kansou

ミクスチャーブログ

広告

ウマ娘オープニング曲『GIRLS'LEGEND U』が神曲すぎてカード限度額超えそう

www.youtube.com

 

アプリ『ウマ娘』はニシノフラワーが育成実装されるまで地獄堕ちるつもりはないんですが、チュートリアル後のオープニングで流れる『GIRLS'LEGEND U』が天国逝くほど良く、危うくアコムとレイクをハシゴしそうになった。

 

ゲームアプリのオープニング曲で重要なのは「短い時間でどれだけユーザーの心を掴むか」だが、GIRLS'LEGEND Uは言い方悪いが完全に「人間の脳をバグらせ金銭感覚を崩壊させるためだけに全振りした曲」だった。

冒頭の「やっとみんな会えたね」にはリリース発表から配信開始まで数年かかってしまったことが背景になっているというが、このフレーズを始め、レース直前を思わせるファンファーレからの合唱イントロ息をつかせぬまま突入する爆速Aメロ、一瞬の引きBメロ、一気に爆発するサビと、歌詞もメロディもユーザーを地の果てまで狂わすサキュバスの如し「あざとさ」が散りばめられている。 

まず特筆すべきは「205」という窒息するレベルのBPMと歌詞の詰め込み、そしてコーラス量。

 

・頭部分「(Wow Wow Wow Wow…) やっとみんな会えたね」

・イントロ「Don’t stop! No,don’t stop ’til finish!! (Wo oh oh)」

・Aメロ「Turn Up!(Turn Up!) 声出せ叫べ(Wo oh oh) トレセーン!ファイ!(オー!)ファイ!(オー!)」

・Bメロ「たかたった 全力上がりタイム ゆずれない夢の途中(Wow Wow) 始めよう ここから最高 STORY (Wow Wow Wow) (o oh o oh…おっおっおーー!)」

 

アイドルのライブでは欠かすことのできないコールアンドレスポンスを鬼のように増やすことでウマ娘とトレーナー(俺達)の一体感を極限まで高めている。ライブにも、声を出すことすら気軽にできなくなったこ社会情勢も相まって異常な高揚感に包まれる。喜怒哀楽の喜と楽だけに振り切ったAメロ。

一人では確実に歌うことが不可能な異次元の曲展開も相まって「共に走っていく」というある種の洗脳に近いほどの訴求力の波が耳から襲いかかってくる。これに抗える人間は一人もいない。さらに終始ドラムスピードが変態的かつ変則的。完全に心拍数の上がった「心音」にリンクしていて、曲全体で「全力疾走」を表現している。この時点ですでに俺は正常な判断力が奪われる。

反して、Bメロで一瞬テンポが下がって、ストリングスを効かせ楽しさだけじゃない苦しさも超えた先に勝利があるという真理を曲全体で表現する。MVの朝焼けに照らされ背を向けあっているスペシャルウィークとサイレンススズカの映像と完璧にリンクしている。ここまでくれば、もはや物語を知らなくてもゲームをプレイしてなくても存在しない記憶が脳内にダダ流れ「ウマ娘と共に過ごした日々」が刻み込まれ「俺は…ウマ娘を強くするためだけに生まれてきたのか…」と自分の人生の意味を知る。殺してくれ。

f:id:ikdhkr:20210604103522p:image

 

超絶メロディ、超絶アレンジ、超絶演奏の核になるのは紛れもなく歌詞の部分。障害競走のように目まぐるしく変わる曲展開にも関わらずサビのキャッチーさと歌詞のわかりやすさが絶妙なバランスで両立している。「わけわかんねーけどわかりやすい」、このポップスと電波ソングのいいとこ取りこそヒト人間の脳を狂わす最大の理由。

ここまでくればサビ頭の

「きーーみーーと!」

で全身がフワッ…となる感覚がわかるだろうか。一瞬の無音からの爆発、メロ部分を超える高揚感と一体感が同時に押し寄せる。最終コーナーを曲がってラストスパートをかけるかのように一気にテンポが上がっていく。自分の心音もそれに呼応するようにどんどん速くなる。大脳新皮質全開。サウナで言うところの「ととのう」と全く同じ効果がここで得られる。

 

あの日キミに感じた何かを信じて

春も夏も秋も冬も超え 

願い焦がれ走れ Ah 勝利へ

一言で言えば「根性のサビ」。AメロBメロでアイドルだったはずのウマ娘達がサビで一気にアスリート、いやアマゾネスに変貌する。命尽きても、刺し違えても「勝つ」そんな覚悟さえ感じる。俺はもうゲボ吐くほど泣いてます。

 

曲は進み、最大の山場と言えるのがCメロからのラスサビの3連発。あらゆる感情がここに集約される。Aメロ=ポップ、Bメロ=クラシック、サビ=ロックときてCメロはいわば「アンセム」、全ウマ娘とトレーナーへの賛歌、応援歌。地響きのようなティンパニは足音、

「勝ちたい 勝ちたい 勝ちたい キミと勝ちたい」

「答え」がここにある。勝ちたい、いや勝たせたい。君と一緒に俺も限界を超えなきゃいけない、借入額=貯金額なんだ、そんな気にさせてくれる…

 

…競馬を語る上で絶対に無視することのできない漫画『みどりのマキバオー』を知っているだろうか。最後に主人公・うんこたれ蔵の師匠でもある「チュウ兵衛」の言葉を引用してこの記事の締めとしたい。

