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ミクスチャーブログ

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社名カタカナの新入社員研修は地獄中の地獄

数年前に働いていた静岡県にある会社の新入社員研修が地獄中の地獄でした。 

朝イチの代表挨拶から薄々おかしいとは思ってたんですよ。これ誇張でもなんでもないんですけど、「会長」を名乗る小太りのジジイが壇上に上がったかと思いきや、おもむろに一本グソみたいなぶっとい葉巻を取り出して火をつけ、呆気にとられている俺達に向かって煙を吹きかけて開口一番、

「お前ら、俺がなぜ今こうして葉巻を吸えるか、わかるか…?これが権力だ…!」

とか言い出したんで…その後の「私語した奴には容赦なく灰皿投げる」という言葉が忘れられません。思想がザビ家じゃねぇかよ。

 

1日目 

初日は、夜までビジネスマナー研修を受けたあとミッション「新入社員の顔と名前を全員覚える」スタート。

100人を超える新入社員の名前と顔を1時間で覚えて、一列に並んだ新入社員たちの顔見ながら一人ひとり「○○さん!△△さん!✕✕さん!」って答え合わせしてくんですけど、途中、一人でも間違えると連帯責任として全員がイチから覚え直し。また一時間、顔と名前を覚えて再挑戦の無限ループ。

こんなもん、学園探偵Qのメグじゃねえんだから覚えられるハズもなく、夜の9時から始まったこのミッションは午前3時に上司の「もう眠いからヤメ」という一言で終了。明日7時起き。

 

 

2日目

2日目は、また夜まで電話応対研修を受けたあとミッション「自分の夢を100%本気で伝える」スタート。

ホテルの大広間に入れられて、まぁなんでもいいんですけど、例えば「私は!会社で偉くなります!」だとか「私は!幸せになります!」だとか「私は!社長になります!」だとか、会社で成し遂げたい夢、目標を上司に向かって上島竜兵と出川哲朗のキスの距離感でかわるがわる叫び続けて、上司に認められたら終了の謎ルール。

 

「次!お前!こい!」 

「はい!!私はぁ!!会社で!偉くなります!!」

「はぁ?そんなんでなれるか!もう一回!!」

「私はぁ…!!!会社で!!!」

「ダメだもう一回!!!」

「私はぁ!!会社で!!偉くなります!!」

「ただ大声出しゃあいいってもんじゃねぇぞ!!本気を見せてみろ本気を!!!」

「私は!!!偉くなります!!偉くなります!!偉くなります!!偉くなります!!」

「馬鹿かお前は!?ちゃんとやれ!!!」

「私はぁ…!!グスッ、、、会社で…!!!偉くなります!!」

「はぁ??全然伝わんねぇよ!!!!やれ!!!」

「わっ、私はぁ……グスッ…グスッ…」

「泣けばいいと思ってんのか!?偉くなりたいんだったらやれ!!!」

「わっ!!!私はぁ…!!!!!会社で……!!!!!!偉くなります……!!!!」

「……よぉし!!伝わった伝わったよ!!!できるじゃんお前!!!」

「うっ…うわぁぁぁぁぁ!!!(号泣)」

ガッ!!

熱い抱擁

 

…みたいなのを延々とやる。

もちろん男も女も同じテンションでやるですが、まぁ体育会系の男ならまだしも、女の子とか身体弱い男なんかは途中で白目ひん剥いて倒れちゃったりする子もいてソウルジェム抜き取られたみたいになってるんですよ。案の定、全員が認められるまで部屋戻れねぇし。100人強の叫び声が絶えず飛び交って怒号のパチンコ屋みたいになっててだんだん耳もバグってきて三半規管やられてフラフラしてきます。

で、3、4時間延々と叫び続けても半分くらいの新入社員しか熱い抱擁交わせてない。当たり前ですよね、クリアの基準がないですから。そしたら、仁王立ちで腕組みながら眺めてたこの中で一番偉い営業部長がとうとうシビレ切らして、

 

「うるせぇぞ!!!一回黙れ!!!」

 

ザワッ……

 

「お前ら、今までの新入社員のなかでも最低の部類だな!!お前らみたいなクズはどうせ会社入っても続かねぇから!!会社入んのやめろ!!」

 

とか叫び出して…

 

普通だったら言われなくても辞めてるんですけど、それに対して、もう新入社員も頭イカれてきてるんで、

 

「嫌です!!やめたくないです!!もう一回やらせてください!!」

 

つってボロッボロ涙流して…

 

「何時間やっても無駄だよ!!お前らになんかできねぇよ!!」

「でぎます!!!やらぜでぐださい!!!」

「そうだ!!俺もできます!!やらせてください!!!」

「私もできます!!お願いします!!」

 

ワアァァァァッ…!!

