YouTubeでMr.Children桜井和寿とB'z稲葉浩志が対談していた。CD総売上6000万枚と8000万枚のバケモノ。「歴史」、完全に歴史の1ページだった。100年後教科書に載る。今すぐサムネイル画像を印刷して額縁に飾りたい。
以下、見どころ
0:00 オープニング
2:15 二人の接点
3:00 ツアーでの離島巡り
4:55 ホールツアーの良さ
7:38 ライブでの体調管理について
10:40 桜井和寿オリジナル吸入器
14:15 ライブ後のストレス発散
15:49 ボイストレーニングについて
18:00 桜井「歌が上手いことを恥ずかしいと思っていた」
19:25 本当に良い歌とは
20:08 桜井和寿の若い頃との声と気持ちの変化
21:17 稲葉浩志の声の変化
22:30 声帯の手術をした桜井和寿
25:50 観客と演者の意識の違い
27:00 声の調子とライブの出来は比例しない
27:53 羨ましいボーカリスト
28:20 言葉が伝えられるボーカリスト
28:49 発音するのが苦手な音
31:46 桜井和寿が最近研究していること
33:39 稲葉浩志の歌うことについての変化
35:18 喉のケア、身体のコンディションのために心がけていること
35:45 ライブ前にフットサルをする桜井和寿
36:47 稲葉ストイック説について
37:44 交通事故に遭った桜井和寿
39:01 コロナ渦でのミュージシャンの活動について
41:38 ultra soulを歌った桜井和寿
42:30 コロナ禍でのライブのあり方
43:54 ステージに立つ前のルーティン、気持ちの上げ方
45:22 仏像にハマる桜井和寿
46:14 バンドメンバーと一緒に食事に行くか
48:29 ツアー前・ツアー中によく見る夢
50:34 ゲネプロが好きな桜井和寿
51:55 ライブのMCについて
54:45 まったく喋らないMr.Childrenギター田原ベース中川
55:35 ライブで紹介されない稲葉浩志
56:35 もしミュージシャンになっていなかったら
59:30 メンバーとは言葉を交わさなくてもわかりあえるか
1:02:09 わざと小さい音で音楽を聴く稲葉浩志
1:03:08 歌詞の書き方について
1:08:21 ミュージシャンとして今、一番やりたいこと
1:09:40 それぞれの意識の変化について
歌うことへの意識の変化や、コンディションの保ち方、歌詞の書き方など、発する全ての言葉が掛け軸にするべき金言、が…ひとつだけ…27:53~「他のシンガーの声を羨ましく思うか」であらゆる感情が崩壊して死んだ。
桜井「いっぱいいますよ、もちろん稲葉さんもそうですし、まぁその若手のね、Taka君(ONE OK ROCK)とか、髭男の方(藤原聡)とか…」
稲葉「宇多田さんとかね…」
桜井「宇多田さんとか(笑)。あとはでも、同時にそうやって歌の技術が高い方もそうですけど、中島みゆきさんとか吉田拓郎さんみたいに言葉が伝わる歌を歌えるのも凄く羨ましく思いますね」
稲葉「そうですよね、 言葉にたまたまメロディがついてるみたいな…リズムとか。だからきっとその言葉に最適な旋律だったりするんでしょうね」
「いっぱいいますよ、もちろん稲葉さんもそうですし、まぁその若手のね、Taka君とか、髭男の方とか…」
「Taka君とか、髭男の方とか…」
「髭男の方とか……」
……お、俺が子供の頃から憧れた桜井和寿に羨ましがられるワンオクと髭男…そ…それだけならまだいい…なによりこの2人が俺の2個上と2個下、つまりゴリゴリの「同世代」という事実、桜井和寿に羨ましがられる人間が同世代にいるという現実に、感嘆と驚愕と嫉妬と希望と絶望が同時に襲ってきて気が狂いそうになった。
う、羨ましい、羨ましすぎる…チクショウ…なりたい…生まれ変わったら髭男の喉仏になりたい…
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望みどおり「髭男の喉仏」となった俺。
いまや若手ナンバーワンの呼び声も高い髭男のボーカル藤原聡、その喉仏。札束をばらまき、浴びるように酒を飲み、両肩に美女を抱えて夜の街を闊歩する。そんな夢のような生活が待っていると興奮していた。
…だが、その生活は想像以上に過酷なものだった。日々行われる激しいトレーニング。水分、食事の管理。一瞬のスキも許さない徹底的に「歌うこと」を中心に回る生活に目が回った。金?酒?女?そんなものはどこにもなかった。いるのは犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しそうな女だけ。
歌う時以外はマヌカハニーの飴を舐めてケアし、またある時は滑舌を矯正するためにマウスピースをはめて生活をしていたこともあった。ライブ前ともなれば負担を最小限にするため日常会話にすら気をつける。「ストイック」という言葉では片付けることができないほど藤原は歌に対して真摯に真っ直ぐに向き合っていた…
なのに俺はどうだ…ただ「桜井和寿に羨ましがられたい」「女にモテたい」くだらない理由で藤原の喉仏になろうとしていた。情けなくて涙が出てくる。だが、そんな俺にすら藤原の歌は優しかった。
「君は綺麗だァア……」
そんなことない…俺は…汚い…。藤原の美声を聴きながらベッドに顔をうずめ、声を殺して一人で泣いた。
藤原の喉仏になった生活にもようやく慣れたある日、俺は藤原に聞いた。なぜそこまでしてするのかと。そこまでして歌う理由はなにかと。藤原は笑いながら答えた。
「理由なんて無い、ただ歌いたいだけ」
青天の霹靂、いや髭男の藤原だった。「理由なんてない」…そうか、そうだったのか。藤原聡もTakaも、稲葉浩志も桜井和寿も、全てのボーカリストが歌うことに理由なんてない、ただ歌いたいから、ただ好きだから、それが全てだったのだ。
そう気付いたときには俺は藤原の喉仏ではなくなっていた。俺は俺という一人の人間だったのだ。
ありがとう藤原…これからは俺が俺自身の声で俺の歌を歌っていきたい。バイバイ…イエスタデイ…