スピード・スタミナ・瞬発力・成長力…それだけじゃねぇ…たれ蔵が本当に凄いのは負けたくないという気持ちから生まれる限界知らずの勝負根性なんだ!(皐月賞)

たとえ体力が尽きて肉体を動かせなくなろうとも体力をはるかに超える勝ちたい気持ちは肉体を動かすんだ!(日本ダービー)

これらの言葉はウマ娘、そしてGIRLS'LEGEND Uにも当てはまる。最後の直線、勝つか負けるかのデッドヒートを制することができるのは強い奴じゃない、勝ちたいという気持ちが強い奴、勝負根性がある奴なんだと、この曲は教えてくれる。

 

そして俺はいつかニシノフラワーに勝負根性(限度額)の全てを捧げたい。

 

 

米津玄師が「ずっとッ…!」と歌えばウンチ漏らすシーンでも感動的になる

www.youtube.com

米津玄師の新曲『Pale Blue』が主題歌になってるドラマ『リコカツ』

自衛隊の瑛太と、編集部の北川景子、生活リズムも価値観もまったく違うのにノリで結婚した2人がスピード結婚からのスピード離婚を通して「夫婦の在り方」を問うていくラブコメで、まぁ面白いっちゃ面白いんですが、筑前煮アーミー女とか、未練タラタラだる絡み弁護士男とか、愛を知らねぇ子ども小説家男とか、なかなかに人物像と設定と展開がガバガバのリアルとファンタジーの境目をバカみたいな勢いで反復横跳びしてるツッコミ満載のドラマで終始、

「なんやこのキッショいドラマ〜〜〜!!!」

ってエンドレスおいでやす小田が止まらないのに、ラスト5分に米津が

 

「ずっとッ…!ずっとッ…!ずっとッ…!」

 

と裏声かますだけで、最終的に「な…なんか…よくわかんねーけど…良いドラマだったな…キュン」つって洗脳されるんですよ。米津玄師が歌った瞬間ドラマに文句垂れるのはただの野暮になる。

大谷翔平が「二刀流とかバカじゃねぇのwww」って客から野次られた直後に笑いながら大ホームランぶちかましてましたけど、その客の気分。「…ホント調子こいてすいませんでした…リコカツは最高のドラマです…」って泣きながら米津に土下座してる。たった5分でそれまでのお粗末な内容も全部かき消して「名作ドラマ」にしてしまう悪魔曲、それがPale Blueでした。

 

今までの米津玄師は歌詞もメロディも考察サイトが100個あれば全然違う解釈が100個出来上がるみたいな良い意味で「な…なにこれ…どういうこと…?」とか頭悩ませる曲がほとんどだったんですが、Pale Blueは紛れもなく「真正面」から恋を表現して、ただただ圧倒的語彙力と歌唱力とメロディセンスで脳と感情を揺さぶってくる。構成はドチャクソ難しいことやってるのにちゃんと「わかりやすい」。経口補水液の浸透力。

「友達にすら戻れないから」「あなたのことがどこまでも大切でした」心臓握りつぶされるほど真っ直ぐな直喩と「水もやらず枯れたエーデルワイス」「ひどく丈のずれたオートクチュール」一生消えない鳥肌立つほど美しい比喩の対比で恋の残酷さを描ききる筆力に窒息死する。にもかかわらず「恋をしていた(過去形)」で始まり「恋をしている(現在形)」で曲を締めるという、一筋の「未来」の残し方。

曲のメロ部分は少ない音数で「あなたがいないことへの不安」、サビでドラムとストリングスを一気に際立たせ「どうしようもない悲しみ」と、終始恋の苦しさ、辛さ、絶望とマイナス感情を表現しブスブス突き刺してきてたのに、踊るように流れるCメロから大サビで一気に拍子が変わってワルツ(未来への希望)になり前述した「恋をしている」で落とす完璧な起承転結。歌詞とメロディが合致しすぎてて頭おかしくなる。5分の長編映画か?

そしてそれを際立たせるボーカルとしての異常な訴求力の高さ。米津の裏声は人を狂わせる。単純な上手い下手じゃなくダイレクトで「脳にクる」。米津が人操るのなんて簡単、とりあえずなんでもいいから声出しゃあいい。魔人探偵脳噛ネウロって漫画で歌うだけで人をどうにでもできるアヤ・エイジアって歌手いましたけど、おそらくその実写が米津。俺達は米津の手のひらで転がされてる、これが本当の意味での「精米」

 

どんな作品のどんなシーンだろうが米津がかかるだけで全米泣き、涙腺終津玄師(るいせんおわづけんし)。「主題歌:米津玄師」の時点で勝ち確、米津の曲さえ流れれば前後の内容なんてもはやどうでもいい。仮に瑛太が告白の直前でウンチ漏らしたとしてもPale Blueかかったら俺は泣けるね。

 

瑛太「やっと気付いたんだ…自分は…君を……ンっ!?!?…グっっ…あっ……」

北川景子「ど…どうしたの…?」

瑛太「…自分の下半身基地から…長距離弾道ミサイル…が…発射された…救助要請を頼む……」

北川景子「…了解っ……♡」

 

米津「ずっとッ…!ずっとッ…!ずっとッ…!」

  

意外とイケた…

 

 

