むかし、7コ下の後輩とハガレンの主題歌のことで殴り合いになった。
「ハガレンは主題歌が全部名曲なんだよな！」
「そうなんすよ！わかってますね！先輩！！！」
これが地獄の入り口。
アニメのハガレンは、2003年放送『鋼の錬金術師』と2009年放送『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』の2種類があり、俺は2003年モノのみ、後輩は2009年モノのみを観ていてお互いなぜか「片方をまったく知らなかった」
俺「俺はやっぱ1期オープニングの『メリッサ』が最高だな！」
後輩「えっ？なに言ってんすか？」
俺「いやメリッサだろポルノの。ポルノグラフィティ」
後輩「ポルノハガレンのオープニングなんかやってないっすよ」
俺「いや、やってるだろ。一番有名だろこれ」
後輩「いやいやなに言ってんすか。1期オープニングはYUIの『again』でしょ」
俺「YUI？YUIがいつハガレンのオープニングやってんだよ」
後輩「やったでしょ。え？知らないんですか？ヤバ」
俺「は？1期はポルノだろうが。君の手で！！切り裂いて！！だろ！」
後輩「だからYUIですって！叶えるために生きてるんだって忘れちゃいそうな夜の真ん中！！！」
俺「遠い日の〜〜〜〜！！記憶を〜〜〜！！」
後輩「無難になんてやってられないからぁぁあああああ〜〜〜〜！！」
俺「悲しみの〜〜〜！！息の根を止めて〜！！」
後輩「帰る場所もないの〜〜〜〜！！」
俺「く〜〜〜〜れ〜〜〜〜よ〜〜〜〜！！！」
後輩「この想いを消してしまうには〜〜〜〜！！！まだ人生長いでしょ？？？アイウォンザウェ〜〜〜〜〜イ！」
俺「さぁ！！！愛に焦がれた胸を貫け〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！！！！」
後輩「懐かしくなるこんな痛みも歓迎じゃんッッッッッッ！！！！」
俺「…」
後輩「…」
俺「なんだこいつこわ」
後輩「それ俺のセリフですから」
俺「じゃあ1期エンディングくらいは知ってんだろ。北出菜奈の消せない罪な。迷わずにィイイ〜〜〜〜！！！！この愛を〜〜〜！！！信じ生きてゆ〜〜〜くううう！！！」
後輩「なにその曲！？誰！？シドでしょシド！シドの嘘でしょ！あの日〜〜！！見た空ッッッ！！！茜色の空を〜〜〜〜！！！ねえ君は覚えていますかぁぁあああ！！！？？」
俺「は！？なんて！？なんのなに！？お前ずっとなに歌ってんの！？」
後輩「いやいや…先輩こそ頭大丈夫すか！？」
俺「じゃあ2期は！！！」
後輩「は？」
俺「2期のオープニングは！！お前1期飛ばして見てたんじゃねぇの？バカだから」
後輩「先輩こそ2期から見始めたニワカなんじゃないですか？」
俺「バカが。まぁいい。2期つったらラルクだろラルク」
後輩「いやニコですから。NICO Touches the Walls」
俺「ラ〜〜〜〜ル〜〜〜〜ク〜〜〜〜〜！」
後輩「ニ〜〜〜〜〜コ〜〜〜〜〜〜！」
俺「…なに言ってんのマジで。レディステディキャンホーミバァァッックッッッ………レディステディギミホーグラックッッ………」
後輩「なんすかその低音。先輩声キモ。真っ白なぁ景色にいま誘われてぇええ〜〜！！！」
俺「夢中でぇえええ〜〜〜〜〜！！！！早くぅぅうう〜〜〜〜〜！！！」
後輩「僕は行くよまだ見ぬ世界へえぇぇえええ〜〜〜〜〜〜！！デェデレデェデレデェ〜〜〜〜〜！！」
俺「うるせぇええええええええ！！！お前のせいで混ざって一曲みたいになってんじゃねぇかよ！？！？なに曲キメラしてくれてんの？ショウ・タッカーかお前？」
後輩「は！？そっちこそ俺の歌の邪魔しないでくださいよ？勘のいいガキじゃねぇんだから」
俺「は？」
後輩「は？」
俺「2期エンディング」
後輩「LET IT OUT」
俺「扉の向こうへ」
後輩「LET IT OUT」
俺「扉の向こうへ」
後輩「レットイ」
俺「扉の向こうへ」
後輩「…」
俺「扉の」
後輩「LET IT OUT」
俺「とび」
後輩「LET IT OUTLET IT OUTLET IT OUT」
俺「…」
後輩「…」
俺「ヤバぁこいつ、完全に見損なったわ」
後輩「こんなわけわかんねぇ人だとは思いませんでしたわ」
俺「は？」
後輩「は？」
俺「…」
後輩「…」
俺「軋んだ想いを吐き出したいのは存在の証明が他にないから掴んだはずの僕の未来は尊厳と自由で矛盾してるよ」
後輩「集中できてないなまだ体が迷っているんだ震えていたんじゃコントロールしたってブレるんだ太陽もツキもなんも完全にこっち向いていないがやるしかないんだ言い聞かせるようにそうつぶやいた」
俺「歪んだ残像を消し去りたいのは自分の限界をそこに自分の限界をそこに見るから」
後輩「状況は悪いがただ逃げ出すんじゃ根性ないなぁ展望はないが度胸でクリアするしかないや衝動は抑えたままターゲットとの間隔探れ必要なもんは勝つプライド」
俺「自意識過剰な僕の窓には去年のカレンダー日付がないよ」
後輩「味わうのは勝利の美酒かそれとも敗北の苦汁かそうすべては2つに1つ操りたい運命の糸」
俺「消してェエエエエ〜〜〜〜〜！！！！リライトしてェエェエエエ〜〜〜〜〜！！！！」
後輩「絶好のォオオオ〜〜〜〜！！！！ゴ〜〜〜〜ルデンタァアァアアアアアアアアアイイム！！！！」
ボッギャカッァアアアアアアッッッ！！！
…
それから殺し合いに発展しかけましたが、最終的に「ホークアイ中尉に踏まれたい」と想いが完全に一致し、2人のあいだに『友情』が錬成された。
