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ミクスチャーブログ

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漫画『血の轍』がほぼスラムダンク山王戦の逆フルハウス

血の轍(1) (ビッグコミックス)

漫画『血の轍』を全巻読んだんですが、ほぼ「スラムダンクの山王戦」でした。

 

「母親、、、キッッッモッッッッッッッッ!!!!!」

 

の一言を、17巻にもわたってお届けする、毒親という言葉が可愛く見えるほど子供に執着する核爆弾親・静子と、その静子の愛情と憎悪を一手に引き受けてしまった息子・静一によるホームコメディ。

山王戦のラスト10秒の「アレ」が17巻続く感覚を味わったことがあるでしょうか。一生ハイタッチしない桜木花道と流川楓を見たことがあるでしょうか。私はあります。

異常な熱量と画力で「バスケットの面白さ」を描ききったのがスラムダンクなら、異常な執念と画力で「親子のキモさ」を描ききっているのが血の轍。

地獄と地獄が混ざり合うことでさらなる地獄が生み出される、やめられない止まらない地獄かっぱえびせん。

 

そして、内容に関しては、完全に「逆フルハウス」

フルハウス 1st シーズン 全話セット(全22話収録) [DVD]

フルハウスが「父と娘のドタバタほっこりおもしろ海外ドラマ」なら、血の轍は「母と息子のキモキモげっそりキショすぎ日本漫画」でした。

『血の轍』には、カッコいいジェシーおいたんもいなければ、おもしろいジョーイおじさんもいない。激キショ親戚しかいません。田舎の閉塞感と大人の不気味さの最悪ミックスソフト。

読めば読むほど、自律神経が乱れ、食欲不振、不眠、肌荒れ、あらゆるストレスが加速する。読んでいて「よかった〜!」と思う瞬間が、マジで1ミリもありませんでした。Amazonで鼻クソほじりがらアホの顔してこの漫画をポチった過去の自分の脳天をカチ割りたい。

「面白い」「つまらない」とかそういう次元ではなく「関わりたくなかった」。もしもひとつだけ願いが叶うのなら、今すぐ記憶からこの漫画に関する情報を消したい。血の轍を知らない人生でいたかった。無邪気に笑っていたあの頃に戻りたい。

はじめて「ありがとう」と言えた日、 はじめて「好き」と言えた日、母の作った料理の味、父の背中の温かさ、あの子の握った手の冷たさ、大切な思い出が、すべてが黒く染まっていくのがわかった。冒頭で「ホームコメディ」と書きましたが、こんなもんコメディと思わないと脳が溶けます。

 

今まで私たちが読んできた「漫画」とはいったいなんだったのか。その根底が覆されるような感覚でした。とにかく全員の「顔面がヤバい」。

特に衝撃を受けた1コマだけ引用させていただきたいのですが、怖すぎて逆にコメディなんじゃないか、とすら思いました。

『血の轍』12巻より

「はい」じゃないんだよ

 

知りたくなかったし、読みたくなかった。しかし、むしろ作品としては「国からなんらかの賞を与えてほしい」と思うほど素晴らしかった。こんなにも「他人の人生」を知ることができる創作物を、私は他に知りません。

血の轍を知らないで終わる人生があるのなら、そんな幸せなことはありませんが、果たして知らない人生が「本当の幸せ」と言えるのだろうか?と…この醜さ、気持ち悪さを受け入れてこそ、本当の人間なのではないかと。

 

そういう意味で言えば『血の轍』とは「教育漫画」なのかもしれません。ぜひ全国の学校図書室に置き、そしていずれは実写化して、フルハウスのようにNHKでおじゃる丸→忍たま乱太郎→天才てれびくん→血の轍の流れで放送してほしい。

もちろん主題歌はこの曲で…

www.youtube.com

 

なんて良い曲なんだ…みなさん、フルハウスみましょう