菅田将暉にキレられたい人生

「菅田将暉にキレられたい欲」がふつふつと沸き上がってきてる。舐めた口きいて「はぁ?いまなんつった?」とか言われたいし、いきなり物投げられたい。「てめぇ殺すぞ」って怒鳴られたい。菅田将暉にキレられたいがために今から俳優目指すまである。

今、俳優のなかでトップクラス「キレ演技」が上手いのが菅田将暉。そしてそんな将暉にキレられたい特殊性癖の持ち主が俺というわけだ。

 

そもそも、キレるという行為は大声を張り上げたり掴みかかったりと簡単なように思うかもしれないが、相手に「怖い」と思わせるのは笑わせることと同じくらい難しい。しかし、菅田将暉のキレる演技は「普通に怖い」。体格も大きいわけでなく、顔も中性的、そんな感じなのにメチャクチャな声量で怒鳴ってくるのが逆に恐怖、簡単にオシッコ漏らしそうになる。さらにこっちがどう言い訳しようが問答無用でナイフ突き立ててきそうなヤバい目つき、関西出身から来る独特の巻き舌が尿意を倍増させる。

キレ演技には、木村拓哉や小栗旬などがよくするキレるタイミングを相手に悟らせずキレる寸前に一瞬だけ表情をフッと抜いて相手を油断させ次の瞬間に一気に爆発させる方法と、小日向文世や椎名桔平などがよくする10%…20%と会話の節々にイライラを忍ばせ徐々にキレのボルテージを上げていく方法の2種類のキレが存在するのですが、菅田将暉はこの2種類のキレを巧みに使い分け、怒りと苛立ちを巧みに表現する。

最近だと、映画『花束みたいな恋をした』で仕事に忙殺され自分を見失っていた菅田将暉が後輩の一言でプッツンいくシーンがあるのですが、キレようとするが後輩に逃げられ投げつけようとした書類を握りしめ呆然とするという「ダサさ」と「怖さ」を両立させた見事な「隠キャキレ」を見せており、非常にキレられ性感帯に刺さった。

 

また、放送中のドラマ『コントが始まる』。このドラマはケンカのシーンが本当に素晴らしい。お笑いトリオ「マクベス」のブレーン的立ち位置でもある将暉は「10年以上売れてない芸人の焦り」と「ネタを書いてるのは自分というプライド」から、毎回のように誰かしらにキレ散らす。なかでも相方でもあり同級生で親友の仲野太賀にキレるシーンがどれも秀逸。

 

たとえば5話でトリオを続けるか解散かを話すシーン。

 

仲野太賀「もう疲れたわ…」

神木隆之介「嫌なことあった…?」

太賀「ずっとだよ…ずっと…」

隆之介「ずっと…?どうしたの…?毎日楽しいじゃん…」

太賀「マクベスやってて良かったなと思うことのほうが圧倒的に少ないわ…なんでこんな虚しい気持ちになって続けんだろ…」

菅田将暉「お前今度は誰の意見に流されてんだよ…?なぁ…?奈津美(彼女)に続けてもいいって言われたら急にやる気出して、真壁先生に解散しろって言われたらやる気なくしてなぁ…?お前には自分の意見ってもんがねぇのかよ?」

太賀「ごめん…ないわ…」

 

将暉「はぁ?」

 

はい。この「はぁ?」が最高。たった2文字で「俺はもうキレてる」ということを相手と視聴者にわからせる。ハァハァ菅田。

 

太賀「なんにもないんだよ…俺には才能もねぇし、ごめん…」

将暉「ごめんってなんだよ」

太賀「お前に見下されて、世間に見下されて、もう平凡じゃないフリすんの疲れたわ…これ以上続けんの怖いんだよ…」

将暉「大丈夫だよ…このまま…笑いもんになったまま終われんのかよ?見返してやるしかねぇだろ」

太賀「お前もやめんの怖いだけだろ…」

将暉「はぁあ?勝手に決めつけんじゃねぇよ」

 

出ました二度目の「はぁ?」一度目よりも「はぁあ?」と「あ」にアクセントを置き「そろそろ黙らねぇと殺す」と圧力をかけます。この時の眉間のシワがハチャメチャに怖い。完全に失禁案件。

 

太賀「今辞めたら…やってきたことが失敗だったって認めちゃうのが怖いんだろ?」

 

ガッシャァッ!!!(持っていたノートでコップを飛ばす)

 

太賀に核心を突かれ、思わず手が出そうになるもここがファミレスだということに気付き踏みとどまる将暉。公衆の面前で手を出す勇気はないが、音で威嚇はするというチンピラ具合に震えが止まらない。

 

将暉「やってみなきゃわかんねぇーだろ…お前も実家大丈夫なんだろ?彼女も大丈夫なんだろ?ここしか居場所ないんだろ?俺も実家大丈夫だよ、じゃあ続ければいいじゃん?この先もやってみなきゃわかんねーじゃん?」

 

太賀「……」

 

将暉「じゃあアアア辞めたいって言えよオオオアアアアアアアアやうあうああ@ぱふぇ「@kpf「^ふぉあfpッッッ!!!!!!」

 

太賀「……」

 

 

一瞬の「無」からの爆発。圧巻だったのが、いつものように怒鳴りつけるが1ミリも表情を変えない太賀を見て、将暉は「片目」から静かに涙を流す。

虚空にキレる虚しさと、相手の心がここにあらずということを悟ってしまった喪失感、自分ではこの状況をどうすることもできないという無力感、お笑いトリオとしてまったく上手くいかない現状、色んな感情がグッチャグチャになって絞り出たのがこの「片目の涙」なのだ。