 

「うるせえ!!できねぇよ!!!」

「でぎます!!!」

「できねぇ!!!」

「でぎます!!!」

「でーきーねーえ!!!!」

「でぎます!!!」

 

…5分くらいかなぁ、この「できるできない問答」が続いて。

 

「諦めろ!!できねぇ!!!」

「でぎます!!!」

「…本当にできるのか!!!???」

「でぎまず!!!!」

「…」

 

 

電気ファッ…

 

 

テェンテンテンテンテェンテ、テェンテテェンテェテンテテテテテ〜♪

 

な、なんかぁ…ピアノのイントロ流れ始めてぇ…

 

ジャッ!ジャッ!ジャ〜ァァ〜ン…♪

 

 

「誰にも〜見せない〜涙〜があった〜」

 

 

「人知れず〜流した〜涙〜があった〜〜」

 

 

こ…これ……栄光の架橋だ…

 

 

急に…ゆずの大ヒット曲『栄光の架橋』流れ始めてぇ…

 

 

「お前らの熱い想い…じゅうぶん伝わったよ…。その目だ…。俺たちはその本気の目が見たかったんだよ…。お前ら…良い顔してるよ…」

 

 

電気パァッ…

 

 

「よくやった!」

「よくやったよ!」

「がんばったわね!!」

 

パチ…パチ…パチ…パチ…

パチパチパチパチパチパチ!!!

 

上司スタンディングオベーション

 

 

「……っ!!あっ…ありがどうございばす!!!」 

 

新入社員全員ボロ泣き

 

「いくつも〜〜の〜〜!!日々を越えて〜〜〜!!」

 

ワアァァァァッ…!!

 

全員で熱い抱擁

 

 

終わったの午前4時。ちなみに7時起きです。

 

脱走させないためにわざと夜中までやらせてんな…

 

 

3日目

3日目、朝から昼まで藤枝市ってとこで職場の見学したあと、なんかいきなり携帯電話と財布ボッシュートされて。

「80キロ近く離れた沼津市ってとこのホテルまで二人一組でヒッチハイクして帰ってこい」って言うんですよ。一回ちょっとGoogleマップで経路調べてみてほしいんですけど、馬鹿ですよね、完全にイカレ。

 

もちろん冷静だったらこんなんやらないですよ、アホくさ。速攻で逃げて飛行機飛び乗って実家帰りますけど、前日のアレで頭バグってますから、パブロフの犬的なやつで上司に「できるから、やれ」って言われると「あれ…?俺はできるんじゃねぇか…?俺はできる俺はできる…」みたいな思考回路になるんですよね。車に向かって親指立てたこと、あります?俺はある。

 

一斉にヒッチハイクしだすと道路がアイアムアヒーローみたいになってカオスなんで、一組20分くらいのタイムラグでスタート。

俺は会社のバスケットボールチーム枠で入ったタッパが190センチ近くある男と組まされたんですけど、普通ね、普通の感覚で言ったらスーツ着た男二人組ヒッチハイク乗せないじゃないですか。怖くて。俺だったら金もらっても乗せない。

運良く女子と組んだ男とか、女子二人組はドスケベ根性のトラックの運ちゃんとかがすぐ乗っけたがるんでスイスイ行くんですけど、男二人組はマジでヘルモード。案の定、だぁ〜れも乗せてくんねぇ。一回「やっと止まった…!」と思ったらイカついオッサンが出てきて「目障りなんだよ!警察呼ぶぞコラ!」って……

 

結局フラフラ歩きながら手当たり次第に親指立てまくって気づいたら10キロくらい歩いた時点でもうリビングデット生きる屍状態になってて…さすがに限界きて、一応飲み物代と緊急連絡用ってことで「500円玉とテレカ」は支給されてたんで、とりあえずコンビニで水だけ買って落ち着こうと思って、水飲みながら二人で地べた座り込んでたら若い女が「どうしたんですか?大丈夫ですか?」って声かけてきて…

もろもろ事情話すと、

「あぁ〜、やっぱり!毎年やってますよね〜〜笑、面白いですよね笑」

って街の笑い者にされてんじゃねぇかよ。見世物じゃねぇぞ殺したろか。消えろバカが…ってもはや殺意すら沸いてきてたらその女が、

 

「よかったら、送っていきましょうか?実家あっちのほうなんで」

 

て……天使……?

 

それから車に乗り込んだ俺達…60キロ以上ある道のりを送ってもらうことに…24歳でウェディングプランナーをしているという彼女は俺達のこの地獄の3日間の話を太陽のような笑顔で聞いてくれた…あ…アナタが…女神ですか…?アテナ…イッツミューズ…

 

そして疲れと興奮でバキバキになった俺たちはミューズがトイレにコンビニ寄ったスキに

「おい…あの娘マジで良い娘だよな…かわいいし…これ…ここで終わらすの勿体ないよな…」

「よし…『お礼がしたいから今度飲みに行きませんか?』で行くぞ…」

 

「ごめんごめん!おまたせ〜〜」 

 

「あのッ…!こんな遠くまで送ってもらって…ホントにありがとうございます…!そっそのォ!ぜひお礼したいんで!良かったら…今度飲みにでも行きま」

「あ、そういうのはちょっと彼氏いるんで」

 

誰……にも………見せない…………涙…があった…………

イライラして画面叩き割りたくなるのに気づいたら2時間経ってる映画『劇場』感想

劇場

 

最初から最後までまるで噛み合わない、やることなすこと全部ズレてる男女の話で終始イライラしっぱなし…のはずだったなのに、気づいたら2時間経ってました。

 

