんじゃねぇボケカス、今すぐ殺すぞと。
「俺だ、俺のノラミャーコだ」
そうクラスメイトいや男全員が錯覚してしまうほどこのノラミャーコという女が醸し出す「俺のこと絶対好きだろ」感は異常だった。
それからもドラえもんが困っているときはいつも隣にいるノラミャーコ。養成学校の卒業オーディションの前日にも「ボクなんか…」と落ち込むドラえもんに言葉をかける。
ノ「ドラえもんいよいよ明日は養成学校の卒業オーディションよ、そんなしょぼくれた顔してちゃ、ダメでしょ?♡」
明日なにがあるのかということをオーディエンスに簡潔に伝え、同時にドラえもんを励ます。スキがあるようでいてこの手際の良さ…
ド「でも…ボク…ドジでノロマで、全然いいところないから…」
ノ「そんなことないわ、ドラえもんの良いところはいつでも一生懸命なところよ♡だから元気だして…ね?」
どんなに落ちこぼれだろうと長所を見つけ、それを尊重する…この女…
ド「うーーん…」
いつまでも童貞根性が抜けないドラ公。すると、
ノ「…チューしてもいいからぁ…♡」
俺「あぁぁぁぁぁあっぁぁああああああああああ〜〜〜〜〜!!!」
ド「へっっ??わはーーーーーっっ!!ポーーーーー!ポーーーーー!!ん〜〜〜〜〜〜〜、チューーーーーーー」
ノ「ふふっ笑 な〜んて冗談に決まってるでしょ♡」
ザワつく映画館内。
目を伏せる母親。
再びどこかに姿を消す父親。
ノ「そうだ♡私のポケットは過去や未来の物を取り出せる「タイム・ポケット」になっているのよ♡はい、20世紀のお菓子、どら焼き♡これでも食べて元気だしなさい♡」
ものの1分足らずで2つの欲求を完璧に抑えるノラミャーコ。どうすれば男が喜ぶかということをこの女は本能レベルで知っている…
ド「いただきまーーーす!はぐ、はぐ、ん!うまーーーーい!もっと!もっと!」
そう叫びおもむろにノラミャーコのポケットをまさぐるドラえもん。死ね。
ノ「あっ……!いやーーーーーぁん!!ドラえもんったら…本当になんでも一生懸命なんだからぁーーーーーーん♡」
な…なにしてんのこれ‥?ちょっ、おまっ、年齢制限とか、おまっ……なにトチ狂って…え…F…?なにしてんの?藤子のジジイ?
だ…台本書く前に風俗行ったんすか?
……‥ここからしばらく映画館にいた男全員前かがみで股間おさえてうつむいてたのをよく覚えている。それを見透かしたように映画は打って変わりほのぼのとしたシーンが続く…
で、なんやかんやあり耳を失ってしまうドラえもん。そんなドラえもんを見て思わず「その頭ーーーーー!wwww」と大爆笑するノラミャーコ。
…と、とうとうシッポ出しやがったなこのメス猫がァ…やはりコイツは男を意のままに振り回し飽きたらボロ雑巾のように捨てる魔女だった糞が。
すっかり落ち込んだドラえもんは(自身のドジもあり)一晩じゅう泣き明かしてしまい、黄色いボディのメッキがはがれ青色に。声もおなじみのガラガラのババァボイスに。の、のぶ代………
そしてそんなナリのドラえもんをわざわざ見にきたノラミャーコ。この無様なドラ公にどんな罵声を浴びせるのかと期待する俺(6さい)
ノ「ドラえもぉん♡ごめんなさい、わたし笑いすぎでアゴ外れちゃって…アナタの気持ちがわかったわ♡」
ド「ふぇ…?」
ノ「その頭も青い体もステキよ♡」
ド「ほんと?」
ノ「あっ♡声もセクシー…♡ますます好きになっちゃう〜〜〜♡」
ド「あへぁっ…あへへえぇっぇ〜〜〜〜」
ノ「ベロベロベロベロベロベロ〜〜〜〜!!」
俺「ァあkっbないおphbじゅあ@:pひま@「ぁぁあ@か@『gp』、見ーv『異0b,お9,ーb^¥・〜〜〜〜〜!!!!」
フゥ………
で、だ。
ノラミャーコという女のなにが「恐ろしい」のか…そう…劇中でノラミャーコはドラえもんに対し「好き」という言葉をこのとき以外で口にしてない。
これまででも「好き」と言ってその気にさせるチャンスはごまんとあったのに、だ。ここにノラミャーコの恐ろしさがある…。一度嫌ったようなそぶりをわざと見せてドラえもんに「も、もしかしてノラミャーコさんボクのことキライになったのかな…」と不安を煽らせ、全ての事が片付いた完璧なタイミングでサラリと、
「好き」
と言ってのける。しかもただの「好き」とは違う、
「ますます好きになっちゃう」
だ。この意味がわかるか。
「ますます」というのが非常に大きなポイントだ。「ずっと前からドラえもんのこと好きだったけど今回の一件でもっと好きになった」ということを暗に匂わせている。しかも「どこがどう好きか」ということも具体的に言葉にして伝えている。これは誰もができることじゃない。男の心理を読み取り、その男が最もほしい言葉をほしい時に投げかけることができる、これを計算じゃなく天然でやってのける女、これがノラミャーコだ。そう…ノラミャーコとは「天性の男たらし」…いや「ロボたらし」なのだ。の、ノラミャーコさん…ふ、踏んでいただけないで候……?
…
えー
私はいったいなにを書いているんでしょうか。
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