  

そして将暉の「キレ顔」だけじゃなく毎回のようにブチギレれられる仲野大賀の絶妙になんかムカつく「キレられ顔」、そして中立の立場を取り続ける神木隆之介の「心配顔」。3人の絶妙な間と演技力、そして表情、これら全てが完璧なバランスで成立しているからこそ『コントが始まる』のケンカシーンは自分が怒られてるかのような臨場感がある。

なによりどれだけケンカをしようが3人の根っこにある「信頼関係」が透けて見えるのが本当に刺さる…普通は相手にどう思われるかを気にして全力でぶつかることをことはできない。「本気でキレることができる相手」というのはそれだけで貴重なのだ…。将暉のキレは決して理不尽なキレじゃない…相手のことを想っているからこそ、あれだけ感情をむき出しにしてキレられるんだと改めて思った…

 

  

…そう考えると、この前ラーメン屋行ってトイレ借りたらトイレットペーパー切れそうだったので店員さんに親切心で「あ、もう紙切れそうですよ」って言ったら「いやわかってますから」ってなんか怒られたんですけど、あれも信頼関係…?教えて将暉…?

藤井風の洋楽カバーアルバムは洋楽じゃなくもはや「風楽」

HELP EVER HURT COVER

サブスクで解禁された藤井風の洋楽カバーアルバム『HELP EVER HURT COVER』を改めて聴いて絶望してる。

もう凄すぎて逆に腹が立ってきた。俺はいったいなにを聴いてる…?洋楽?いや…違う…これは…「風楽」

藤井風だけが奏で歌うことのできる藤井風の音楽、略して「風楽」、知ってる曲だろうが知らない曲だろうが、英語だろうが日本語だろうが、歌詞がわかろうがわからなかろうが、そんなもん関係ねえ。藤井風フィルターを通すことで一瞬で藤井風の色になり、リスナーの語彙力が消失し「やば…」としか言えなくなる。藤井風は全ての曲に容赦なく才能という絵具を塗りたくる。

にもかかわらず、このカバーアルバムを聴くと半強制的に「原曲も聴きたくなってくる」。どんなに崩しても忠実に再現しても奥底には原曲への鬼のリスペクトがある。だからこそ原曲の理解を深め、藤井風がどういう色を加えたのか知りたくなってくる。知識欲がビンビンに刺激される。そうすることで原曲とカバーの破壊力が何倍にも膨れ上がる。もう一度言います…なにこれ?なんだこのジャケ写?23にしてすでに「偉人」の顔してるじゃねぇかよ。

 

1.カーペンターズ『Close To You』

藤井風「Why…」

2秒で天に召される。身体が透けてくる。天空から羽の生えた藤井風が迎えに来る。「君の歌声を聴いてると…なんだか…とても眠いんだ……」フランダースの風の前では俺はただのネロになる。

あまりにも心地良すぎて2曲目に進めねぇ。この一曲だけでもう何時間もループしてるんですが、これはアルバムとしてこれは正解なのか俺にはもうよくわからない。

2.エド・シーラン『Shape Of You』

ようやく2曲目に進めたと思ったら寝起きでジェットコースター乗せられた。

音の暴力。誰がピアノ弾き語りでエド・シーランカバーする?エグすぎてギャップで胃酸逆流して逆流性食道炎になった。藤井風の才能に俺の身体がついていけてません。

www.youtube.com

3.オージェイズ『Back Stabbers』

ゴリゴリの黒人ナンバーも藤井風の前では藤井風の音楽でしかない。日本人が無理して英語歌ってる感が1ミリもない。違和感がなさすぎて逆に違和感がヤバい。え?てゆうか発音がナチュラルの極みすぎてもはや英語聴いてるって感じすらしない。これは英語ではありません「風語」

4.バート・バカラック『Alfie』

これが初聴だったんだが、さっきも言ったように知ってる曲だろうが知らない曲だろうがそんなことは藤井風の前にはなんの関係もねえ。母体から聴いてたかのように耳に馴染む。全ての苦しみから解放される。この曲を聴いた今日が僕の誕生日だった。

5.アリアナ・グランデ『Be Alright』

「エイッ…エイッ…」「オォゥ…オォゥ…」「アィッ…アァッ…」藤井風のフェイクで死人が出る。犯罪の色気。一刻も早く藤井風法を成立させて何らかの取締を強化させろ。藤井風に狂わされた生きる屍が街にあふれる。

6.マイケル・ジャクソン『Beat It』

再び来る「誰がピアノ弾き語りでカバーすんねん」曲。藤井風はたぶん人間のなかで一番破裂音「パ行」の発音が上手え。世界パピプペポ選手権優勝だろ。

日本人で真正面からマイケル・ジャクソンカバーしてマトモに成立するの久保田利伸か三浦大知か藤井風くらいしかいないんじゃないでしょうか。誰か今すぐ藤井風を世界遺産に申請してください。

7.サンタ・エスメラルダ『Don’t Let Me Be Misunderstood』

ボロボロのスナックでベロベロに酔っ払ったオッサンがカラオケでよく歌ってる曲第5位、尾藤イサオ『悲しき願い』の原曲。それが藤井風にかかればワイン1杯1万の超高級バーのBGMになる。

8.フランキー・ヴァリ『My Eyes Adored You』

なんかよくわかんねーけど藤井風のこと「父ちゃん…」って呼びたくなった。なんだこの安心感。お祭りのあとの帰り道に疲れて寝ちゃっておんぶされてる感覚。藤井風8歳も年下だが。

9.テイラー・スウィフト『Shake It Off』

原曲どこいった?