山﨑賢人演じる「永田」は売れない劇団の主宰で、自意識過剰で自信過剰、かつコミュ障で知り合いにはアホみたいに態度デカいのに「他人」となるとビビって物陰に隠れるプライド全身張り付き男。

そのくせ彼女がバイト先の先輩から原チャリを貰ったことにブチギレて原チャリを破壊、同棲しているにも関わらず生活費を1円も払わない永田への「今後のことも考えて…光熱費だけ払ってもらえないかな…?」に対する返答が

「うーん…でも…ここ沙希ちゃんの家やし…他人の家の光熱費を払う理由が…ね…わからん…」

と、ヒモになることだけに関しては天性の才能を光らせてるゲボバカクズ。特に序盤、居酒屋で同じ劇団員の青山(伊藤沙莉)にヤバい暴言を吐こうとして、帰り道に別の劇団員の男に闇討ちされ傘でボッコボコにされるシーンは永田という男の全てを表しています。

 

そんな永田に惹かれた松岡茉優演じる「沙希」は女優を夢見て上京してきた大学生。永田を徹底的に全肯定、褒め殺して飼い殺そうとし、炊事洗濯はもちろん先ほどの永田の光熱費クソ屁理屈に対しても

「たしかに…!他人ん家の光熱費払う人いないよね〜…!ウケる……ハハ…」

と、自分から話を流して笑顔を作るナチュラルキラー地雷女。最初こそ永田と同じように沙希が聖母にも天使にも見えかけたんですけど、その行き過ぎた過保護っぷりはカワイイ通り越してもはや恐怖。

「他人に認められることで周りを幸せにできると思ってる」永田と、「他人を認めることで自分が幸せになれると思ってる」沙希、圧倒的に痛い2つの承認欲求が磁石のSとNみたいにどれだけお互いを遠ざけても引き寄せあってしまう、どうしようもなく救いようのないバカップルがここに爆誕し、勝手に壊れていく

…という0.0000001ミリも共感もできなければ感動もできないどうしようもない映画なんですが、なぜか「目が離せない」

 

永田の東京に染まったがゆえに不自然になる関西弁、沙希の自信のなさから来る前髪を触る癖、「永田」と「沙希」をはじめ登場する人間のディティールがハンパじゃない。実写千本ノックを経て逆に「平凡な男」の演技を極めた山﨑賢人、もはや実体がどこにあるのかわからなくなるほどの憑依能力の松岡茉優、クソ鼻につく演技天下一武道会チャンピオン伊藤沙莉、出てきただけで不穏100倍浅香航大、存在感が覇王寛一郎、そんな演技という概念から産まれし鬼たちが見せる圧倒的なリアリティ、そして画面越しから伝わってくる、誰にでも夢を見させ容赦なく奪っていく街「東京」のキラキラしつつも生ぬるい質感。決して主張せず、地味に、淡々と2時間描かれてる。大成功もしなければ大失敗もしない。ヌルっと始まってヌルっと終わる。人生にドラマなんか起きねぇ。こんな奴ら腐るほどいる。お前含め。そう言われてるみたいな、超うるせぇ。

 

だからこそ、確実に画面の中で登場人物たちが「生きていた」。その実在感が、ちょっとした繋がりや些細な言い争いにどうしようもなく心揺さぶられる。そして最後にはどんなにイライラしても永田や沙希のことを嫌いになれない俺がいた…いや、むしろちょっと好きになってた。どれだけカッコ悪くても、どれだけ惨めになろうとも終始雰囲気だけは「昭和の文豪」醸し出してて最後までブレることなく「クズ創作者」であり続けた永田の破滅的な生き方に「早く野垂れ死ね」としか思いつつもどこか憧れてしまう俺がいたし、そしてそんな永田をブレることなく甘やかし続け、誰よりも永田の才能を信じ、壊れていく沙希の姿が痛々しくて、儚くて、怖くて、愛おしかった。全員、養いたい。

 

「良い悪い」「面白いつまらない」を通り越してジワーーーっと感情を揺さぶってくる不思議な映画でした。

最後にKing Gnu井口理の初登場シーン…ビックリして一瞬頭真っ白になって白目になりました、「時にはァ…」って流れるかと思った。

 

劇場

劇場

  • メディア: Prime Video
 

怖い先輩の話聞きながらマスクの下で舌ぺろぺろしてたらマスクしてなかった

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生活の9割で常にマスクするようになってから、ほとんど素顔見られることもなく、もはや「顔いらねぇ」みたいな感じになってます。

逆に言えば「マスクの下で何できるか」状態にもなってて、スキあらば口パクでエミネム歌ったり、タキシード仮面の名ゼリフ暗唱したり、腹立つ人に呪術唱えてたりしてるんですけど、なかでもマイブームなのが

「真面目な話聞いてる時にいかにバレずに変顔できるか」

マスク中はもうほぼ人の話聞いてないです。アンミカ以上にずっと表情筋鍛えてる。財務とかの話してるときに鬼滅の刃の鋼鐵塚さんやってます。

 

