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三浦大知の歌う『サザエさん』はもはやミセス・サザエ

NHKで不定期に放送している『おげんさんといっしょ』という、どっからどう見てもサザエに扮した星野源が、仲の良いミュージシャンや女優や芸人や声優を集め、己の趣味全開の激シブ音楽を欲望のままに披露しまくるNHKの意味を完全に

「N=にほん、H=ほしのげん、K=かぞく」

にした限りなくブラックに近いバイオレットカラーのクレイジー番組をご存知でしょうか。そのメンバーの一人に「三浦大知」という正真正銘のバケモンがいるのですが…

 

番組オープニング、メンバー全員でサザエのエンディングテーマでおなじみ『サザエさん一家』歌ってたときのこと。そこで三浦大知の歌ったフレーズが

 

大知「大ゥきなァ空をゥ…眺めたァらァ… 白ィい雲がァ…飛んでいたァァ……」

 

は…?なんだこの色気と上品さ…?ミセス・サザエ…?

 

これは本当に「サザエさん一家」か…?今すぐに「Mrs.Sazae's family」にタイトル変更しろ…

三浦大知の「声」には物語の根底を覆してしまうだけの魔力があるのです…たったワンフレーズを歌っただけですべてを変えてしまう力が…

 

三浦大知の声がなぜ凄いのか、理由は色々ありますが、このMrs.Sazae's familyで最も強調されたのが「深さ」

三浦大知が歌うとまるで「え?一人だけスタジオ違う?」と錯覚するほど立体的に聴こえてくる。シンプルに声の通りが違う。ユニゾンで他の人間と順番にワンフレーズを歌って改めて分かる圧倒的な「奥行き」、一言で言えば「見える声」

卵を育てる親鳥のような暖かさと優しさでもって歌詞を包み込む。決して流れに逆らわず、音に身を任せてメロディにそっと声を置き、音と声が完全に「一体化」しているからこそ、三浦大知の声は空気に触れた瞬間に形作られ、いつまでもその場に残り続けるのです。

 

そして先ほども書いたように上品さと同時に感じる異常なまでの「色気」

 

「大きな空をゥ…眺めたァ…い雲がァ…飛んでいたァァ……

 

この大胆とも言える抑揚によってどんな曲だろうが一瞬でR&Bの香りを漂わせる。

磯野家がいつも食べている鮭の塩焼きがサーモンのマリネになり、いつも波平とマスオが飲んでいる三河屋の日本酒やビールを、ビンテージのワインに変えてしまう…

三浦大知の歌うサザエの住んでる家は絶対に古びた平屋じゃなくてシャンデリアが飾ってある屋敷ですし、表札は漢字で「磯野」じゃなくて英語で「ISONO…」って書いてありますし、ミセスサザエは絶対に買い物行ってサイフとか忘れませんし、そもそもお手伝いさんが買い物行きますし、絶対くだらないことでキレて弟を追いかけたりしないし、どれだけひどいイタズラをされようが、

 

「あらあら…カツオったら…またそんなこと言って…でもわたくしは知ってるもの…カツオがどれだけ私のことを愛しているのか…きっと寂しかったのよね…さぁおいで…かわいいカツオ…いつものキスをしましょう…」

 

と言いながら聖母のような微笑みを見せる真っ白なドレスに身を包んだミセス・サザエがそこにはいた…

いや…正確には「いた」のではなく、まぎれもなく三浦大知の声が俺の脳内にミセス・サザエを「作り出した」のです…

 

こうなってくると、もはやキャラクターの名前すら変わってくる…カツオはカンツォーネですし、マスオはマットですし、タラオはタランティーノですし、タマに至ってはもはやペルシャ猫。

来週のサザエさんは「ミセスサザエ初めての舞踏会…/ダディはファッショニスタ…/アイラブマイファミリー…」の3本ですし、最後のジャンケンも「来週もまた見てくださいね!ジャン!ケン!ポン!ウフフフ!」ではなく、

Morra cinese(モッラ・チネーゼ)…!Forbici(フォルビチ)…!ah ah ah…

とイタリア語で言うミセス・サザエ…

 

そんな全く新しい物語を己の「声」だけで生み出す三浦大知…いやMr.Daichi…アニメ化してほしい

 

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