真っピンクの口紅塗ったイケイケ金髪女と顔面入れ墨のムッキムキ大男がノリノリで腰振りながらディスコで踊り狂うダンスナンバーが汚い心をすべて浄化する聖歌に。

10.エイミー・ワインハウス『Stronger Than Me』

もはや藤井風とピアノのツインボーカル。風の声がピアノを引き立て、ピアノの声が風を引き立てる完璧なニコイチ。いや…むしろ藤井風とピアノは「同一人物」だと言ってもいい。賭ケグルイの実写化じゃなくて藤井風主演『弾キグルイ』作って実写化してほしい。藤井風の実写化とは?

11.フランク・シナトラ『Time After Time』

聴くプラズマクラスターか…?スピーカーからめちゃくちゃイオン出てるんだが?この曲が鳴ってる半径10メートルたぶん空気綺麗になってる。シャープは藤井風モデルの空気清浄機を早く開発して80万とかで販売したほうがいい。

 

このアルバムが生まれた瞬間、この世の大衆音楽は邦楽、洋楽、そして風楽の3つに分けられた。オリコンランキングの集計分けたほうがいい。

  

HELP EVER HURT COVER

HELP EVER HURT COVER

Amazon

星野源と新垣結衣の結婚とかくだらない

あ、どうもどうも。

「星野源と新垣結衣が結婚」

このニュース聞いたときマジで「くだらない」と思ったね。

 

ドラマで共演して結婚って反町隆史と松嶋菜々子のパロディか?放送後に「会えなくて寂しい」とか言ってたのかよ、こっ恥ずかしくてクラクラして乱視になりそうだし、ギャグだとしても寒すぎて季節じゃねぇのにストーブ点けたくなったわ。歌手ならツアーで知り合った日本人のダンサーと、とかじゃねぇのかよ。

正直、俺は一種の営業なんじゃねぇかと予想してるね。ワークソングのアイデア浮かばなくなったからエピソードづくりのためのひらめきなのかもな。本人は「新しいステップ」とでも思ってるんじゃねぇの?

 

そもそも歌手だろうが女優だろうが、しょせん同じサピエンスだろ。ドラマ出てたり歌を歌うときは有名かもしれねぇけど、もしも近所で会っても笑顔で「こんにちは」って言えるね俺は。他人のことでいちいち周りが騒いでるのもブランコではしゃぐ子供かと思うわ。俺からしたらレコードノイズだよ。喧嘩してようが口づけしてようがどうでもいいんだよ。勝手にいち、に、さん、とか折り合いつけてろよ。

俺からしたら結婚とか夢の外にある遠い彼方の話で、ドラえもんって本当にいるの?って言ってるのと同じこと、海を掬うくらいリアリティねぇよ。本人達は家族で歌いながらうちで踊りたくなるくらい嬉しいかもしれねぇけど、誰が恋しようが俺の日常は変わらないままだし、ノンストップで穴を掘るみたいな生活はつづくだけ。未来も何もない地獄だよ、悪いか?

ま、浮かれて都心で飲酒してペアで踊ってるところ車窓からフィルム撮られてさらしものにならないように、しばらくはばらばらで行動したほうがいいんじゃねぇの?テンパって「兄妹です」とか言うなよ?

 

てゆうか、ファンの気持ちも感じろよと思うわ。ある意味プレゼントのつもりかもしれねぇけど、夜中唄うくらい星野源ファンの友達は「私、週末バイト休みたい…」とか言って茶碗落下させてたわ。そしたら今度慰めてやるか、これも友情ってか、はは(笑)

同じように「魂ごと生まれ変わりたい…」とか思いながらスカート履いたまま夜に布団かぶって「時よ戻れ…」とか言ってるやつ、軍隊みたいにごまんといるだろ。今ごろそのへんのゴミとか枯れ葉の気分で「次は何に産まれましょうか…」とか嘆いてるだろうな。

でも、これで推し休とか言ってるのも不思議だわ。頭のなか電波塔かよ。狂ってる、狂ってるよ、狂人だよ。全員生まれた時から同じ病だな。シャワーでも浴びて頭冷やせば?ま、ここにいないあなたの話してもしょうがねぇか。

 

でも、男が働いて家帰ったら肌プリンプリンの化物みたいに可愛いガッキーがいるのは羨ましいわな。キッチンにいるガッキーに「ただいま」とか言ってんのムカついて頭から湯気出そうになるわ。どうせ「源SUN」とか呼ばれてんだろ?ばーか!

俺もたまに「星野源に似てる」とか言われるけど、おもかげもねぇわ。俺のことなんて誰も知らねぇしニセにもなれねぇよ。雨音うるせぇ部屋で月曜深夜にFANZAで車掌のコスプレしてるたかしょー観ながらTENGA使って俺のマイク握る妄想でスーパースケベタイムしてる蘇える変態だし、大人のくせに計画性ゼロ、アイマスのフィギュアとか夜な夜な創造してるし、桜の森みてぇに頭ボサボサだし、雪男みてぇに毛深いし、周りから嫌われすぎて、あだ名「ウィルス」だしな。

 

ま、せいぜい老夫婦になるまで笑うように生きれば?って感じ。グーグーグーグーグーー!コォーーーッッ!!