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ただヤバいのが、コロナ以前はマスクなんて買ったことすらなかったのに、ここ2、3ヶ月でいきなりほぼ全ての時間マスクつける生活にシフトしたもんだから顔面がビックリしちゃって、つけてる間ずっと違和感エゲツないんですね。それでまた家帰って急に素顔に戻ると、今度は逆に「顔周りになんかある」感じが常にしてすこぶる気持ちが悪い。しまいにゃマスクしたつもりだったのに素顔で外出ちゃったり、マスク着けたまま家の中でずっといたり、もはやマスクしてる自分が素顔なのか、素顔の自分がマスクなのかよくわかんなくなってくる。そのうち俺の顔面は家にいてマスクだけ外出してると思う。

 

それである日、マスク忘れて素顔で一日過ごしてたらアウトレイジみたいな外見の怖い先輩、略して怖輩(コワパイ)さんが

 

「このコロナ禍をどうやって生き残っていくか」

 

って激アツのガチトーーーク!し始めて、その瞬間に脳みそバグって「いま素顔」だってこと完ッッッ全に頭から抜けちゃって、

 

怖輩「この逆境はある意味チャンスなんだよ!ニーズは確実に変化してんだよ!わかってんのか!?」

 

俺(…ウズ…ウズ……)

 

怖輩「リモートが主になってる今だからこそ!逆に人と人とのコミュニケーションが…!!」

 

俺(……鼻プクゥ〜……)

 

怖輩「……ん?なにやってんだお前…?」

 

俺「い、いや!!なにもやってないです!!マジでそのとおりだなと思ってッッ!!さすがです!!す、すげぇ……!」

 

怖輩「だからだ!!誰にも予測できないからこそいま全員が同じ位置にいるんだよ!だから初速の手緩めちゃいけねぇんだよ!!!」

 

俺(ま…まて……や…やめろ…俺……オイ…いまマスク…してな……だ…だめだ…ウ…アア、アアア……)

 

怖先輩「ここから本当の実力が問われるんだよ!!!ここから波に乗るか沈むかの……!!」

 

俺(舌ぺろぺろぺろぺろ〜〜〜〜〜!!!)

 

怖輩「……」

 

俺「……」

 

怖輩「お前なめてんのか」

 

俺「なッッッ!!!なんあなな、、なっなめてないです!!!ななななっなな舐めてましたけど!!!!なめてないです!!!!なめッッッ!!!!」

 

怖輩「ボッッギャアアアアアアアッッッッ!!!!」

 

俺「ギャアァァァアアッッッッアアッッァアアアアッッ!!!!」

 

舐滅の刃でした

視力の悪い人間が裸眼で生活すると人生終わる

ふだんメチャクチャ目悪いんですけど、このまえ

「コンタクト落とした&メガネぶっ壊した」

っていうこの世の終わりみたいな状況になりまして、数日間「完全裸眼」で過ごさなきゃいけなくなって思ったんですけど、仮に俺が戦国時代とかに生まれてたら3秒で死にますね。

自分のとこの城だと思って「おいッス〜〜」とか言いながら入ってったら普通に敵の城で門番にメッタ切りにされて死にますたぶん。

 

でもコンタクトとかにする前でも、視力「0.3」はあったんで別に支障といえば

「前から歩いてきたジジイが白い犬連れてきたと思ったらビニール袋だった」

「タイムマシーン3号のツッコミだと思ったらback numberのボーカルだった」

「アルパカだと思ったらオダギリジョーだった」

くらいだったんで最初は「別に1日2日くらいなんとかなるだろ」って余裕ぶっこいてたんですけど、ふつうに無理でした。なんッッッも見えねぇ。レベル5で魔王の城行ってんのか俺は。ベリーハードモードでした。久々の裸眼、絶対0.3よりゴリゴリに悪くなってるコレ。とりあえず文字という文字がまったく見えないし、物体という物体がまったく認識できません。

スーパー行っていちごジャム買ったはずなのに、家着いて商品よく見たら食べるラー油でしたし、駅の乗換案内の文字見えなくてカンで電車乗ったら「西18丁目」行きたかったのに気がついたら「北34条」にいましたし、「あっ、バウムクーヘンある!食べよ〜」と思ったらガムテープでした。スマホにキスするんか、みたいな距離まで画面近づけますし、アルパカが複数人のオダギリジョーに見えます。

 

しかも、完全裸眼状態でたまたま人とメシ食う約束があって、初めて行くイタリアン系居酒屋だったんですけど、メニューがナメック語かよってくらいなんも認識できないんですよ。だから注文のときめちゃくちゃ曖昧なことしか言えなくて、

 

「その枝豆らしき緑の集合体の隣に写ってる茶色の綿みたいなやつって鶏の唐揚げでいいんですかね?あ、アヒージョ?!あ、じゃあそれと、え、えー、それと、その手前にある無数の細長い棒状のラーメンサラダですかねそれは、、あ、フライドポテトですか、、あ、あ、じゃ、じゃあそれと、それとその隣にあるだし巻き卵らしき黄色い塊ください!え…?!タコのカルパッチョ…?は…?なんですかそれ…?」

 

店員さん本当にすいませんでした…

 

