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ミクスチャーブログ

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『グランメゾン東京』最終回で木村拓哉が完全体になった

木村拓哉は俺のスーパースターでした。

 

SMAPコンサート『SUMMER MINNA ATUMARE PARTY』。センターマイクに一人立った木村拓哉がおもむろに『はじめてのチュウ』を弾き語りで歌いはじめた。

それだけでも泡吹きそうなほどカッコいいのに、ラスサビで木村は「はじめてのチュウ 君とチュウ」の歌詞を

 

木村「はじめてのチュウ……みんなとチュウ…」

 

俺「きっ、キィィィイイイアアアッッッッッッッ!!」

 

 

『笑っていいとも 春の祭典SP』。各ドラマごとの対抗戦で『CHANGE』チームが見事1位になり、最後のボーナスをかけてテーブルクロスに挑戦する木村拓哉。が、生放送の時間は残りわずか。騒然とする現場。流れる提供スーパー。しかし、木村はまったく動かない。

 

中居「お願いします、どうぞッ!」

木村「…」

タモリ「どうぞッ!」

木村「…」

スタッフ「ほ、放送終了5秒前っ…」

 

バッッ…

 

「せッッ、成功!!!」

 

拳を天に突き上げる木村

 

俺「ぎっ、ギィィィイイヤァァァアアアッッッッッ!!!」

 

 

木村「プルゥ〜!!ハァ〜〜〜〜!!!」

 

俺「いっ、イィィイイイヤァァアアアアッッッッッ!!!」

 

 

「カッコいい」という概念が服を来て歩いている。圧倒的最強人(あっとうてきさいきょうんちゅ)。それが今までの「木村拓哉」。が、ここ数年の彼はこれまでとは少し違っていた。

『A LIFE〜愛しき人〜』『BG〜身辺警護人〜』で見せた弱さ、脆さ、『検察側の罪人』で見せた無様さ、カッコ悪さ。「カッコいい」だけじゃない、スーパースターじゃない、「人間・木村拓哉」の新しい魅力がそこにあった。

 

そして今作『グランメゾン東京』。

「俺がアンタに三ツ星をとらせてやる」

1話のこのセリフからすでに「完全体・木村拓哉」の片鱗があった。今までの木村の役柄なら「俺が三ツ星をとる」そう豪語していたはず。が、尾花夏樹はそうじゃなかった。尾花はドラマの中で何度も倫子(鈴木京香)に対して「シェフはアンタだ」と言い続けてきた。

そして最終回、尾花頼りになっていた倫子にシェフとして自信をつけさせるために「メインに集中するから」とスーシェフを降り、「文句があるならアンタもメイン作れ」と倫子を煽り、他のスタッフに悪態をつき、自分という存在をわざと「蚊帳の外」にした。

結果、倫子は見事尾花の料理を超えるメイン料理を作り、グランメゾン東京は三ツ星をとった。そう、尾花はその言葉どおり倫子に三つ星を「とらせた」。そう、自分が三ツ星を「とる」じゃなく、倫子に、グランメゾン東京に、三ツ星を「とらせた」。あくまで自分はサポート、泥をかぶっても倫子の夢を叶えさせる黒子。これまでの木村なら自分の手で完璧なマグロ料理を完成させていただろう。しかし、今回の木村は、尾花夏樹はある意味「負けた」のだ。

1話で倫子が尾花の作った手長エビのエチュベを食べて「どうして私には作れないんだろう…」と涙を流すシーンがあったが、それに対する答えかのように今度は倫子が作ったハタのロティを食べて尾花が涙をこらえた。

でもこれは自分より美味い料理を作られたという悔しさの涙じゃない…この涙は…倫子が素晴らしい料理人になったという、グランメゾン東京が三ツ星をとれるレストランになったという、嬉しさの涙…

 

三ツ星をとったあと、尾花は倫子の目を見つめてこう言う。それは尾花が決して言わなかった言葉。

 

あの…ハタのロティ…

あれ…死ぬほど……

死ぬほど…

うまかった…

…スゲー…

 

俺「タッ…タクカユァァアアアアーーーーッッッッ……!!!」

 

…主役にならないことで逆に木村拓哉という存在を際立たせる…「カッコ悪い」ことが「カッコいい」に、「弱い」ということが「強さ」になっている。この『グランメゾン東京』で木村拓哉は90年00年代の木村拓哉の強さと10年代の木村拓哉の弱さを融合させた…

そんな「完全体・木村拓哉」に、改めてこの歌詞を歌いたい…

 

「男前だね…木村くん…」