ミスチル桜井和寿に羨ましがられるワンオクと髭男に嫉妬

www.youtube.com

 

YouTubeでMr.Children桜井和寿とB'z稲葉浩志が対談していた。CD総売上6000万枚と8000万枚のバケモノ。「歴史」、完全に歴史の1ページだった。100年後教科書に載る。今すぐサムネイル画像を印刷して額縁に飾りたい。

以下、見どころ

 

0:00 オープニング

2:15 二人の接点

3:00 ツアーでの離島巡り

4:55 ホールツアーの良さ

7:38 ライブでの体調管理について

10:40 桜井和寿オリジナル吸入器

14:15 ライブ後のストレス発散

15:49 ボイストレーニングについて

18:00 桜井「歌が上手いことを恥ずかしいと思っていた」

19:25 本当に良い歌とは

20:08 桜井和寿の若い頃との声と気持ちの変化

21:17 稲葉浩志の声の変化

22:30 声帯の手術をした桜井和寿

25:50 観客と演者の意識の違い

27:00 声の調子とライブの出来は比例しない

27:53 羨ましいボーカリスト

28:20 言葉が伝えられるボーカリスト

28:49 発音するのが苦手な音

31:46 桜井和寿が最近研究していること

33:39 稲葉浩志の歌うことについての変化

35:18 喉のケア、身体のコンディションのために心がけていること

35:45 ライブ前にフットサルをする桜井和寿

36:47 稲葉ストイック説について

37:44 交通事故に遭った桜井和寿

39:01 コロナ渦でのミュージシャンの活動について

41:38 ultra soulを歌った桜井和寿

42:30 コロナ禍でのライブのあり方

43:54 ステージに立つ前のルーティン、気持ちの上げ方

45:22  仏像にハマる桜井和寿

46:14 バンドメンバーと一緒に食事に行くか

48:29 ツアー前・ツアー中によく見る夢

50:34 ゲネプロが好きな桜井和寿

51:55 ライブのMCについて

54:45 まったく喋らないMr.Childrenギター田原ベース中川

55:35 ライブで紹介されない稲葉浩志

56:35 もしミュージシャンになっていなかったら

59:30 メンバーとは言葉を交わさなくてもわかりあえるか

1:02:09 わざと小さい音で音楽を聴く稲葉浩志

1:03:08 歌詞の書き方について

1:08:21 ミュージシャンとして今、一番やりたいこと

1:09:40 それぞれの意識の変化について

 

歌うことへの意識の変化や、コンディションの保ち方、歌詞の書き方など、発する全ての言葉が掛け軸にするべき金言、が…ひとつだけ…27:53~「他のシンガーの声を羨ましく思うか」であらゆる感情が崩壊して死んだ。

 

桜井「いっぱいいますよ、もちろん稲葉さんもそうですし、まぁその若手のね、Taka君(ONE OK ROCK)とか、髭男の方(藤原聡)とか…」

稲葉「宇多田さんとかね…」

桜井「宇多田さんとか(笑)。あとはでも、同時にそうやって歌の技術が高い方もそうですけど、中島みゆきさんとか吉田拓郎さんみたいに言葉が伝わる歌を歌えるのも凄く羨ましく思いますね」

稲葉「そうですよね、 言葉にたまたまメロディがついてるみたいな…リズムとか。だからきっとその言葉に最適な旋律だったりするんでしょうね」

 

「いっぱいいますよ、もちろん稲葉さんもそうですし、まぁその若手のね、Taka君とか、髭男の方とか…」

 

「Taka君とか、髭男の方とか…」

 

「髭男の方とか……」

 

……お、俺が子供の頃から憧れた桜井和寿に羨ましがられるワンオクと髭男…そ…それだけならまだいい…なによりこの2人が俺の2個上と2個下、つまりゴリゴリの「同世代」という事実、桜井和寿に羨ましがられる人間が同世代にいるという現実に、感嘆と驚愕と嫉妬と希望と絶望が同時に襲ってきて気が狂いそうになった。

う、羨ましい、羨ましすぎる…チクショウ…なりたい…生まれ変わったら髭男の喉仏になりたい…

 

_

 

望みどおり「髭男の喉仏」となった俺。

いまや若手ナンバーワンの呼び声も高い髭男のボーカル藤原聡、その喉仏。札束をばらまき、浴びるように酒を飲み、両肩に美女を抱えて夜の街を闊歩する。そんな夢のような生活が待っていると興奮していた。

 

…だが、その生活は想像以上に過酷なものだった。日々行われる激しいトレーニング。水分、食事の管理。一瞬のスキも許さない徹底的に「歌うこと」を中心に回る生活に目が回った。金?酒?女?そんなものはどこにもなかった。いるのは犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しそうな女だけ。

歌う時以外はマヌカハニーの飴を舐めてケアし、またある時は滑舌を矯正するためにマウスピースをはめて生活をしていたこともあった。ライブ前ともなれば負担を最小限にするため日常会話にすら気をつける。「ストイック」という言葉では片付けることができないほど藤原は歌に対して真摯に真っ直ぐに向き合っていた…