極めつけが、夕方に部屋で一人でメシ食ってる時にふと床見たらいきなり「黒い物体」が目の前に現れて、

「ウオア゛ア゛ア゛ア゛!!!むっ虫ィィイ!!?!??!!?!?イェエアあ!?」

って叫んじゃって。

結果から言うと虫でもなんでもなくて、俺が弁当からこぼした「黒豆」だったんですけど、もうわけわかってないんですよ。なんせ見えないんで。

「や、ヤバ!!!??!イィイイイイ!!?!虫イイイ?虫ッッッ!!!デカっっっ!!??!ゥウエッッッ!?!?!デカっっ!!!」

って叫んで、

「すっっ、スプレー?!?!?殺虫のスプレー!?!?オあぁァァァああ!!」

って叫びながら急いで洗面台行って、棚に閉まってあった殺虫スプレー取り出して

 

「死ねッッッッッ!!!!オワああッ!!クソが!!!死ね〜〜〜〜!!!!オラァァァァああああああ!!!プシュ〜〜〜!!!」

 

って叫びながらその黒々とした丸い物体に吹きかけたの、

 

 

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ファブリーズでした。

 

 

30になる大人の男が叫びながら黒豆にファブリーズかけてました。

 

 

しかも、しばらくして冷静になって気がついたんですけど、

 

部屋の窓めちゃくちゃ全開でした。現実なんて見えなくていい。

小細工なしでまっすぐ抱きしめてくれるOfficial髭男dism『Laughter』感想

www.youtube.com

 

感想「おっきい……」

 

その一言に尽きた。これまでの曲の中でも圧倒的に「デカい」ロックバラード。これだけのクソデカ曲を結成8年デビュー2年で出せるとかOfficial髭男dismマジでどうなってるんだよ。高音域よりも低音域に重きを置いたアレンジで、決して派手じゃないのに一歩ずつ音が上がっていく感じと、とにかく一音一音が粒立って立体感が見えるくらいハッキリしてるから、曲時間5分50秒にも関わらず1秒もダレることなく聴ける…なんだこのデビュー25周年で出すみたいなスケール感…なにより、このデカさを歌と歌詞と演奏で真正面から作りあげてる…小手先じゃなく地肩の強さだけでこれを表現してるのがもうワケわかんねぇ

イントロからギターの壮大で重厚でビリビリしてマジで大地の強さ感じて、そこからAメロBメロとベースとストリングスがベースが徐々に絡んでいってフワッ…と風が吹き抜けたかと思ったらサビ前のドラムで一気に助走つけてサビで大空に羽ばたいていく感じ。歌詞よりも先にメロディが曲のテーマ表してる、理解よりも先に感じられる、こんなもん泣かないわけねえ。Pepperでも泣くだろ。大好きな人にまっすぐ目見て「好きだ」って抱きしめられてるようなもんなんだから。「好きだ」「嫌いだ」って曲じゃないが、ある意味どんな曲よりも「ラブソング」だよ。

 

去年、髭男のホールツアー『Traveler』行ったんですけど、2,000人入るか入らないかのキャパの小さい会場なのにアリーナとかドームのスケール感でやるんですよ。声とか会場ヒビ入るんじゃねぇかってくらいデカいし、楽器の音とか奥行きが凄すぎて前から聴いてるのに四方八方いろんなとこから聴こえて、本当に髭男の音楽に包まれた気がして…最初は俺の耳と頭がとうとうおかしくなったんかって思ったんですけど、終わった後に一緒に行ったやつが、

「髭男に…抱きしめられたんだけど……」

とかウットリした目で言ってて俺より重症でした。Official狂男dismでした。俺もあいつも会場にいた全員狂男(キョウダン)でした。髭男の音楽って5万10万っていう人間に一気に届ける遠さと同時に、目の前にいる俺にもお前にも、文字通り「一人ひとり」に届けるような近さもあるんですよ。

 

この『Laughter』聴いてると、ライブのときとまったく同じもの感じる。バカデカい歌声で、演奏で、歌詞で、メロディで、アレンジで、聴いてる人間の人生ごと包み込んでくれる。とにかくデカくて優しすぎる。少し前に「Official髭男dismが無理」とかいうタイトルのクソnoteが拡散されてたみたいに髭男のこの優しさがウザい、キツいってやつもいるだろうし、めんどくせえこと言ってくるやついっぱいいると思うんですけど、それすらも肯定も否定も受け止めて、許して、包み込んで、歌う。それを爆発させたのがCメロ終わりの、

 

「アラララララァァァァ〜〜〜〜〜〜〜!!(ラーーー!ラーラララー!ラーララララーーーーーララララララーーー!)ウゥウゥウウゥ〜〜〜〜〜〜!(ラーーー!ラーラララー!ラーララララーーーーーララララララーーー!)オ〜〜〜オォォオォォオオオォォォ〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

なんじゃないかと思ったし、この先いろんなこと全部片付いて、今まで通りライブできるようになって、髭男好きな人間でデカい会場パンパンに埋まって、最高の音聴きながら、手叩いて、体振って、それでライブのクライマックスでこの部分全員で歌ったら、たぶん気持ち良すぎてぶっ倒れると思う。それで心から笑いたい。

