無能の鷹(1) (Kissコミックス) | はんざき朝未 | 女性マンガ | Kindleストア | Amazon
雰囲気だけはバリバリの一流キャリアウーマンなのにフタ開けてみたら足し算引き算も漢字の読み書きすらまともにできないド無能な社内ニート・鷹野ツメ子を描いた漫画『無能の鷹』の実写化をぜひ「菜々緒」にやってほしい。
「鷹野には実はこんな才能が、、、」とかそういうオチもまるでなく、徹頭徹尾全力で無能。気持ち良いくらいの無能。謎の雰囲気と自信だけは誰よりも兼ね備えているので勝手に取引相手が仕事デキる奴だって勘違いして商談が成功したり、周りは鷹野の雰囲気に引っぱられて自信持ったりするので良い話風にまとまってはいるんですけど、職種は「ITコンサル」ゆえに雰囲気だけで押し通せるのは初回だけっていう制限付きで、メインになってるシーン以外は前述したとおりホチキス止めくらいしかまともにできることがないガチガチの社内ニートで冗談抜きの給料泥棒。
このどうしようもない救いのなさ、結局
「一発勝負の場で出すブラフとしての使い方しかできない」
って点が異常にリアルだし、そこから展開していく兆しすら見えない。よくある「なにもできなかった鷹野が少しずつ少しずつ成長していくお仕事奮闘サクセスストーリー!」とは真逆の、メッセージ性全放棄、ただただ「無能なのに雰囲気はある鷹野の面白さ」だけの漫画に振り切ってるのが最高にロック。そもそも鷹野本人の奮闘する気がゼロ。成長メーターの針が最初っからぶっ壊れてるし、むしろ「いかに成長しないか」に全力注いでる。逆RPG。反骨のマスターピース。
「私がこの会社を必要としてるから、会社に必要とされてるかは考えないようにしてる」
不動明王みたいな図々しさ。ある意味究極の利己主義者。「常に変化を求められる社会」において1ミリも変化する気がない、というより「変化」という言葉すら知らないそのメンタルはもはや無敵、常にスター状態のマリオ。爽やかサイコパス。
漫画、フィクションだからこその「鷹野の無能っぷり」のラインが本当にギリギリで、ある種ホラー的でもあり「笑える+ゾッとする」が絶妙に絡み合ってるのがめちゃくちゃ面白い。
「これだけ自信満々に話せたり堂々とできることは素晴らしい才能なのでは…?無能じゃないのでは…?」
って読者にまで錯覚、鏡花水月させる圧倒的なパワー。仮に現実で一緒の職場になったらたぶん3日でコピー機で鷹野の頭ぶん殴ってる。だから同じ職場とか死んでも嫌ですけど、5歩引いて遠くからずっと見ていたいのも事実。鷹野が良く行くカレー屋の店主とかになって密かに恋したい。
改めて絶対に菜々緒で実写ドラマ化してほしい。