なのに俺はどうだ…ただ「桜井和寿に羨ましがられたい」「女にモテたい」くだらない理由で藤原の喉仏になろうとしていた。情けなくて涙が出てくる。だが、そんな俺にすら藤原の歌は優しかった。

「君は綺麗だァア……」

そんなことない…俺は…汚い…。藤原の美声を聴きながらベッドに顔をうずめ、声を殺して一人で泣いた。

 

藤原の喉仏になった生活にもようやく慣れたある日、俺は藤原に聞いた。なぜそこまでしてするのかと。そこまでして歌う理由はなにかと。藤原は笑いながら答えた。

 

「理由なんて無い、ただ歌いたいだけ」

 

青天の霹靂、いや髭男の藤原だった。「理由なんてない」…そうか、そうだったのか。藤原聡もTakaも、稲葉浩志も桜井和寿も、全てのボーカリストが歌うことに理由なんてない、ただ歌いたいから、ただ好きだから、それが全てだったのだ。

そう気付いたときには俺は藤原の喉仏ではなくなっていた。俺は俺という一人の人間だったのだ。

ありがとう藤原…これからは俺が俺自身の声で俺の歌を歌っていきたい。バイバイ…イエスタデイ…

火曜夜は「とわ子」からの「着飾る恋」で情緒バグって死ぬ

現在、火曜ドラマが9時フジテレビ『大豆田とわ子と三人の元夫』10時TBS『着飾る恋には理由があって』という流れなんですが、どちらも「オシャレ人間ども」の人生や恋愛を描いてるドラマにも関わらず、作風が違いすぎて続けて観ると落差に情緒がバグって脳みそ爆発して死ぬ。

 

『大豆田とわ子と三人の元夫』

『大豆田とわ子と三人の元夫』は最近のドラマの傾向から反比例するかのように派手な演出も効果音はほぼない。

その代わり「人間」というものをとんでもなく徹底的に「濃く」描いてる。搾りたての牛の乳の濃度。まだ牛乳とも呼べない飲み干せば腹壊しそうなほどの旨味と雑菌が凝縮された白い液体、それが大豆田とわ子というドラマ。醜さも美しさも隠すことなくそこにある。

良い意味でも悪い意味でも出てくる人間出てくる人間がマックスめんどくせぇ近くにいたら確実に絡みにくい連中ばかり。そもそも惚れた女の元夫と仲良くするなんて正気の沙汰じゃねぇ。そんな奴らが織りなす一見意味のない聞いてるのがバカバカしくなるほどの長尺なセリフの応酬、分かる人間にしか分からない小ネタの洪水、この情報量の多さがそのまま「人間」になる。 

そして膨大なセリフのなかに日めくりカレンダーにしたくなるようないわゆる「名言」をサラッと盛り込むのが脚本家・坂元裕二のやり口。

「ハァイッ!ここッ!いまカッコいいこと言ってますよッ!ほらッ!!出演者の顔アップドン!イイ感じの主題歌ドン!!!」

とならない。「おはよう」「おやすみ」のテンションで、

「性格の悪い友だちとは会わなければいいけど性格の悪い自分とは離れられない」

「別れたけどさ、今でも一緒に生きてると思ってるよ」

 「人を傷付けるのって他人だから慰めてもらうのも他人じゃないと」

とか刺さる人間にだけ刺さる言葉を「ただの会話」として消化してしまう。名言を名言として成立させない。

 

しかもさらにめんどくせぇのが、通常のドラマの何倍もセリフ量あるくせに他のドラマなら言わないと成立しないようなことはほとんど言わねぇ。どいつもこいつもダラダラと屁理屈こねくり回すくせに「好き」だの「嫌い」だの「愛している」だの全然言わねぇ。だから全員セリフ量に反比例して「本心」がまったく掴めねぇ。

かと思いきや、「お前全然喋んねーし行動に移さねぇくせにアイツのこと好きだったの!?!?」みたいなことがふとした瞬間に急にわかったりする。すると無駄と思っていた言動の数々に、エゲツないほどの「意味」が込められていたことがわかり、

「え…?もしかしてあの時のアレってああいう意味…?じゃあ最初のアレもそういう…?は…?わかりにくっ……め…めんどくせぇえええ〜〜〜〜〜…」

となる。「クラスのヤンキー女子…おばあちゃんと2人で買い物してる…キュン…」みたいな好きになりかた。気がつくとそんな「しちめんどくせぇ奴ら」の憎たらしさが百億周回って愛おしくなってる。とわ子達のめんどくせぇ日常を「遠くから」一生見ていたくなる。

 

2話を観た後に1話、3話を観た後に2話を観返すとまるで違うドラマになるし、回を重ねるごとに1秒たりとも目が離せなくなる。どこに伏線が張られてるか…毎回集中しすぎてバッキバキに目が充血してドラマを観る切原赤也になり、いっさい息もできず、「ンんんン゛ーーーーッッッ!!」「アーーーーーッッ!!」「ギィィイイイイーーーッッ!!」という奇声しか出ず、観終わった後に全身を掻きむしり、 

「ハァ…ハァ…このわかりにくさ…難解さ…残念だがこれは大衆には理解されないだろう…だが…安心しろ…俺は…俺はわかるぞ坂元…そう…俺だけがこのドラマの良さを理解できる…」