 

Laughter

Laughter

  • 発売日: 2020/07/10
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

ハモリハラスメント、略して「ハモハラ」野郎が地獄です助けてください

平成初期の生まれなんですけど、青春時代にCHEMISTRY、ゆず、コブクロといった二人組デュオの超絶ブームや、テレビ番組『ハモネプ』がバカ流行りした弊害で、カラオケで頼んでもいないのに勝手にハモってくる「ハモリハラスメント」が横行していてマジでマイクの先っぽでノド突いてやりたいです。助けてください。

 

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ピピッ

 

〜 CHEMISTRY 『PIECES OF A DREAM』〜

 

俺「(はぁ〜…久しぶりのカラオケ…緊張するなぁ……)」

 

ハモリクソ野郎「うっわ…ケミストリーとかなっつ…よっしゃ!オッケ!」

 

俺「(な…なにがオッケー…?)」

 

イントロ♪〜

 

ハモリクソ野郎「イェェエェエエエ〜〜〜〜イ……(チラッチラッ…)」

 

俺「……」

 

ハモリクソ野郎「ウゥゥウゥウ〜〜〜〜〜〜〜…オォォオゥ〜〜〜〜〜ン……(チラッチラッ…)」

 

俺「……でっ、でぇたらめ〜な夢を〜、好き勝手ばらまいて〜、オモチャにしていつまでも遊んでいたぁ〜〜〜」

 

ハモリクソ野郎「オォ〜〜〜!やるじゃん!」

 

俺「見え透いた〜明日が〜一番くだらないとぉ〜〜はしゃぎながら気ままに生きたあの頃ぉ〜〜〜」

 

俺「あぁ〜せ

ハモリクソ野郎「アァァアゥ〜〜〜〜〜……!せめてェ僕たちはァァ……!一度背を向けたらァッ……!(チラチラッ…)」

 

俺「…えっ、え、に、二度とはぁ、戻れない場所なんだと知ってたらぁ…」

 

俺「ハンパな夢のひとカケラが〜不意に誰を傷つけていくぅ〜〜」

ハモリクソ野郎「ハァあああンパな夢↓のひとカケラあぁがぁぁぁん↓ふうぃに誰かうぉ傷つけぇてぇゆくゥゥゥ……↓(チラチラッ…)」

 

俺「おくっ

ハモリクソ野郎「臆病なァァァ〜〜ん??僕たちはァ……目を閉じて離れたァァ…!!」

 

俺「キミに言いそ

ハモリクソ野郎「キィンミにィ↓言いそびれたァことがァァァアん↓ポケットのォン中にまあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あァァァあああ!???なぁっぁっァァァァァんだテメェええええええええ!??!?!?!?!

なに!??なんなのコイツ?!??!なに!!???なに勝手にバカみてぇにハモってきてんだボケカスコラあぁぁああああ!!!??

しつけェェええんだよ!??!?楽天のメルマガかお前?誰が頼んだ?いつ俺がテメェの無料ハモリマガジン「ハモマガ」の会員登録した?このスパム野郎がコラ………

 「ねぇ?一緒に歌おう?」

とかひとッッッことも言ってねぇだろうがアアアアアアア!!!?!??!?!?!なに勝手に入ってきてんだボケコラアッァァァァァァァああぁっぁああああァァァ!?!?!???なにが「アァァアゥ〜〜〜〜〜……!」だドンキーコングかお前?つーかハモるたびにチラチラこっち見てんじゃねぇ口クセェんだよバーーーーーーーーーカ!!!!!

 

なんだよ…なんなんだよクソが……俺はな…デュエットソングとか関係なく俺はただただケミが好きだから、PIECES OF A DREAMって曲が好きだから歌いたかっただけなんだよ…俺は断じてこんなハモリクソ野郎と一緒にへっぽこアカペラ大会開催したかったわけじゃねぇんだよ……

 

そもそもあの字幕んとこに出てくる二人で歌う用の「♣」とか「♠」とかのマーク…あれマジでなんとかなりません?なんでアレのON-OFFできる機能ついてないの?ガイドボーカルとかライブ映像とかつける前にそれ最優先つけろよ採点低かったら強制終了するやつとかマジで誰がやってんだよ。たのむよ、助けてくれよ、このままじゃ俺達カラオケ弱者がハモハラに殺される…歌が…声が…奪われる……

あんなもんがあるからこういうクソどもがカギかかってる俺の心の中に土足で入り込んでくるんだろうが。じゃあなんで乃木坂とか歌ってる人数がバカ多いグループのときは分かれてねぇんだよ46通りのマークで分けろやじゃないとおかしいだろうが、なんで二人組のときだけデュエットする前提なんだよ、ケミコブクロゆずキンキ歌う人間全員が二人でデュエットしたいって思うんじゃねえよふざけるなよ。

 

いや、ただ1000000億歩譲って…そういう元々が二人で歌ってる奴らの曲歌ってるときにハモってくるんなら、まだ、まだ、歯茎から血が出るが……わからんこともねぇけどよ、、、、

 

平井堅『大きな古時計』でハモってくるの、本当に、なに?