とわけわかんねぇ評論家みたいなこと言っちゃう。…いっさい憧れないし、なりたくない、なのにこのドラマについて、大豆田とわ子の世界に生きる人間達のことを死ぬまで語りたくなる、それが『大豆田とわ子と三人の元夫』

 

 

『着飾る恋には理由があって』

一方、『着飾る恋には理由があって』はわかりやすさの極みだった。

「あ、こいつ次のセリフで余計なこと言うわ」「あ、こいつ次のセリフでキレるわ」「こいつ告るわ」「こいつ追いかけるわ」「こいつ絶対ヤバい奴だわ」「こいつ抱きしめるわ」

冗談抜きで100パー全部わかる。感情の機微、行動なにもかもが手に取るようにわかる。登場人物全員の脳みそが人体模型みたいに透けてる。にもかかわらずそのチープさ、わかりやすさが一切マイナスになってない、なぜならこのドラマを形成する全ての要素は

 

「キュン」

 

のみに機能しているのですから。ご都合主義?見飽きた展開?マジ上等。深いセリフ?伏線?そんなもん知らねぇ。このドラマの目的は「ラスト5分でイイ感じのイイシーンで星野源の主題歌流す」それのみ。

迷いも悩みも憂いも苦しみも全てが「キュンの前フリ」。物語の過程にキュンがあるのではなく、目指すべきキュンが最初にありそこから逆算して物語を動かしてる。言い方めちゃくちゃ悪いですけど登場人物は全員「キュンのマリオネット」「キュンの奴隷」このドラマの主人公は川口春奈でも横浜流星でもない「キュン」です。そしてキュンを2体生贄にして召喚されるブルーアイズホワイト当て馬向井理。

奴らがドラマで感じる全てが五感を超えて脳に直接注入される。「キュン」と書かれた金属バットでひたすらブン殴られ続ける。両手両足を縛られて心の中のキュンを無理やり刺激される。拷問具アイアンメイキュン。強制射キュンされる。

・酔っ払った勢いで冷蔵庫の前でキス…

・壁一枚へだてて露天風呂…

・ギューしてもらってもいいですか…?

こ、殺殺……鑑賞中はなにか他のことをしてないと精神がメルトダウンする。直視するとその眩しさで目が焼かれる。まず黙って観られない。ありえないほど独り言が増える。

「は?」「ふざけんな」「きっしょ」「なんだそりゃ?」「いい加減にしろ」「風邪ひけ」「地獄行け」「バーカバーカ!」

怒りと羨望と嫉妬で首から上が吹き飛びそうになる。横浜流星が親の仇になる。こんなAVもロクに見れねぇプライベート鬼無視の見てくれだけオシャレ風でレオパレス並の薄壁ペラペラハウスに収容されて美男美女どもが共同生活とか正気でいられるほうがおかしいんだよ。逆に禁欲ハウスだろうがこんなもん。なのにあいつらはなんのストレスもなく平然と暮らしやがる。

最初の数秒こそ「こんな人達と一緒になんか住めるわけない…!」とか形だけ文句たれ蔵うんこたれ蔵してたくせに、一瞬で馴染むその順応力と初対面から馴れ馴れしく話しかけることのできるコミュ力の高さにゲロを吐きそうになる。なにが「デジタルデトックス」じゃボケ。ゴリゴリにリアタイで呟かれること前提にしたドラマでなにわけわかんねーこと言ってんだ?これ観てる奴ら全員放送中1秒も離さずスマホ握りしめてるからな?なんなんだよ…なんなんだよこいつらはよ… 

お、俺だって…こんな生活送りたかった…薄暗い狭い部屋でこんなキショいブログ書く人生じゃなく…少し変わってるけど優しくてオシャレで顔面の良い仲間達と…毎日広いリビングでなんか美味いんだかマズいんだかよくわかんねぇ高い酒飲んだり…くっせぇ外国のチーズとかおつまみに食ったり…休日はドライブして…キャンプという名の設備全部用意された陽キャ共の道楽の代名詞グランピングして…価値観の違いからちょっと言い合いとかになるけど互いの意見とか真正面からぶつけあって最終的に絆深めたりとかしたかったんだよ…なりたかった…俺は横浜流星になりたかった関ジャニ丸山になりたかった。川口春奈が口いっぱいにまんじゅう頬張りながら「ん〜!んいひぃ〜!」とか言ってるところをニヤニヤしながら見つめたかったし、ちょっとぶっきらぼうな中村アンに色んな意味のこもった「ありがと…」を言われてぇ人生だったんだよォオオオオオオオ!!!

と叫びながら家中の食器を全部叩き割り、自分の人生を呪うんだよ…

伏線、考察、そういう余白は一切ないお花畑ドラマ。だが「ふざけんなよ…天皇がこのドラマ認めても…俺は絶対にこんなもん認めねぇからなァボケナスコラ…」とほざきながら次も確実に観てしまう吸引力がある。なぜなら「俺がやりたかったキュン」「俺がなりたかった俺」がそこにはいるのだから…それが『着飾る恋には理由があって』

 

 

『大豆田とわ子と三人の元夫』と『着飾る恋には理由があって』。「なりたくないけど見ていたいドラマ」と「なりたいけど見たくないドラマ」…この2つを連続で味わうことによって三半規管が揺さぶられ、めまい、吐き気などに襲われると同時にとてつもない快感が全身を支配し、海馬に存在しない記憶が植え付けられ、脳みそ爆発して死ぬ。一緒に死のう…?