 

俺「今はぁ、も

ハモリクソ野郎「今はァ…?↓もう…?↓動かなっ……ヒィィ〜〜〜〜〜……(裏声)…そのとっ…けっ……いィィイ…………フゥ……」

 

おじいと同じ末路辿らせてやろうか??

 

 

…はぁ〜あ、なんだコイツ。なんだこのハモハラ野郎。マジで勘弁してほしいんですけど…

お前のハモリがウザいから、俺が歌ってるとき、なんかいっつも盛り下がってんだからな?場が地獄みたいな空気なんだからな?わかってんのか?

俺が歌ってるとき、俺とハモリクソ野郎以外のメンバー全員、いっつもなぜか目線がデンモクとスマホからまったく動いてないんだけど、ほんといい加減にしろよ?気をつけろよ?みんな古時計状態になってるからな?ゴメンね!みんな!ほんとに!

 

な?わかったか?お前のせいだからな?

 

え…?そ、そうですよね…?ハモリクソ野郎のせい…です…ね…?

 

ねぇ…?そうだって…言ってよ……ねぇ…?

 

『感電』感想、米津玄師の音楽と野木亜紀子のドラマの親和性について

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曲の頭から爪先までどこをとっても米津米津米津

誰が聴いてもわかりやすい名曲『ピースサイン』『Lemon』『TEENAGE RIOT 』…といったいわば「表米津」と、聴けば聴くほどジワジワと耳が侵される『駄菓子屋商売』『ゴーゴー幽霊船』『ポッピンアパシー』『でしょましょ』…の「裏米津」の融合、キャッチーと難解のいいとこ取り…食べ放題

米津ビュッフェが、いま開催された

 

『感電』というソリッドなタイトルとは裏腹のユルリとしたメロディに「ピョイーーーーン!」「ポョーーーーーン!」「チィーーーーーン…!」「コロロロロロロロ……」とふざけ散らかした謎の音がふんだんに組み込まれた狂イントロ。開始20秒でもうすで恐怖、この先の展開を考えると小便が止まらない

 

Aメロ「逃げ出した夜の往来 行方はまだ不明」

 

Jazzyなメロディに合わせてサラッと踏まれる韻…あまりにもエロで、クール、例えるなら仕事もバリバリできて立ち振舞いもスマートで部下にも優しい、なのにどこかミステリアスな雰囲気もあわせ持つイケメン

 

…と思いきや、

 

Aメロ「困っちゃったワンワンワン♡」

 

突然のワンワン。『いないいないばあっ!』のテーマ曲か?なんだこのギャップは。カッコイイ+カワイイ=「聴く吉沢亮」だった。

 

「兄弟よ」「どうかしよう」「考えない様」

「どうしたい」「いらない」

「情景」「不明」

「よう相棒」「もう一丁」「しようよ」

「目指すのは」「メロウな」

「睡蓮」「サイレン」「境界線」

「愛し合う様に」「しようぜ」

 

休むことなくブチ込まれる韻のガトリング、気持ち良すぎる。もっとくれ…アレンジも昇天必至の快楽。ロックかと思えばジャズ、ジャズかと思えばポップス、あらゆる要素が次から次へと耳に、脳にからだじゅうに流れ込まれる。米津の流しソーメン。そして…

 

サビ「たった一瞬のォ〜〜!この煌めきをォ〜〜〜!食べ尽くそう二人でくたばるまでェ〜〜…!!」

 

さ、サビーーーーー!!!圧倒的なサビーーーー!!!か、感電んんんーーーーー!!!って感じのサビ!!!ウワーーーー!!!な、、、なんだこの曲ーーー!?!?さ、最高すぎる!!!Cメロ後の無音!!!し、心臓止まるかと思いましたーーーー!!!ラスト「お前はどうしたい?返事はいらない」で返事する間もなく曲終わるの最強ーーーー!!ヤバヤバのヤバ!!

な、な、あ、あ、アアア、ァ、ア、、、、ボガーーーーーン!!!!!!

 

 

星野:僕は撮影の最中に聴かせてもらったのですが、詞も含めてものすごく『MIU404』の世界観を大事にしてくれたというか、ドラマで流れることをすごく意識して作られている曲だなと思いました。

綾野:彼が1話と2話の台本を読んだと連絡をくれて「めちゃくちゃ面白かった!これは最高の曲書くよ」と言ってくれて、だから志摩と伊吹が動いている風にしか思えないですね。 

綾野剛、友人・米津玄師が「“最高の曲書くよ”と言ってくれた」…「感電」に星野源も感動<MIU404 インタビュー後編> - モデルプレス

 

…さて、インタビューで主演の2人がこう語ってるように、ドラマ『MIU404』に触れずしてこの曲を語ることはできない。

『アンナチュラル』における『Lemon』のように野木亜紀子のドラマと米津玄師の音楽の親和性の高さには他のタイアップにはない特別なものがある、その秘密について紐解いていきたい。

 

まず『MIU404』、遡っては『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』『獣になれない私たち』など…野木亜紀子作品すべてにおける共通した特徴に「ユーモアからシリアス、陽から陰への切り替えの速さ」がある。

登場人物たちの軽妙なやりとり、ギャグやパロディ、何気ない日常など「陽」のシーンが多く、老若男女誰でも親しめるキャラクター的なポップさがありつつも、一方でひとりの人間が必ず抱いている「怒り」「悲しみ」「後悔」「恐怖」といった「陰」も容赦なく見せる。ホッとさせたかと思えば次の瞬間、いきなり息を呑ませるようなシリアスなシーンが始まり視聴者の心を振り回していく。

 

例えば、『アンナチュラル』5話「死の報復」で主人公ミコト(石原さとみ)たちUDIラボのメンバーが死の真相を調べるため中堂(井浦新)の家に集まり作業をするシーンがあった。それまでは他人と深く関わろうとせず自分への詮索をなによりも嫌がっていた中堂だったが、メンバーの明るさやミコトの仕事に対する真摯さに少しずつ心を開いていく。酔いつぶれて寝てしまう東海林(市川実日子)や六郎(窪田正孝)に呆れつつもツッコミを入れる中堂とミコト…ほのぼのとした雰囲気はまるで文化祭の準備を放課後にするクラスメイトのよう。UDIラボがひとつの「チーム」になった瞬間だった…かに思えた。

その数分後、真相を明らかにした中堂が遺族の青年に復讐を教唆するような囁きをし、結果として青年は犯人の女を刃物で刺してしまう。

開いたはずの心は開かれてはいなかった。表面ではわかり合えた気になっても人の心はそんな単純なものではない、ということを突き付けてくる。

 

『MIU404』でもそれは変わらない。2話「切なる願い」でメロンパンの移動販売車に扮した警察車両に乗る志摩(星野源)と伊吹(綾野剛)がさんざん「メロンパンの値段にいくら出せるか」で揉めた直後、殺人の容疑で逃走中の加々見(松下洸平)と思われる人物が乗った車を発見する。加々見を追跡する2人だったが、動向を探るうちに加々見本人の過去や新たな人物「岸」の存在が明らかになり、人質にされていた田辺夫婦や伊吹すらも「加々見は犯人じゃない。自分の無実を証明するために逃げてる」と言い切る。誰もが「加々見は犯人ではないのでは…?岸が真犯人なのでは…?」と思い込んでいた。

…が、数分後その願いは簡単に裏切られる。

加々見の痛みを伴う過去や、いかにもな人物の浮上によって視点がボヤけ、真相を遠ざけてしまう。伊吹も田辺夫妻も、そして我々視聴者も。だからこそ志摩が言った「人は信じたいものを信じるんだよ」という言葉が深く深く突き刺さる。

 

この「ユーモアからシリアス、陽から陰への切り替えの速さ」が野木亜紀子作品の大きな魅力であり、視聴者を飽きさせない「ワザ」なのだが、それは米津玄師の音楽にも共通する部分がある。

前半で前述した通り、メロディのアレンジも歌詞の言葉選びも遊び心たっぷりで、かわいらしく聴いていてクスリとなる「陽」の部分と、生きていく上で決して避けて通れない「死」や「孤独」といった「陰」の部分の両方を隠すことなく表現している。

ジェットコースターのようにめまぐるしく変わる曲展開に加え、片面だけでは決して語ることができない世界観、それはまさに野木亜紀子が描き出す作品そのもの。

だからこそ、『アンナチュラル』と『Lemon』の関係性と同じく、片方を深く味わうことでもう片方の世界観がより広がっていく。「ここぞ!」というドラマのクライマックスで鳴らされる米津玄師の音楽によって視聴者の心を鷲掴みにされる。曲とドラマが別々の「+」で繋がれた関係ではなく「=」、ふたつでひとつの関係性になっている。野木亜紀子から米津玄師、ドラマから曲へとまさに「感電」していく。

 

さらにもっと深く掘り下げると、歌詞の内容自体が『MIU404』に寄り添ったものになっている。随所に散りばめられたモチーフ、例えば1番の「犬の鳴き声」2番の「猫の鳴き声」、これは伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)のキャラクター的個性を表しているのか、それとも童謡『犬のおまわりさん』にならって犬=警察、猫=被害者としているのか考察は尽きない。また、Cメロの「肺に睡蓮 遠くのサイレン 響き合う境界線」の「肺に睡蓮」がボリス・ヴィアンの小説『日々の泡』(主人公の恋人が「肺の中に睡蓮ができる」という病気にかかってしまう。睡蓮は成長し、最終的に死んでしまう)から着想したものだとすれば、「遠くのサイレン」は救急車、そして「響き合う境界線」というのは生と死の境界線…これをふまえドラマの内容に改めて着目すると2話で明らかになった「志摩は相棒を殺した」の本当の意味や、志摩が伊吹に言った「お前は長生きしろよ」ともかかってドラマが進むにつれ曲に込められた真意が……

 

 

…とか色々バカみたいに考えてたんですが曲聴いてたら最高すぎてどうでもよくなってやめました〜〜〜!!めんどくせぇ!!頭で聴くんじゃねぇ感じるままに聴け!!だって曲名『感電』だからなオラ!!!